現代社会学部
社会防災学科の授業で絵画教室代表の中嶋洋子さんが阪神・淡路大震災当日のある出産・誕生をめぐる物語を子どもたちが描いた絵画を紹介しました
2023/12/06
神戸市東灘区で幼稚園児から高校生までの絵画教室「アトリエ太陽の子」を開いている画家の中嶋洋子さんが11月21日、客員教授を務める現代社会学部社会防災学科の授業「防災教育Ⅰ」で講義しました。
中嶋客員教授は阪神・淡路大震災で被災し、絵画教室の教え子2人が亡くなったことから教室の子どもたちに震災の経験や家族らからの伝聞を絵にする活動を続けてきました。絵画教室を再開したのは大震災があった1995年4月。「最初はこわばっていた子どもたちの表情が柔らかくなり、鼻歌が聞こえてきました。絵を描くことで心が解放されたのです」
その後、中嶋客員教授は国内外で起きた大地震や津波などの大災害の被災地には何度も足を運び、子どもたちの絵を贈ったり、被災者の子どもたちに大きな絵を描いてつらさやストレスを発散してもらったりするボランティアの活動を続けてきました。
授業ではこれまでの活動の紹介に加え、「アトリエ太陽の子」の子らが描いた絵画を見せながら、中嶋客員教授は絵が伝える「命の物語」を学生に語り聞かせました。特に、本学卒業生で、阪神・淡路大震災の当日、両親をはじめ多くの人たちの奮闘で生まれた中村翼さんの誕生をめぐるドラマチックなストーリーを聞いて子どもたちが描いた絵画には多くの学生が胸を打たれました。絵画は授業を担当する舩木伸江教授と連携して絵本にする構想もあります。
中嶋客員教授は子どもたちが描いた多くの「震災当日の赤ちゃん誕生」の絵の中から最も印象に残った絵と場面を学生に聞き、学生は次々と感想を述べました。
- がれきだらけで大渋滞の中、警察官がお母さんを乗せて病院に向かう車をう回路に誘導してくれた場面です。職務上の責任を問われることを覚悟で……
- 病院も停電しているのにお医者さんたちが懐中電灯の光だけで赤ちゃんを取り上げた場面です。看護師さんたちが全員泣いてくれたところが感動的
- 夜中に親戚の家に行き、赤ちゃんをお風呂に入れて、みんながほっこりしている場面です。出産はたいへんやったけど、報われましたね
授業の最後に、舩木教授がサプライズで中村さん本人を紹介しました。教室は驚きに包まれ、中村さんも自身の誕生の物語の絵を目にして、「うれしいです」と話していました。