神戸市と連携した人文学部のイベント「読書の魅力をつたえよう!」が実施されました
2021/09/21
神戸市との連携で実現した人文学部のイベント「読書の魅力をつたえよう!」が9月17日、神戸三宮サテライトからオンラインで配信されました。Zoomを通じて画面越しに参加した学生とも質疑などでやりとりしました。司会や進行など運営も学生スタッフが担いました。
人文学部のオリジナルサイトの記事はこちら
開会あいさつは人文学科主任の長谷川弘基教授が行いました。イベントは3部構成で、1部はジュンク堂書店創業者で初代社長の工藤恭考氏が「なぜジュンク堂は日本一の書店になったのか~本屋は1日居ても楽しいテーマパーク」と題して基調講演しました。工藤氏は1995年1月17日の阪神・淡路大震災発生後間もない2月3日に神戸市中央区雲井通のサンパルにあった店舗を再開すると、予想をはるかに上回る大勢の客が訪れたことに触れ、「(生活再建もままならない時期に)本屋が開いていないと、皆さんがこんなに困っておられた。こんなに本屋が必要とされていたのかと分かりました」と、当時の思い出を紹介しました。また、ジュンク堂のような大型書店が誕生し、規模や件数が拡大していった歴史も紹介し、「(インターネット書店が拡大しても)日本から大型書店をなくしてはいけない」と、強く訴えました。
■神戸に関する本のビブリオバトルも白熱
2部は神戸に関する本に限定したビブリオバトル。読んで面白いと思った本を持ち寄り、その魅力を制限時間内で紹介し合う書評対決(ゲーム)です。賴實玲奈さん(3年次生)が『ラ・パティスリー』(上田早夕里著)▽坂元錬さん(大学院人間文化学研究科修士課程)が『神戸とコーヒー~港からはじまる物語~』(UCCコーヒー博物館監修)▽石井杏奈さん(3年次生)が『神戸残影」』(久元喜造著)――を取り上げて発表しました。「BEAMS EYE on KOBE ビームスの神戸」を取り上げる予定だった岸本拓馬さん(4年次生)は欠席し、学生スタッフが代わりに発表しました。
3部は「読書の魅力、学生に勧(薦)めたい本など」と題して長谷川教授をコーディネーターに久元喜造神戸市長とジュンク堂書店明石店の角石美香副店長を加えたパネルディスカッションがありました。3人は影響を受けた本として、長谷川教授が高2の頃に読んだドストエフスキーの小説『白痴』、久元市長が繰り返し読んだロマン・ロランの小説『ジャン・クリストフ』、角石副店長が歌人・劇作家など多彩なジャンルで活躍した寺山修司の一連の作品を挙げました。
■書店や図書館を市民の散歩コースに
市民にもっと本に親しんでもらうためには「書店や図書館が街の散歩コースの中に入っているような街づくりが望ましいのでは」との意見に異論はありませんでした。「本との偶然の出会い」が減っているという指摘もあり、書店や図書館で「偶然の出会い」を楽しもうという呼びかけもありました。
教育現場では若者の本離れ、活字離れもしばしば話題になります。若い人が書店を訪れることが減っている点については「私たちの時代と異なり、スマホの普及で待ち合わせの時間つぶしに書店を使うことがなくなったことが大きいのでは」(長谷川教授)との指摘がありました。
■チャンプ本は坂元さんの『神戸とコーヒー』
この後、ビブリオバトルで、参加した学生全員による投票が行われ、坂元さんの紹介した「神戸とコーヒー」が「チャンプ本」(一番読みたいと思った本)に選ばれ、久元市長から著書の『神戸未来景』が贈られました。坂元さんは「『神戸とコーヒー』を片手に三宮・元町かいわいの落ち着いた喫茶店巡りを楽しんでみてください」と喜びの言葉を述べました。
最後に新居田久美子講師が閉会あいさつし、コロナ禍でも開催できたことに感謝の言葉を述べました。