【コロナ禍と向き合う学生】英語模擬国連にオンラインで参加 グローバル・コミュニケーション学部3年次生 十河 幸神(そごう・こうしん)さん/津田 穂乃里(つだ・ほのり)さん
2021/06/07
グローバル・コミュニケーション学部の荒島千鶴教授ゼミが英語模擬国連(注)参加を通じて英語力やスピーチ力、プレゼン力などの向上に取り組んでいます。ゼミ生の十河幸神さんと津田穂乃里さんはコロナ禍が広がった昨年度、オンラインで実施された「第11回日本大学英語模擬国連」とノートルダム清心女子大学(岡山市)主催の「岡山模擬国連」参加を通じて、実践的な英語力を磨きました。今年度も参加を予定している2人に聞きました。(聞き手は広報部)
(注)模擬国連(Model United Nations)とは、国際連合(国連)のように参加者の担当国を決め、「環境保護」「教育の充実」などのテーマに応じて他の国と折り合いを付けながら自国の国益をいかに「決議」に盛り込むことができるかを目指す取り組みです。世界大会が開かれる「模擬国連世界大会」のほか、日本で実施される「日本模擬国連」(JMUN)、「日本大学英語模擬国連」(JUEMUN)などがあります。
◆国連のように担当する国を代表して英語で発言する
広報部 5月から6月にかけて実施された日本大学英語模擬国連ではどの国を代表し、どのような政策を提言しましたか。
十河さん アフリカ中央部にある広大な国土の広がるコンゴです。「民主共和国」ですが、歴史的に民族対立や紛争を繰り返してきました。国連機関の報告書などを読んで調べると、女性に対する暴力、性暴力のケースが多く見られるため、政策提言に改善を盛り込みたいと考えました。しかし、提言は先進国を代表する人も共通の内容になるため、他の参加者の賛同が得られず、教育の充実を訴える内容になりました。結果として私の意見とは異なりましたが、教育が充実すれば、性暴力も減るのではないかという期待もあります。
津田さん 北ヨーロッパにあるエストニアです。バルト三国の中では一番北にあります。EU(ヨーロッパ連合)にも加盟していますが、独立する前の関係から、かつてのロシアの影響を受けています。北欧の福祉大国に近いことから政策提言には福祉の充実を盛り込みたかったのですが、大会テーマの「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に焦点を当てた内容になりました。SDGsには「すべての人に健康と福祉を」も含まれています。コロナ禍で1カ月の準備期間が設けられ、荒島ゼミでじっくり事前調査ができました。
◆「ネットで調べると英語での情報量の多さに驚き」(十河さん)
広報部 どのような点に苦労しましたか
十河さん コロナ禍で図書館が使えず、その国について調べるのに、インターネットのみで調べました。日本語ではほとんど有用な情報が入手できず、英語のサイトで探すと国連の各機関などにかなり中身のある重要な情報が掲載されていました。英語の世界での情報の広がりを実感することができ、もっと勉強しなければと思いました。
津田さん 昨年も苦労はありましたが、一昨年に入学して間もない時期に「日本大学英語模擬国連」に参加した時に、ベトナム出身の参加者の英語が聞き取れませんでした。高校時代も神戸市内の留学生と交流する機会がありましたが、相手の日本語が上手なので、甘えていました。英語力に加えて「模擬国連」についての知識もまるで欠けていました。
◆「3カ月かけての議論 国際法の知識が役立った」津田さん
広報部 12月に開催された岡山模擬国連はどうでしたか。
十河さん コロナ禍で昨年度は本番まで10月から3カ月かけて調査やオンラインでの議論を繰り返しました。私は中米のコスタリカを代表しましたが、中米に影響力を持つ米国を代表する人の発言力が強かったです。荒島先生の国際法の授業で学んだ紛争解決などの知識も役に立ちました。
津田さん ヨーロッパのアルバニアを担当しました。バルカン半島でギリシャの北にあり、かつてはオスマン・トルコ王朝でしたからイスラム教徒が大半です。経済は停滞しています。調べると、コロナ禍で学校が休校になり、家庭の経済格差によって子どもたちの栄養バランスが悪くなり、家庭内暴力も増えていました。ドメスティック・バイオレンスの防止や子どもの栄養状態改善を求める法制度の強化を政策提言の決議(Resolution)に盛り込みたかったのですが、私の意見は通らずに、国連機関として学校給食の充実などを援助するという内容となりました。グループの中では英語模擬国連参加経験者がほとんどおらず、アドバイスを求められる立場になり、とても勉強になりました。
広報部 コロナ禍でセメスター留学が中止になり、2人は代替プログラムとしてオンライン留学の語学コースを自宅で受講しています。十河さんはカナダのカルガリー大学、津田さんはニュージーランドのオークランド大学(語学学校)提供の授業で、英語漬けの日々です。今年度も英語模擬国連に参加を予定しています。
◆学生支援センターが発行するキャンパスライフのガイドブック「Campus」7月1日発行号でも十河さんと津田さんの「オンライン留学」などコロナ禍での学生事情を伝える記事が掲載されます。