兵庫県立舞子高校との遠隔授業を行いました。
2023/05/25




2008年3月3日に教育提携協定を締結した兵庫県立舞子高校との高大連携授業として、10月1日、インターネットを利用した遠隔授業を行いました。
今回の授業は、兵庫県立舞子高校1年生を対象にした「学部学科説明会」の一環として、法学を選択した生徒16人に対し、本学有瀬キャンパスの法廷教室を利用した模擬裁判の一部を40分間に渡り披露しました。7月10日に本学ポートアイランドキャンパスで実施した法廷教室での法学部の高大連携授業が高校生に好評で、視覚的な理解にも効果的であることから企画されました。
法廷教室が舞子高校のスクリーンに映し出され、担当した佐藤雅美・法学部教授が画面にクローズアップされ、法学部で学ぶ内容、選択コース、将来の進路などについて説明しました。さらにゼミ生20人が裁判官、検察官、弁護人、裁判員席などに着席し、模擬裁判をスクリーン上に再現。佐藤教授が学生に順番に立ってもらい、各席の位置を説明する映像に高校生は、見入っていました。
今回取り上げた模擬裁判の事例では、女子学生B子が公園で酔っ払いの中年男性に卑猥な言葉をかけられたが無視したため、男性が怒り出します。それに恐怖を感じたB子が男性を突き飛ばし、近くの石垣に痛打し、死亡したため、B子が傷害致死罪で起訴されたケースです。
「男性は大声を上げたが、身体に触れていない。身体や生命に危険を感じるほどの侵害ではなく、B子の行為は過剰防衛で、傷害致死罪に相当する」と検察グループを担当したゼミ生が主張。それに対し、弁護グループを担当したゼミ生は、「自分の身を守るのに、突き飛ばす行為は自然で妥当とし、過剰防衛ではない」との主張を紹介しました。
佐藤教授は、「裁判には、絶対的正解がない場合が多い。どういう主張に説得力があるか、いかに納得させるかが重要になる。また、基本的法律の知識を身につけ、いかに活用するかが大切です。法学部の授業で養うリーガルマインド(法的なものの考え方・問題解決能力)は、裁判だけでなく、企業などでもトラブル解決に有効であり、適切に対応できると評価も上がります」と高校生に語りかけました。
参加した高校生からの「法学を学ぶ上で一番難しいと感じることは何ですか」との質問に、ゼミ生は、「難しいのは、正解が絶対的でないことだが、自分なりの主張を組み立てていくことは楽しい」と返答するなど、映像を通して交流しました。
授業の後、参加した女子高校生は、「裁判員制度が始まるので、民間人(裁判員)を入れた雰囲気が見れてよかった。大学に入って、私もやってみたいと思った」と話していました。
担当した舞子高校の小川敬介先生は「遠くにいながら授業の雰囲気が味わえ、実際法廷が見られるため、生徒の反応も大きく、学ぶきっかけにもなる。今後も定期的に行いたい」と手ごたえを感じていました。一方、佐藤教授は「時間が短かったため、裁判事例についての質問や判定までに高校生が参加できなかったのが残念。技術的な可能性がわかったので、改善しながら、このような試みを実施していけばよいのでは」と感想を述べられました。