株式会社サンテレビジョンの門野隆弘代表取締役社長が「トップランナー特別講義」で講演しました
2024/07/16
地元神戸の企業経営者の方々が、どのようなビジョンを持って発展してきたかなどについて語る「トップランナー特別講義」。7月8日は、株式会社サンテレビジョンの門野隆弘代表取締役社長が「おっ!サンテレビの55年」をテーマに登壇しました。
門野氏は自らのキャリアのスタートは新聞社の出身であることを明かし、新聞もテレビも「メディア」という同じジャンルではあるものの、その二つは大きく異なる世界であると語りました。特に自身が感じる違いは、その社風にあるといい、テレビ局の社員の半数は20代から30代で構成され、新聞社に比べてとにかく若いといいます。
次に門野氏は学生たちに求めた挙手の数から、新聞もテレビも見る人が少なくなっていることを確認しました。しかし、実はスマートフォンで見る文字情報のニュースは、情報源が新聞であるということや、テレビではなく動画サービスを通じてテレビの映像に触れていることを説明し、今なお私たちのくらしに密接なものであるということを示しました。
続いて門野氏は、サンテレビジョンの沿革について話をしました。サンテレビジョンは東京や大阪などの大きなテレビ局では放送できない、地域に根差した情報をカバーすべく開局し、そのメディアが無ければ知ることのできない情報を扱う、という大きな役割を果たしていると説明しました。1969年に神戸市長田に開局し、1981年にはポートアイランドに本社を移転、2021年には現在の神戸駅前に移転しました。そして今年は開局から55年を迎える記念イヤーであると語りました。
この55周年に合わせたさまざまな特別番組やイベントを、2年前から記念事業推進チームを立ち上げて準備をしてきたことを明かしました。その中から三つの特別番組と、イベントを紹介し、それらは入社2年目に差し掛かろうという社員や、入社10年未満の若手社員たちによって作られたものだと紹介しました。
門野氏はこの企画を通して、面白そうと思ったことを躊躇なく発信し、形に変えていく若者の力を感じたといいます。さらに55周年はきっかけに過ぎず、節目にできることはいつでもできるし、いつでもやっていかないといけないと、これからの展望を強く語りました。
その後門野氏は、視聴者がテレビに寄せる信頼の一つとして、災害時の情報の信憑性の高さであるとデータを示しました。阪神・淡路大震災を被災者として経験した社員たちが、震災当日から撮影や報道を行っていた当時を振り、148人の社員のうち70人が出勤し、震災の取材にあたったエピソードを紹介しました。
あるカメラマンは撮影を躊躇しながらも、後世に残すべき映像であると自らの使命感を奮い立たせ撮影を続けていたそうです。そしてそれらの映像を学生たちと一緒に視聴しました。これは地域に根差したテレビ局だからこそ鮮烈な記録を残すことができたのだと語りました。
最後に、今後発生するであろう南海トラフ巨大地震の話題に触れ、これら災害に対する備え、安心、安全な街を作るために、地域の課題をしっかり掘り起こし、災害以外のテーマも同じくしっかり伝えていくことが地域に根差したテレビ局の役割であり、サンテレビジョンが55年の中で経験したことであったと説明しました。
講演を聞いた学生からは、「特に震災時においてはテレビの情報が必要であり、地域密着型の情報発信をしていることに感謝しています」や「作り手が面白いと思っていないものは、受け手にも面白くないという言葉が印象に残った」といった感想が寄せられました。
次回7月15日は、神戸フィルムオフィス 担当部長の松下麻里氏が登壇予定です。