神戸学院大学

男女共同参画推進への取り組み

男女共同参画介護ワークショップをユニークな演劇的手法で実施しました

2024/09/30

菅原さんを招いて開催した男女共同参画ワークショップ
菅原さんを招いて開催した男女共同参画ワークショップ
あいさつする男女共同参画推進室の中山室長
あいさつする男女共同参画推進室の中山室長
介護に使える演劇的手法について語る菅原さん
介護に使える演劇的手法について語る菅原さん
記念撮影するワークショップの参加者
記念撮影するワークショップの参加者

男女共同参画推進室はダイバーシティ勉強会第3弾として、「老いと演劇」を掲げて活動する劇作家・演出家で俳優でもある菅原直樹さんを招いて9月19日、ポートアイランド第1キャンパスのアクティブ・スタジオで介護ワークショップを実施しました。

菅原さんは、特別養護老人ホームで介護職員として働いた経験があり、2014年には移住先の岡山県で劇団「OiBokkeShi」を立ち上げ、認知症ケアの実践に演劇的手法でアプローチしています。高齢者や介護者と共に作る演劇の公演や認知症ケアに演劇的手法を取り入れるワークショップの開催を全国各地で続けています。

参加したのは「介護」に関心を持つ教職員約20人。男女共同参画推進室の中山文室長から菅原さんの紹介がありました。菅原さんは「認知症の高齢者でも、(演劇の)稽古場に立つとできることはある」とし、妻を在宅で介護した経験を持つ97歳の「看板俳優」に演じてもらう演劇を昨年上演したことを紹介し、参加者を驚かせました。

「演劇の原点は遊びだ」として、遊びとリハビリテーションを組み合わせた「遊びリテーション」を提唱する菅原さんの合図で、体の部位に番号を振り、ルールに従って指差しする「将軍ゲーム」をやってみました。これがなかなか難しいことも分かりました。

菅原さんは「なかなかできませんね。できないから人間味があって面白いですね」と楽天的かつ肯定的。さらに、「人はできないことがあると、反省して学習し、できるようにならないといけない。でも老人ホームの高齢者は、普通これまでできたことができなくなります。できないことにこだわりすぎない。成長ということにしたって人生の上り坂と下り坂では意味合いが違います。下り坂ではできないことを受け入れることが成長ということにもなります」と、含蓄のある話に参加者もうなずきました。

次はシアターゲームの「椅子取り鬼」。足の不自由なおじいさんに空いた椅子に座らせないように椅子に座った人たちが移動を繰り返すゲームで、菅原さんが鬼を演じて、盛り上がりました。「私たちのコミュニケーションは言葉に頼りがちですが、体を使ったコミュニケーションは表現豊かですよ」とも。

最後に「介護現場でケアする人は、実は演技をしている」ことを理解するため、「イエスアンドゲーム」をやってみました。あるグループで同じテーマで会話している時に1人が脈絡のない話をするという想定で、その話を肯定して会話を続けるか、否定して話を元に戻すかという2種類の反応をグループでやってみました。どちらが楽かは人によります。「面白いのは肯定を選んだ人の中に、次は何を言い出すだろうと考えるとワクワクすると答えた人がいたことです」と菅原さんが紹介しました。さらに「認知症の人とは見ている世界が違うのでコミュニケーションができない。その人が見ている世界を尊重するというのも一つの考え方。しかし、どう現実と折り合いをつけるかも考えないといけないです」と、肯定するにしても否定するにしても、バランスが難しいことを伝えました。