ジャーナリストの藤原亮司さんが社会防災学科「ゼミナールⅢ」でガザ地区について講演しました
2024/05/23
ジャーナリストの藤原亮司さん(ジャパンプレス)が5月17日、「空の見える監獄 ガザで何が起きている?」をテーマに現代社会学部社会防災学科の授業「ゼミナールⅢ」で講演し、同学科3年次生の水本有香教授ゼミのほか合同ゼミと、経済学部の岡部芳彦教授ゼミの3年次生が参加しました。
藤原さんは、パレスチナ、シリア、ウクライナ、ドネツク、レバノン、イラク、アフガニスタンなど、イスラム圏諸国を中心に取材し、国内でも在日コリアンの現状や、原発事故及び震災関連の取材を続けています。
講演の初めに、元々パレスチナに住んでいた多くの人々が土地を奪われ、ユダヤ人の国であるイスラエルが建国された経緯を説明しました。パレスチナはヨルダン川西岸地区とガザ地区に分かれており、ガザ地区は名古屋市と同じぐらいの面積に約222万人が暮らしているとされます。
2023年10月7日、ガザ地区とイスラエルの境界近くで開かれていた音楽イベントをハマスの戦闘員が襲撃したことをきっかけとして、イスラエル軍によるガザ地区への大規模な攻撃により、ガザの人々の命と尊厳が奪われ続けている状況を踏まえて、講演会を開催しました。
ガザ地区の失業率は「実質70%を超える」と言われており、人々はガザから出ることは許されず、「空の見える監獄」のなかで、占領しているイスラエルではなく、日本を含む国際社会や国連によりずっと支援されてきたという説明があり、異常な状況についての認識を共有しました。10月7日以来、イスラエル軍の激しい攻撃にさらされ、人々は大家族でロバや徒歩でガザ地区の北部から南部へ避難しましたが、南部も攻撃され再度避難を余儀なくされていることに関連して藤原さんは、「社会防災学科の学生さんはテントでの暮らしが大変なのが分かってもらえると思います」と避難者のテントが並ぶ写真を示しました。
藤原さんの以下の話を聴き、学生らの間でガザをめぐるニュースの見方、読み方が変わりました。
「報道で『ハマス』とみなさんも聞いたことがあると思いますが、ガザにおいて政治や行政を行なう部門を含めた総称を『ハマス』といい、軍事部門は『カッサーム旅団」といいます。現在でも『ハマス』の医療、教育、社会福祉などの活動を行う部門が存在し活動しています。『ハマス』や『テロリスト』と聞くと、そのまま思考停止に陥ってしまいそうですが、『テロ』『テロリスト』という言葉は国家や政府、つまり体制側・権力者側が定義する言葉であり、本当はどうなのか。また、これほどまでに世界の人たちや国々、組織に関心を持たれ続けながら、これほどまでに完全に黙殺されてきた問題はありません。みなさん、考えるのをやめないでください」
参加した学生らは、「これを機に、ガザなどのニュースを見たら、今までの視点を変えて注目したい」、「今後は報道が本当に正しい見方なのかを考えながら情報に向きあいたい」などの感想を述べました。