「第5回三学部合同研究発表会」並びに「知財に関する講演会」を開催しました
2023/03/03
2月28日に、「第5回三学部合同研究発表会」並びに「知財に関する講演会」を、研究支援グループ産学連携推進室と共催して対面・オンライン併用形式で開催しました。
特別講演1題、招待講演2題(内1題、「知財に関する講演会」)、一般講演5題の講演が行われ40分延長という活気ある発表会になりました。
まず、特別講演では岩手医科大学薬学部の阪本泰光氏が、近年の多剤耐性菌による感染症の脅威に対してジペプチド産生酵素(DPP)の着目と、化合物設計や不純物の少ない宇宙環境を利用したJAXA共同研究の高品質タンパク質結晶生成実験等、新規抗菌薬開発に向けた取り組みを紹介しました。
招待講演では心理学部の長谷和久講師が、潜在的態度を測定する技法の潜在的連合テスト(IAT)(連合:カテゴリー化 類似性、があると反応が早くなる)の実施方法や風評被害の解消に統計情報によるアピールより健康的な少女が福島県産桃を食する写真のポスターが感情に訴え最もアピールとなった結果等、近年の研究知見を基にIATの予測的妥当性について議論を展開しました。
招待講演2題目は「知財に関する講演会」で研究支援センター研究支援グループ産学連携知的財産アドバイザーの井上健二氏が、研究者時代の経験を踏まえて特許について発明の定義や実現性と代替性、職務発明(⇒大学の資金、設備等)、また外国出願等、幅広くわかりやすくポイントを紹介しました。
一般講演では、栄養学部の田村行識講師が、生命活動に必須の微量栄養素の亜鉛(人の体に2gで筋肉に存在)のさまざまな生理機能を調節する亜鉛シグナルの役割や亜鉛の細胞内局在を調節する亜鉛トランスポーターについての研究成果を交え筋肉量と筋力の維持における亜鉛シグナルの重要性について概説しました。
総合リハビリテーション学部の西尾久英教授は、脊髄性筋萎縮症の臨床病型、遺伝子診断、新規治療薬で寝たきりだった乳幼児が起立した事例や乳児期早期の治療を可能にする新生児スクリーニングについて説明しました。
薬学部の安藤徹助教は、放射線によるがん治療法について生体適合性等に優れる天然高分子のキトサンとMRIの造影剤の主成分のGd-DTPAの複合体からなるGd含有キトサンナノ粒子(Gd-nanoCP)の開発やPEG-Gd-nanoCPの表面修飾によるGd分布の均一化と腫瘍内滞留性等の研究結果と考察を紹介しました。
薬学部の福島恵造講師は、2021年11月より1年間、日本ではほとんど実施されていない薬物の個別化投与設計(一人一人に対しての)「MIPD」を学ぶ目的で米国のシンシナティ小児病院臨床薬理部門に留学し、数字モデルの構築や現場への還元、フレイムワークの構築の必要性などを報告しました。
薬学研究科の水谷健一氏は、血管の発生から発達、老化、病態について脳や皮膚をモデルにして神経と血管の連携による脳や血管新生が高まるアグリカン(プロテオグリカンの一種)の存在、また幹細胞が局在している毛の先端の毛乳頭の研究結果による毛の恒常性の維持、認知機能緩和等幅広い議論を展開しました。
「学部を超えて互いの研究を知る」という目標が明確に示され第6回目以後の未来に繋がることが期待されます。