神戸学院大学

井戸知事が「関西の復権と創造~関西広域連合の取り組み」について講演しました

2012/11/01

講演する井戸知事
講演する井戸知事
あいさつする西本理事長
あいさつする西本理事長
知事に質問する学生
知事に質問する学生
謝辞を述べる岡田学長
謝辞を述べる岡田学長

地域連携講座知事・市長シリーズ「井戸敏三兵庫県知事講演会」が11月1日、ポートアイランドキャンパスで開催され、一般市民を含む約500人が聴講しました。講演会は学校法人神戸学院の創立100周年事業として開催。冒頭、この日就任した西本誠實理事長があいさつしました。

関西広域連合は、地方分権改革のため奈良を除く近畿2府3県と徳島、鳥取両県が結集し、一昨年12月1日に発足した府県域を越える全国初の組織で、特別地方公共団体の一つです。今年4月に大阪市と堺市、8月には神戸市、京都市の両政令市も加わりました。当初は、防災、観光・文化振興、医療など7分野からスタートしましたが、将来的には、国出先機関の事務・権限、人員、財源等をそのまま広域連合に丸ごと移管することを目指しています。しかし、各省庁の強い抵抗もあり、当面は近畿経済産業局、近畿地方整備局、近畿地方環境事務所の3機関(合わせて職員数約3000人、予算額約1兆円)の丸ごと移管を求めています。

井戸知事は、自らが連合長を務める関西広域連合を設立した狙いや求められる地方分権改革について「地域のことは地域が決定して実行できる自立分権型の行政システムの確立が必要」と述べ、「例えば介護保険を見ても半分は保険料、残る半分は公費で負担している。公費は国が半分、県と市町村が4分の1ずつ出しているが、通常は制度決定すれば運用する市町村が財源を負担するものだ。国と地方の権限、財源が不明確だと、最終的な責任はどこが負うのか」と具体例を示しながら、分かりやすく説明。国出先機関の移管に関する関西広域連合の提案について、閣議決定さえできない現政権や、抵抗する各省庁の態度を厳しく批判しました。

さらに、井戸知事は道州制については反対の立場をとっており、その理由について「漠然とした期待だけが大きくなり、日本の抱える問題がみんな解決するように受け取られるが、何ら証明がなされていない」と指摘し、さらに「国の総合出先機関的道州となり、かえって中央集権化が進む恐れがある」「道州内の地域間格差が拡大する」「住民の意思が地方政治に反映されにくくなる」などと述べました。

講演後には質疑応答もありました。学生の大阪都構想に関する質問について、井戸知事は「大阪府と大阪市に別れていながら、重複している行政部分もある」と、賛同する立場を示しましたが、兵庫県については「神戸市の人口150万人は、県下全域の4分の1しかなく、今ただちに手をつける必要はないのでは」と答えました。

講演の後、岡田豊基学長が謝辞を述べ、井戸知事を聴講者の大きな拍手でお送りしました。
講演を聴いた経済学部3年次生の依藤敏紀さんは「関西広域連合の仕組みや、なぜ結成したのかが良く分かりました」と話していました。