「はたらく世代の女性の健康を支えるセミナー」で総合リハビリテーション学部の松原教授が講演しました
2023/10/25
「はたらく世代の女性の健康を支えるセミナー~ココロとカラダが“整う”運動療法~」が10月20、21日の両日、本学神戸三宮サテライトで開催され、総合リハビリテーション学部の松原貴子教授が講演しました。
このセミナーは、神戸市の公募型プロポーザル事業に採択された本学と株式会社アシックス、株式会社神戸新聞社、株式会社ラスイート、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が共同事業体で運営する「KOBE Sports& Well-being City Project」の一環です。このプロジェクトには、神戸市在住または市内在勤の20~40代の女性約100人がモニターとして参加しています。
松原教授は、「慢性の痛み」の病態解明と治療法開発を専門とする理学療法士です。軽妙なトークでも知られています。月経随伴症状や更年期障害など女性のライフステージごとに現れる諸症状は、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の変動や減少などの影響とされます。松原教授によると、「仕方ない」とあきらめる人が多く、医療機関受診のきっかけがなかったり、「未病期」の予防策がなかったりすることが問題です。うまく対処するには、「セルフマネジメントが重要」だとして、その方法について解説しました。
つらい痛みを緩和する方法としては、「運動が最善の治療薬」とされています。「副作用がなく、何よりただです」とジョークで会場をわかせました。就労年代の女性に多い「慢性疼痛」は本人のつらさに加えて、医療費や薬剤費の増大につながり、社会的・経済的損失も大きく、「プレゼンティーズム」(出勤はするものの効率・生産性が低下している状態)」を招くと指摘しました。こうした女性特有の健康課題の改善には「ココロとカラダが“整う”運動」が必要との対応策を示しました。
運動の効能として、鎮痛効果もある"ハッピーホルモン"と呼ばれる神経伝達物質が脳内に出て、例えばセロトニンでは気分が良くなるといいます。"脳内麻薬"とも言われるエンドルフィンも痛みを和らげるほか、抗ストレス作用のあるノルアドレナリン、やる気物質のドパミンなども放出されます。また、筋肉を収縮させると、骨格筋からマイオカインを遊離させ、抗酸化・糖化・炎症作用がもたらされます。
この後、アシックスによるワークショップでは、自己紹介や共通点を探す話し合いなどで大いに盛り上がり、「運動による健康課題解決」という同じ目標に向かい、モチベーションを高め合いました。
今後、女性ホルモン検査や痛みの定量的感覚検査、体組成などの測定会を経て、プログラムを実施し、ランニング教室参加などで運動の効果が女性の健康課題の改善や痛みの緩和にどう役立つかを調べていきます。