薬学部4年次生の専門科目の講義にて、能登半島地震の被災地に派遣された薬剤師による講演を行いました
2024/11/13
薬学部4年次生を対象とした専門科目「臨床薬学Ⅱ」にて、令和6年能登半島地震後に薬剤師として被災地に派遣された田村亮薬剤師による、「災害医療における薬剤師の役割」をテーマとした講演を行いました。司会およびコーディネーターは、本講義の担当教員である、薬学部の池村舞講師が担当しました。
臨床薬学Ⅱは、薬学部4年次生を対象とした専門科目であり、5年次生での薬局や病院における長期実務実習に行く前に、薬剤師の仕事やそれに関する知識の修得を目指す講義です。災害対応への貢献は、薬学教育モデル・コア・カリキュラムの一つとなっていますが、実際に被災地で活動したことのある薬剤師の数は限られており、薬学部の6年間で、経験者から話を聞く機会はほとんどありません。今回の講演は、学生にとって貴重な経験となりました。
田村薬剤師は、薬剤師として15年以上のキャリアを持ち、普段は神戸市立医療センター中央市民病院にて薬剤師(主査)として救急医療などに従事しています。田村薬剤師は、兵庫県薬剤師会のチームとして、今年1月に発生した能登半島地震で被災した地域に派遣され、数週間活動した経験を有します。神戸市立医療センター中央市民病院と本学は、教育・研究の連携協定を結んでおり、今回の講演が実現しました。
田村薬剤師は、災害の種別や活動チームの種類などの基本的な内容、「災害時の調剤はどこで行う?」「災害時に処方箋は絶対必要?」「トリアージとは?」といった薬学生が知っておくべき知識、さらには、能登半島地震で実際に経験した仕事、ぶつかった困難とその解決方法、モバイルファーマシー(被災地において薬局機能を果たす車両)の実際、災害対応の大原則など、経験者にしか分からない被災地での薬剤師の活動の実際まで、幅広く講演しました。そして、被災地に行くだけが災害支援ではなく、勤務先の医療機関にて、派遣チームが必要とする医薬品や物品の調達、現地の道路などの情報収集、派遣された人が担っていた通常業務のカバー、被災地への寄付など、被災地に行かなくても災害支援につながることもあると説明しました。
学生は、災害医療における薬剤師の役割について、教科書の内容から実際の被災地での薬剤師としての活動まで、時には問題演習を行いながら、理解を深めることができました。
実際に聴講した学生からは、「実際に活動した薬剤師の方から話を聞く機会は少ないと思うし、とても有意義だった」「災害時の薬剤師の仕事をイメージできた」「実際の活動を聞いて、尊敬と感謝の気持ちを抱いた」といった声があがりました。