Message:教員からのメッセージ
2004年、本学に着任したとき、経験豊富な吉野絹子先生をはじめ、優秀な女性に囲まれながら男性の私が働くという姿は、近未来の心理学教員、あるいは大学教員のあり様であると直感しました。それから10年。人間心理学科では、私が本学に着任したときに感じた「未来」を、多くの男性教員が感じているのではないでしょうか。
女性と男性それぞれの性別の教員が、どちらか一方に偏るのではなくバランス良く周りにいるということは、それ自体が新たな「気づき」を生み出すものなのかもしれません。学科に属する多くの女子学生にとっては、大学外の社会で活躍された後に本学で活躍されるベテランの女性の先生方、あるいは、年の近い若手の女性の先生と、それぞれに異なる意味や立場でのロールモデルであり、身近な「目標」となっているように感じます。
近年、いろいろな課題を抱えながら大学で学ぶ学生が増え、その対応にあたることも増えました。保護者との連携も重要度を増しています。こうした対応を検討するうえで、女性であるからこそ経験できる多様な体験が問題理解と対策の検討に有効に機能しています。また、こうした問題それ自体が私たちの研究対象となるだけに、学科全体の研究力を高めているようにも感じます。
性別だけでなく、いろいろな経験や立場の違いを乗り越え、それぞれの教職員がもつ独自の知恵を学科や大学内で共有するための触媒、あるいは、知の共有へ向けたリーダシップを発揮していただくことを、女性(だけではありませんが)の先生方に期待しております。集団や組織が高い生産性、あるいは創造性を発揮するためには多様性を確保していくことが不可欠です。人間心理学科の「多様性」を生かし、さらに魅力ある教育組織になるための新たな知恵の創出や活動を女性教員のみなさまに期待したいと思います。
神戸学院大学人文学部人間心理学科は、2004年の学科開設以来、『社会参加する心理学』をテーマに発展してきました。人間心理学科は、発達心理学、臨床心理学、医療心理学、社会心理学の4つの領域からなっていますが、各領域がそれぞれの分野の研究を大切にしつつ、学生の教育に取り組んでいます。学科開設後、10年が経過し、大きな社会の変化に対応していく過程で、現在のバランスが取れた教員構成となりました。そのことが神戸学院大学人文学部人間心理学科の大きな特徴のひとつにもなっています。
これまで、神戸学院大学人文学部人間心理学科では、多くの女性の先生方が長年活躍されています。それぞれの先生方は、大学での教育・研究だけでなく、社会、産業、教育・保育、福祉、医療といった分野で社会的に活躍されている先生ばかりです。さまざまな分野の多くの教員がいるということは、学生にとって、教員とのコミュニケーションが取りやすい状況を生み、そのことが、学科の明るさや元気さにつながっています。また、心理専門家としてのモデルだけでなく、社会的モデルを示すことにもなっていると思います。