「総領事館連携講義」でウクライナのコルスンスキー駐日大使が「平和への道」などを語りました
2023/12/11
国際交流センターが企画した「総領事館連携講義」でウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が12月6日、ポートアイランド第1キャンパスで講義しました。
講演に先立ち、コルスンスキー大使は中村恵学長を表敬訪問し、国際交流担当の市川秀喜副学長、生田卓也副学長、岡部芳彦同センター所長を交えて懇談しました。ウクライナが求める日本からの支援や日宇の教育・科学技術交流の進展への期待などについて懇談しました。神戸市長田区の神戸国際コミュニティセンター(KICC)にあるKOBEウクライナ図書館では、ウクライナ語の本と絵本、ウクライナに関する日本語の本を借りることができることも紹介してもらいました。
■日本からの支援に感謝
大使の講義は3回目で今回のテーマは「ウクライナ:歴史、文化、平和への道」。大使はウクライナ語で話し、二等書記官のユリア・ザモルスカさんが日本語に通訳しました。ウクライナの歴史は古く、キーウ大公国(キーウ・ルーシ)が成立したのは9世紀の終わりごろで、原野だったモスクワが開拓されるずっと前から宗教、政治、社会活動があったことを紹介しました。同国は1240年代にモンゴルの侵攻を受けて解体し、複数の国に分裂し、17世紀にはモスクワ大公国の支配下に入りました。旧ソビエト連邦が解体し、ウクライナは住民投票を経て1991年に独立した歴史を学びました。
カラフルな糸で刺繍した民族服「ビシバンカ」、民族舞踊のコサックダンス、ウクライナ料理「ボルシチ」をはじめ、豊かな民族文化についても紹介してもらいました。日本では「コウノトリ」は赤ちゃんを運んでくる鳥とされましたが、ウクライナでは家、家族、平和を守る鳥だとの説明もありました。
最後に大使はロシアの軍事侵攻によって始まり、今も続く戦争被害の現状を語り、「何人かの負傷者は日本で治療を受けています」「2000人以上の市民が戦火を逃れて日本に避難しています」などと述べ、日本による支援にも感謝の意を伝えました。
■ウクライナが考える戦争終結の条件は
学生からは、「ウクライナはどこで戦争を終わらせようと思っているのですか」との質問が出ました。大使は「①ウクライナの領土からロシア軍が撤退②ロシアが破壊したインフラを復旧、復興するのに賠償させる③戦争犯罪人への処罰をする――の3条件が満たされて初めて終戦を承認できるとしました。
別の学生は「ウクライナを支援するために私たちができることは何ですか」と尋ねました。大使は「世論調査では約8割の日本人がウクライナへの支援を支持してくださり、日本の政府からは私たちが求める支援をいただいています。皆さんにお願いしたいのは、今何が起きているかに関心を持ち理解していただくことです。そしてSNSに書き込んで発信してください。日本政府も皆さんのSNSは良く読んでくれています」と答えました。