コロナ禍でも保健医療福祉分野の専門職連携教育による合同授業が実現しました
2020/09/23
保健医療福祉分野の専門職を目指す学生が合同で学ぶ「専門職連携教育(IPE)」が9月18、19両日、ポートアイランド第1キャンパスで開催されました。薬、総合リハビリテーション、栄養、心理の4学部と神戸市看護大学看護学部の学生約100人が集い、自身が目指す職種について、他職種を目指す学生に紹介し、周辺職種について知ることで職種の壁を超えて理解を深めました。今年は授業の中で、弁護士と社会福祉士の資格を持つ泉房穂・明石市長による力のこもった講演がありました。
◆他職種について理解深める
ソーシャル・ディスタンスを確保し、初日はチーム作りの自己紹介やゲームで打ち解けました。午後から、「保健医療福祉分野におけるさまざまな職種を知ろう」のプログラムで交流学習。グループごとにボードに短文で自身の職種についての説明を次々と貼り付け、その職種を目指す学生から発表がありました。
◆一つの専門職だけでは解決できない
続いて、「保健医療福祉分野のニーズと専門職の役割」の演題で太田淳子栄養学部准教授の講義を聴きました。管理栄養士の資格を持つ太田准教授は、妻が夫の食事を介助し、夫がせきこむ場面のイラストを見せ、「嚥下(えんげ)障害が心配」「介助の1口量が多すぎ」などと考えられる心配な点を書き出しました。この中で「管理栄養士だけで解決できることがいくつあるか」と質問。「ゼロ」が正解で、複数の専門職が連携し合わないと解決しない問題が多いと述べました。また、「専門職が最善と考えることが療養者にとっては必ずしも最善ではなく、非効率なこともある」とも指摘しました。専門職連携において、「個人情報を外に漏らさない」ことやコミュニケーションを密にすることの重要性を改めて確認しました。
◆明石市の泉市長が力の入った講演
2日目は泉市長が「やさしい社会を明石から――専門職への期待」の演題で講演。専門職に求める心がけとして、「高く」「広く」「強く」をキーワードに、専門性を向上させ、社会情勢に即していくこと、知識の幅や人と人とのつながりを広げていくこと、専門職としての誇りや社会的影響力を強くしていくことが必要だと述べました。また、「こどもを核とした誰もが暮らしやすい明石のまちづくり」を紹介しました。聴講した学生からは、「どこの街でも明石市のような温かい街づくりができるのか」「子供が増えるということは待機児童の増加につながると思うが、それに対してどんな対策をされているのか」「専門職は政治家や行政に自らつながっていく必要があると思ったが、どのような行動を起こせば、つながることができるのか」などと質問が相次ぎ、行政トップの話だけに関心の高さを裏付けました。
また、がんや難病を患う地域の人たちの話を聞かせてもらうプログラムもあり、当事者の方々が地域で尊厳ある暮らしを送るために専門職として何ができるかを考えました。
◆地域の皆さんの健康を支えたい
参加した学生が目指す専門職は、社会福祉士・精神保健福祉士▽理学療法士▽作業療法士▽管理栄養士▽臨床検査技師▽公認心理師▽看護職(看護師、助産師、保健師)▽薬剤師――の8職種。IPEは「Inter Professional Education」の頭文字で、本学では2010年度から取り組みを始め、18年度から履修単位化に踏み切りました。
IPE運営委員長の西垣千春・総合リハビリテーション学部教授は「これほど多くの専門職を目指す学生が一堂に会するIPEは他大学にはない取り組みです。地域の中で皆さんの健康を支える専門職を育てる上で、IPEが重要な役割を果たしていければうれしいです」と話しています。IPE専用サイトはこちら