神戸学院大学産学連携サロン・神戸医療産業都市クラスター交流会を実施しました
2021/10/11
第9回神戸学院大学産学連携サロン・神戸医療産業都市クラスター交流会を10月8日、オンラインで実施しました。
2011年より、地域における産学連携の一助となるために、神戸市と共催し、神戸医療産業都市クラスター交流会を開催しています。ポートアイランド地域に集積が進む企業、大学、研究機関、研究支援機関などの有機的な連携と研究者のコミュニティー形成、国際的な研究開発、産業化の拠点を形成することを目的として、企業の技術者や学術界の研究者が相互に情報交換できる場づくりを目指しています。
神戸医療産業都市は阪神・淡路大震災後の震災復興事業として、ポートアイランドを中心に日本初のライフサイエンス分野のクラスター(集合体)を目指すプロジェクトとして誕生しました。集積した企業・団体は376社(今年9月末現在)に上っています。
これまでは対面形式のみの開催でしたが、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響からオンライン開催となりました。
まず、本学の津田裕子副学長(薬学部教授)が「神戸市のご協力で産学連携サロンを続けてきましたが、昨年は残念ながらコロナ禍で中止されました。研究活動の一部をご紹介し、神戸医療産業都市の発展に寄与できればうれしいです」と開会のあいさつをしました。
続いて薬学部の稲垣冬彦教授と北條恵子助教が講演しました。稲垣教授は「Direct Air Capture(DAC):大気中CO₂を選択的に回収する」と題して研究紹介しました。稲垣教授は、地球温暖化防止に貢献する水分を分離するCO₂吸収・放出剤の発見と開発などについて語りました。
研究内容についての記事「神戸学院大学の研究最前線」はこちら
北條助教は、「立体構造に指南された神経ペプチドリラキシンのアナログ創製」と題して研究紹介しました。ペプチドなど中分子創薬に取り組み、最近の成果について報告しました。
この後、医療産業都市クラスターの各企業からの講演がありました。株式会社ナティアスの片岡正典代表取締役が「アカデミア発の技術で核酸原薬を製造する」と題して主力事業の核酸医薬などについて現状と展望を紹介。続いて、株式会社カン研究所の今井俊夫取締役が「病因に基づく創薬研究を目指して」と題し、神経生物学、免疫学、腫瘍生物学を用いた「統合細胞生物学」による研究を推進していることなどを紹介しました。
最後に屋山勝俊薬学部長が、「新型コロナウイルスの拡大により、人類史上初めてm-RNAを使ったワクチンが開発されました。抗体医薬が開発され、N-ペプチドは第3の医薬品として期待されています。コロナ禍のこの時期、クラスターと聞くと敏感になりますが、医療産業都市クラスターの重要さは認識しています。今後も連携して研究を進めて参ります」と、締めくくりました。
講演後の交流会では、Zoomのブレイクアウトルーム機能で各部屋に分かれ、講演者や参加者が活発に情報交換しました。