国際交流センター企画「総領事館連携講義」で在大阪スイス領事が登壇しました
2024/01/12
国際交流センターが企画した「総領事館連携講義」が1月10日、ポートピア第1キャンパスで実施され、在大阪スイス領事館のフェリックス・メスナー領事(領事館長)が特別講義をしました。
領事館は大阪市北区堂島の御堂筋沿いに昨年9月に開設されました。通りに面したガラス張りのウインドーは先端技術を使った自国の製品の展示スペースとして使われています。教育とイノベーション(技術革新)の推進に特化した「科学領事館」と位置付けられ、領事の重要な仕事は日本とスイスの先端企業や研究機関、大学などをつなぎ、新たな事業や研究を生み出すことだといいます。メスナー領事は昨年に続く2度目の講義で「スイスのイノベーション(技術革新)は関西、日本、世界で輝く」と題して英語で話しました。同センターの岡部芳彦所長が司会を務めました。
■日本とスイスは外交160周年
今年はスイスと日本が外交関係を樹立して160周年。領事は両国の長い友好関係を振り返り、スイスで教育を受けた「相対性理論」のアルバート・アインシュタインがノーベル物理学賞を受賞した翌年(1922年)に日本を訪れ、その最初の地が神戸だったという知られざる歴史の1コマを紹介しました。日本とスイスは天然資源に恵まれず、教育やイノベーションの推進に力を入れざるを得ないという共通の事情も話題にしました。
スイスは製薬や精密機器の生産の分野で世界的に競争力が強く、世界各国のイノベーション指数(インデックス)ランキングや、世界の最も幸せな国指数ランキングでいずれも常に上位にあることを示し、「二つの指数は関連しています」と領事は述べました。
「EXPO2025大阪・関西万博」で、Life(生命・暮らし)、Health(健康)、Innovation(イノベーション)をテーマにするスイス館では、開催期間中、40人の運営スタッフを公募するとして「英語が得意で興味のある方は申請してみてください」と領事は呼びかけました。
■正確な描写の「アルプスの少女ハイジ」
学生からは大阪・関西万博出展にかかる費用を尋ねる質問が出ました。領事は「宣伝費、人件費などを含めて総予算は約30億円です」と答えました。
また同博覧会のスイス館に開設される「ハイジカフェ」のお薦めメニューの質問も出ました。領事は「メニューは未定ですが、スイスで好んで食べられるのはロスティー、フォンドボー、ラクレットなどのチーズ料理です」と答えました。
また、岡部所長が「スイスを舞台にしたアニメーション『アルプスの少女ハイジ』は正確に描かれていますか。見て違和感はありませんか」と尋ねました。領事は「ディレクターがスイスに来て、実際に自然を見て取材して作ったので、描写はとても正確です」と答えました。
■中村学長らを表敬訪問し、教育システムなどめぐり懇談
この後、メスナー領事は中村恵学長と国際交流担当の市川秀喜副学長、住智明大学事務局長を表敬訪問しました。スイスでは大学進学率が20~25%と低いのに「科学技術大国」になった理由が話題になり、領事は「優れた職業訓練システムがあるせいです。ドイツやオーストリアにも同じシステムがあります。最近では米国からの視察もありました。このシステムはすぐれていて、各分野で次々とイノベーションを生み出しています。柔軟に運用されており、職業訓練学校を経て大学に入る人も多くいます」と、事情を説明しました。