神戸学院大学

全学教育推進機構

産官学連携で新規就農者を育成する「楽農アカデミー」第3期生の開講式を有瀬キャンパスで実施しました

2025/04/18

あいさつをする山下勉副学長
あいさつをする山下勉副学長
第3期生を代表してあいさつをする森脇理恵さん
第3期生を代表してあいさつをする森脇理恵さん
今年の受講生での記念写真
今年の受講生での記念写真
圃場に移動して学ぶ受講者
圃場に移動して学ぶ受講者
圃場の整備を行う受講者
圃場の整備を行う受講者

新規就農促進のために神戸市が創設した「神戸ネクストファーマー制度」を活用して新たな農業従事者を育てる「楽農アカデミー」第3期生の開講式を4月12日、有瀬キャンパスで行いました。

楽農アカデミーは本学とJA兵庫六甲、神戸市が産官学連携プログラムとして企画し、2023年度からスタートしました。これまでに38人の修了生を輩出し、新規就農者の確保に寄与しています。しかしながら、農家の高齢化や後継者不足は年々加速しています。神戸市もその例に漏れず、農業を取り巻く環境は厳しくなっています。今年は15人の受講生が農業の諸課題解決を始め、それぞれの目標に向けた、新たな挑戦を始めました。

「楽農アカデミー」の年間約120時間のプログラムは、農業に関する基礎講義、食と栄養、マーケティングといった幅広い学問分野を有する本学、農作物栽培の基礎から販売方法までのノウハウを持つJA兵庫六甲、行政施策で農家を支援する神戸市のそれぞれの強みを生かして準備されており、農業の実践と経営に活かすことができる内容です。講義は本学有瀬キャンパスで行い、実習は神戸市西区伊川谷町の井吹南営農組合管理の圃場で行います。なお、楽農アカデミーは神戸市の大学都市産官学プラットフォームの社会人リカレント教育としても紹介されています。

今年度の第3期生は10代から60代までの15人で、開講式には全員が出席しました。

まず、本学の山下勉副学長が「日本は多くの食物を輸入に頼っている。また、気候変動等の影響が食生活に直結している。このような状況であるからこそ、新しい農業の担い手の育成を行い、持続可能な農業の形を構築していくことが非常に重要である。本アカデミーで学んだことを生かして農業のこれからの可能性を見出し、地域での活躍を期待する」と述べました。

続いて、兵庫六甲農業協同組合の藤本隆司常務理事が、「食物の価格高騰が話題となっており、農家も消費者も農業に大変興味を持っている。新たに農業を始めた方でも、作物がきちんとできないことを理由に農業をやめる方も多い。営農について相談できる人間関係を構築しながら“つくる力”に重点を置いて取り組んで欲しい。本アカデミーの講義・実習等を通じて地域と農業の一端を担う人材として成長することを願う」とあいさつしました。

また、神戸市経済観光局(農政担当)の椿野智弘局長が、「令和3年8月の神戸ネクストファーマー制度の創設により、短時間の農業研修を受けられる。そのうち、本アカデミーにおいては大学の教員による農業や経営等の講義、JA兵庫六甲の専門的な実習など、さまざまなことを学ぶことができる。これまでの修了生と同じように、各自の目標の実現に向けて研修が実のあることを祈念する」と話しました。

さらに、本アカデミー発足のきっかけをつくられた、しらくに高太郎神戸市会議員が、「西区には高等教育機関、農地いずれもがある。このような環境で何か取組みができないか検討していた。そのような時に神戸市による神戸ネクストファーマー制度を創設され、産官学連携による本アカデミーが発足した。有意義で実りある研修になることを期待・祈念している」とあいさつしました。

最後に第3期生を代表して、子育て世代であるフォトグラファー・栄養士の森脇理恵さんが「子どもへの食育は、調理等だけでなく自己生産も必要であると感じ受講を希望した。本アカデミーを通じて慣行栽培の必要性等について特に学びたい。西区での良い経験を都市部へ発信することが地域活性化にもつながると考えている。主婦層の農業参画のモデルケースになれるようネクストファーマーとして活動したい。農業の効率化にも興味がある。地域の方々と協力して生産、販売に繋がる一歩を踏み出せるよう、この1年で基礎から技能と知識をしっかり学びたい」と述べ、本アカデミーに対する熱い思いと学ぶ意欲が伝わりました。

開講式終了後は早速、現代社会学部の菊川裕幸講師による講義が始まり、「慣行農法と有機農法の違い」や「肥料の三要素」、「育苗から定植まで」を学びました。午後は圃場に移動して、圃場の整備やミニトマトやスイートコーンの定植を行いました。このように座学で学んだことがすぐに実践で生かせるのが楽農アカデミーの特徴の一つです。定植したミニトマトやスイートコーンが受講生の皆さんと共にしっかり育っていきますように。