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神戸学院大学

薬学部

薬学部の亀井敬泰准教授らの研究グループが海馬神経細胞にタンパク質医薬を標的化する技術を開発しました―アルツハイマー病などの認知症治療創薬の促進に期待-

2024/10/01

インスリンの融合によるタンパク質医薬の海馬神経細胞標的化の概略図
インスリンの融合によるタンパク質医薬の海馬神経細胞標的化の概略図
マウスへの脳室内投与後のインスリン融合タンパク質の海馬神経細胞への集積性
マウスへの脳室内投与後のインスリン融合タンパク質の海馬神経細胞への集積性

薬学部の亀井敬泰准教授らの研究グループは、アルツハイマー病等の認知症治療薬の治療標的である海馬神経細胞にタンパク質医薬を標的化するための薬物送達システム(Drug Delivery System: DDS)を開発しました。本研究の成果により、認知症治療薬の開発が促進され、多くの有望な医薬品の創出につながることが期待されます。この成果は、米国東部時間2024年9月30日(月)午後3時〈日本時間10月1日(月)午前4時〉、国際科学誌Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS:米国科学アカデミー紀要)のオンライン版に掲載されました。

【研究成果のポイント】
◆生理活性ペプチドであるインスリンをタンパク質に融合することにより、元のタンパク質と比較して、脳送達後の海馬神経細胞への集積性が向上することを見出しました。
◆インスリン融合タンパク質がインスリン受容体と結合することにより、海馬神経細胞の能動的取込み機構(マクロピノサイトーシス)が活性化されることが明らかになりました。
◆タンパク質医薬とインスリンの融合タンパク質を設計することにより、海馬神経細胞への標的指向化が可能になり、認知症治療薬の開発が促進されるものと期待されます。

【論文情報】
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)

論文タイトル:Insulin-inspired hippocampal neuron-targeting technology for protein drug delivery

著者:Noriyasu Kamei*, Kento Ikeda, Yuka Ohmoto, Seita Fujisaki, Ryusei Shirata, Maya Maki, Mika Miyata, Yuki Miyauchi, Nanaka Nishiyama, Mana Yamada, Yuna Ohigashi, Mariko Takeda-Morishita
(*責任著者)

DOI: 10.1073/pnas.2407936121

【研究資金】
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費・基盤研究(B))、公益財団法人武田科学振興財団、公益財団法人持田記念医学薬学振興財団からの助成を受けて実施されました。

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