神戸学院大学

男女共同参画推進への取り組み

「活躍する卒業生セミナー~第5回『森わさ賞』受賞者をお迎えして~」を開催しました

2024/11/21

講演する橋本加代さん
講演する橋本加代さん
講演を聴く多くの学生
講演を聴く多くの学生
質問する栄養学部の学生
質問する栄養学部の学生
「男性にもエールを」と語る南学部長
「男性にもエールを」と語る南学部長

男女共同参画推進室は11月19日、公益社団法人兵庫県栄養士会会長の橋本加代さんを講師に有瀬キャンパスで「活躍する卒業生セミナー~第5回『森わさ賞』受賞者をお迎えして~」を開催しました。後輩の栄養学部生他、約90人が参加しました。

橋本さんは1979年に本学栄養学部を卒業。研究、教育又は、社会における活動において功績が認められる女性の教職員、卒業生・修了生を顕彰する「森わさ賞」を受賞して今年2月に本学で表彰されました。

講演の演題は「これからの管理栄養士に期待すること~私の管理栄養士としての歩みから~ 」。西宮の北摂中央病院で管理栄養士として働き始め、1981年から1995年までは行政管理栄養士として兵庫県内の保健所や県健康課で公衆衛生や住民の健康維持増進に努めた日々を振り返ってもらいました。「私は卒業する年の1月まで就職が決まらなかったのです。就職のきっかけは、ある人との出会いがあり、『新しい病院ができるので、行ってみたら』と薦めてもらったこと。厨房の設備や食材の発注から献立作成、調理、衛生管理、残飯の処理まで何でもやりました」と、苦労の連続だった様子でした。

■子どもの肥満は大人の肥満につながる
保健所での勤務で携わった事業の一つは子どもの肥満予防対策事業でした。肥満の子どもを集めてキャンプを実施して体を動かしてもらい、親には低カロリー食の調理実習もしました。楽しく肥満を解消してもらうことを狙いとし、夜には花火大会を開催しました。「子どもの肥満は大人の肥満につながります」と訴え、教育委員会や養護教諭、PTA、地域の管理栄養士などの皆さんの協力を得て、事業を実現したといいます。

ほかにも県庁では、栄養改善事業の企画・立案、予算編成、給食施設指導ガイドラインの作成など主要な業務を次々と任されました。「こうした一つ一つの経験が次の仕事に生かされていきます」。橋本さんは実感を込めてこう語りました。

キャリアを重ねて1995年から1999年にはフリーランスの管理栄養士に。「人生において誰もが通る可能性のある子育て、家庭、親の介護など」が転機を促しました。開業医のもとでの栄養指導、訪問栄養指導、保健所業務の補助など、業務は多岐にわたりました。中でも歯科衛生士と仕事をした経験は貴重でした。「ある高齢者宅を訪問した時のこと。歯科衛生士の方が入れ歯を外してもらうのに口の中に手を突っ込まれたのです。管理栄養士が他人の口の中に手を入れることは普通ありません。正直、衝撃を受けました」と、振り返りました。

■ベッドの高齢者と視線を合わせて話す保健師から学ぶ
またある時は、保健師がベッドに横たわる高齢者と話すときにひざをつき、相手と視線を合わせるようにしている様子にも感心し、「いろいろな職種の方と仕事をした経験は私の仕事の質を高めるのに役立ちました」と述べました。

この後、管理栄養士を養成する教育機関での教員としての教育活動を経て、2022年から会長を務める兵庫県栄養士会の業務を紹介しました。多くの職域にまたがる会員の資質向上のための研修会などの開催、県民の栄養改善・健康づくり・疾病の重症化予防の推進(10カ所の地域拠点に設置した栄養ケア・ステーション事業など)、行政や外部の団体との連携、災害時の食に関する支援事業(災害発生地域において栄養に関する支援活動ができる専門的トレーニングを受けた栄養支援チーム「JDA-DAT」や学生ボランティアネットワーク「V-net」の活動支援)など、業務は多岐にわたることが分かりました。

■人との出会いを大切に
最後に、「人との出会いを大切に。特に多職種(他職種)との出会いは人間性の幅を広げるとともに培った人脈は後々助けてくれる」「食の専門家としてのプロ意識を持つ」「生涯にわたり自律的に学ぶ姿勢を忘れない」と、45年間の管理栄養士としての経験を踏まえた後輩へのメッセージで締めくくりました。

学生からは、「一番楽しかった職種は?」と質問があり、橋本さんは「決められませんが、高校のときに教員になりたかったので、管理栄養士養成校の教員になったときにこれもご縁かなと思いました」と答えました。

南久則栄養学部長からの「栄養学部の学生は女性が多いのですが、男性も頑張っているよという話をぜひ紹介していただけませんか」との要請を受け、橋本さんは「大きな病院の栄養部長は男性が多いです。管理栄養士は男女に関係なく活躍されています」と応じました。