社会防災学科が市民公開講座「能登半島地震の被害状況と支援活動について」を開催しました
2025/02/10
現代社会学部社会防災学科主催の市民公開講座「能登半島地震の被害状況と支援活動について」が昨年12月14日、ポートアイランド第1キャンパスで開催されました。
同年1月1日に発生した能登半島地震の現状や支援活動、その中から浮かび上がった課題について取り上げました。シンポジストとして北陸学院大学社会学部社会学科の田中純一教授、特定非営利活動法人CODE海外災害援助市民センターの吉椿雅道事務局長、現代社会学部社会防災学科の中田敬司教授を迎え、コーディネーターを社会防災学科の江田英里香教授が務めました。当日は学生を含めた約130人が参加し、会場とのディスカッションも行いました。
◆北陸学院大学の田中純一教授による報告
田中教授は、震災後の能登の現地状況について報告し、特に「ボランティアがいない」ことを大きな課題として指摘しました。震災から1年が経過した現在でも、能登は「音のない被災地」と化しており、復旧がほとんど進んでいない現状を「まだ復旧のフェーズにも達していない」と表現しました。さらに、9月には豪雨災害も重なり、現地は壊滅的な状況となっています。田中教授は、「オトナ+学生+クルマ」というボランティア受け入れの仕組みを構築し、多くの学生ボランティアを受け入れている現状を紹介しました。特に被災者の心の健康づくりに注力していると述べました。
◆CODE海外災害援助市民センターの吉椿雅道事務局長による報告
吉椿事務局長は、CODEのキャッチフレーズ「最後の1人まで」を紹介し、学生とともに能登で実施している支援活動について報告しました。家屋の片付けや足湯の提供といった活動を通じ、被災者に「話すこと」「心の元気」「希望」をもたらしていると説明。さらに、学生ボランティアにとっても、被災地での活動を通じて日本が抱える課題を考える機会となり、人とのつながりの大切さを実感する貴重な学びになっていると述べました。
◆社会防災学科の中田敬司教授による報告
中田教授は、医療コンテナを活用した被災地支援について報告しました。この取り組みの中で法的な課題が大きな壁となり、医療救助法の適用外であるため、コンテナが待機室や待合室としてしか使用できなかったケースもあったと指摘しました。また、ニーズ調査や手続きの煩雑さといった課題も明らかにし、医療コンテナの今後の活用方法についての提案がありました。
◆質疑応答と今後の展望
質疑応答では、非常時だけでなく平時から地域とのつながりを持つことの重要性について議論が展開されました。能登の事例を通じて、地域の「まつり」がその役割を担う一つの手段として注目されるべきことが共有されました。