神戸学院大学

現代社会学部

現代社会学部の鈴木洋仁准教授による土曜公開講座「皇室の現在と私たちのくらし」を開催しました

2023/10/24

講義の様子
講義の様子

10月14日ポートアイランド第1キャンパスで現代社会学部 現代社会学科の鈴木洋仁准教授による土曜公開講座「皇室の現在と私たちのくらし」を開催し、74人が参加しました。

今秋の土曜公開講座は第86回となり、前半は現代社会学部の教員、後半は薬学部の教員が各研究分野を「私たちのくらしと文化」という統一テーマに基づき、全6回の講義を行います。

冒頭に鈴木先生は、なぜ日本国憲法の第1章は天皇について記載されているのか、記載されていることと私たちのくらしにはどのような関係があるのかについて、日本の法律は「御名御璽(ぎょめいぎょじ)」というかたちで、最終的に天皇が署名をしないと発行されず、その効力が機能しないことを言及しました。

1993年、雅子さまは皇太子さまとご結婚され、皇太子妃になられました。雅子さまはハーバード大学を卒業しており、元外交官として国際的に活躍されてきました。ご成婚30年を機に、この30年を振り返ると、皇室外交や豊かな国際感覚を生かし、日本だけではなく海外からも、これまで以上に「開かれた皇室」になるのではないかと期待されており、「雅子さまブーム」として世間は熱狂していました。

しかし一方で雅子さまに対する誹謗中傷の言葉が見られ、「皇族と人権」が深刻なテーマとして浮上し、憲法学の世界でも議論されるようになっていきました。皇族には居住の自由、職業選択の自由、選挙権などがなく、これは人権を制限されていると考えるか、私たちと別の位置づけの人権を持っているかが議論され、現在では「飛び地説」という考え方もあります。

対してこの先30年後の皇室がどのようなかたちとなるのか、女系・女性天皇や旧宮家の存在について鈴木先生の見解を述べました。専門家の中では、日本国籍以外の方が皇族になることや、その影響について議論する方も出てきているようです。

鈴木先生は皇室とメディアとの関係についても説明し、広報室は機能しているのか、皇室の発信する情報はなにかについても言及しました。

講義の終盤は質疑応答の時間となり、聴講した方の中には積極的に質問を繰り返す方もいらっしゃいました。いただいた感想の中には、「皇室のことを考える良い機会となった」、「皇室のニュースにほとんど関心がないのでこの機会は貴重だった」、「講義の続編が聴きたい」など多くの感想が寄せられました。

次回は、10月28日に現代社会学部 現代社会学科の菊川裕幸講師による「人間は植物になぜ癒されるのか―園芸療法と農福連携の事例から―」です。