本学主催で防災関係の報告会を開催しました
2013/01/22
神戸国際会議場で開かれている「第6回災害対策セミナーin神戸」は2日目の1月22日、防災関係団体によるシンポジウムやセミナーがあり、本学も報告会「宮城県名取市はいま」(ポーアイ4大学連携推進センターなど共催)を開催。神戸市職員として、昨年4月から名取市震災復興本部復興まちづくり課に出向している森下武浩さんが「宮城県名取市における震災復興の取り組みについて」のテーマで発表し、本学の防災・社会貢献ユニット生や一般市民約50人が参加しました。
名取市は一昨年3月の東日本大震災で、911人が死亡、42人が行方不明になり、5000棟以上の建物が甚大な被害を受けました。死者・行方不明者は地震ではなく、すべてが地震発生から1時間6分後に到達した津波によるものでした。特に閖上(ゆりあげ)地区では海から1㎞以内にあった木造住宅はほぼすべてが流失しました。
森下さんは、名取市の復興まちづくり課で区画整理を担当。仮設住宅の入居者約5000人のうち、「みなし仮設」と呼ばれている3110人の大半が仙台市の民間賃貸住宅に住んでいることや、市の震災復興計画によって土地のかさあげを進め、第一次防御ライン、第二次防御ラインを築いて住宅建設を制限することによって、多重防衛を計画していることなどを説明しました。しかし、閖上地区の約2000人への聞き取り調査では、「元の場所に戻りたくない」という人が3割いるほか、「戻るか、戻らないか決めかねる」という人が4割いるなど、被災者の複雑な気持ちも紹介。さらに、森下さんは「私が担当している区画整理班現在6人いますが、うち自治体などからの出向者が5人を占めています。新年度には入れ替わるため、引き継ぎはするものの、仕事の継続性が心配」とも語りました。
出席者からは、「盛り土は地震には弱いとされているが、安全面で心配はないのか」といった質問や、任期付の出向に関する疑問も寄せられました。この日、会場で受付を手伝った同ユニット生、髙﨑百加さん(法学部2年次生)は、「これまで6回にわたって現地でボランティア活動に取り組んできましたが、今日の行政の視点でのお話は学ぶことが多く、充実した時間でした」と話していました。