神戸学院大学

社会連携

株式会社エムズブランディング代表取締役で料亭「松廼家」4代目女将の鵜殿 麻里絵氏が「トップランナー特別講義」で講演しました

2024/05/24

講演する鵜殿氏
講演する鵜殿氏
学生に思いを届ける鵜殿氏
学生に思いを届ける鵜殿氏
本講義をきっかけにアルバイトを始めた本学学生のサプライズ出演もありました
本講義をきっかけにアルバイトを始めた本学学生のサプライズ出演もありました

地元神戸の企業経営者の方々が、どのようなビジョンを持って発展してきたかなどについて語る「トップランナー特別講義」。5月20日は、株式会社エムズブランディング代表取締役で料亭「松廼家」4代目女将の鵜殿 麻里絵氏が「逆境をチャンスに未来を切りひらく」をテーマに登壇しました。

まず冒頭に、今回のテーマの「ひらく」の漢字は、「拓く」であり、困難な状況や未知の世界に挑戦し自分自身や社会に新しい価値を生み出すための行動であると説明し、これまで逆境を乗り越えてきた経験などを紹介しました。

鵜殿氏は、体が弱く思うように学校に通えない幼少期を過ごしました。また実家でもある料亭「松廼家」に出入りする大人に囲まれて育ったためか、子供同士のコミュニケーションが上手ではなかったと自らを振り返りました。そんな自分が跡継ぎになることを、その時は考えていなかったが、阪神・淡路大震災が襲い掛かり、全壊状態となった松廼家を見て自ら再興させることを胸に誓いました。

震災から2年後、日本料理店へと業態を変えて三宮の交通センタービルに松廼家を再開させることができました。しかし同時に大学に通いながら若くして店長として店を切り盛りし、休みなく働く日々が続きました。そんな中、身も心も壊れていく自分を見かねた家族の勧めで、別の会社で働くことを経験しました。そこで「組織で働く」という経験を積んだ鵜殿氏は、4代目女将として松廼家を継承することになりました。

そこから、飲食業態ではできなかったフードライターなどにも挑戦し、活動の幅を広げていきました。そのつながりから講演の依頼やひょうご観光大使など兵庫県のPR活動にも携わるようにもなりましたが、人前で話すということは鵜殿氏にとって体が震えるほど苦手意識を感じることだったというエピソードも紹介しました。しかし、次のステージに進むため、乗り越えるべき試練として場数を重ね克服していきました。

2020年には、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発せられ、のちに経営者としては誇れる決断ではなかったと振り返りつつも、すぐに店を閉店することを決断しました。しかし、その決断が功を奏し、その後神戸の北野町 の異人館通に松廼家を再興させるなど、さまざまな逆境を切り拓いてきたことを語りました。

今社会では一つのことを究める職業観よりも、さまざまな顔を持ち合わせたハイブリッド人材が求められているとアドバイスしながらも、「これができる」というものを、せめて1つは持ち、転職を繰り返してすべてが中途半端になるようなことはしないでほしいとメッセージを送りました。

最後に、これから高い壁にぶつかった際にも当たって砕けてしまってはいけない。必ず乗り越えられる時が来るので、その時に備えて挫折や挑戦を繰り返して経験値を増やし、主軸になる信念をみつけていってほしい。その道をいつか切り拓くことができる、と学生に向けて締めくくりの言葉を贈りました。

講演を聞いた学生たちからは、「困難な状況でも、リーダーとして決断をして、苦手なことにもチャレンジされていてすごい」「ゲームに例えて話をしていただいて、すごくわかりやすくてしっくり来た」というような意見を残していました。

次回5月27日は、六甲バター株式会社 代表取締役社長 兼 CEOの塚本 浩康氏が登壇予定です。