薬学部の尾上浩隆教授らの研究論文がNeuroscience Research誌にオンライン掲載されました。
2025/02/14
薬学部神経精神研究室 尾上浩隆教授らの研究論文がNeuroscience Research誌にオンライン掲載されました。
【タイトル】Different properties of successful and error saccades in marmosets
【著者】 Wajd Amly, Chih-Yang Chen, Hirotaka Onoe, Tadashi Isa*
Neurosci Res. Available online 5 February 2025
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サル類の一種であるコモンマーモセット(Callithrix jacchus)は、霊長類としてヒトとの高い類似性を有し、成獣でも300〜400g程度と比較的小さく、ハンドリングしやすいという特性を持つことから、実験動物として非常に有用です。このため、現在では神経科学や発生学、創薬など幅広い分野で利用されています。さらに、サッケードは霊長類が興味を持つ視覚目標を視力の高い網膜中心窩で捉えるために行う急速な眼球の運動であり、高次認知機能の神経メカニズムを研究するための貴重な指標となっています。マーモセットは、さまざまな眼球運動パラダイムにおいて、ヒトやマカクサルと同様のサッケードを示すことが報告されています。
今回の研究では、成功したサッケードと失敗したサッケードを、サッケードの速度、持続時間、潜時を予測因子とする一般化線形モデルを用いて検証した結果、サッケードの成否がが、これらの指標から予測できること、つまり認知過程とサッケード運動をプログラムする過程との相互作用によって、サッケードの成否が既定されていることが明らかになりました。このような特性は、今後、サッケード行動における課題特異的な適応や学習過程の神経ネットワークを研究する上で非常に重要です。
なお、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(Brain/Minds)の助成を受けて、京都大学大学院医学研究科の伊佐正教授らと共同で行った研究成果に基づいています。