薬学部が「循環器」をテーマに第4回大学―医療連携特別講義を行いました
2023/12/26
神戸市立医療センター中央市民病院との包括連携協定に基づく薬学部の大学―医療連携特別講義の第4回が11月16日に開かれました。杉岡信幸教授の担当授業で、司会は元同病院薬剤部長の橋田亨教授が務めました。特別講義も最終回となり、「循環器」をテーマに、昨年度と同じく同病院から循環器内科副医長の村井亮介医師と木下恵薬剤師を講師に招きました。
村井医師は日本心臓リハビリテーション学会の心臓リハビリテーション指導士の資格を持っています。循環器内科で主に担当するのは虚血性心疾患と心不全で、疾患の背景には生活習慣病があることが多く、疾患の前段階で動脈硬化や高血圧などの症状がよく見られるとのことです。
治療には薬物療法と手術、カテーテル治療などの非薬物療法があります。慢性心不全の場合は息切れ、むくみなどの症状を抑えるための治療と予後を改善するための治療があり、ガイドラインを遵守した薬物療法を実施しているとの説明がありました。
しかし、治療には医師だけではなく、多職種の連携が欠かせないとして、同病院では心臓リハビリテーションケースカンファレンスの実施や電子カルテの利用で患者の情報共有をしていることを強調しました。
さらに地域全体での多職種連携組織として「神戸心不全ネットワーク」が活動しており、「心不全手帳」を配布して患者の病状や服用している薬剤などの情報を共有しているといいます。また、「CURE-KOBE(神戸地域一体化リハビリテーションコンソーシアム)」が高齢者のQOLを高め、健康寿命を延ばすために、疾患を問わず急性期から回復期、生活期までの地域包括ケアプロジェクトを実施していることにも触れてもらいました。
木下薬剤師は2016年に本学薬学部を卒業し、日本循環器学会の心不全療養指導士の資格も取得しています。同病院では「心不全チーム」などに所属しており、心不全患者の治療に薬剤師が関与するメリットとして、心不全による再入院率の低下や死亡率の低下、アドヒアランス(治療方針の決定に患者が積極的に参加し、その決定に沿って治療を受けること)の一時的向上、循環器疾患に使用する薬はハイリスクで安全管理が必要なことなどを挙げました。
最後に、「患者の服薬アドヒアランスの向上には、多職種によるチームアプローチが推奨されており、薬剤師ならではの目線で行っていることをチーム全体で共有することが大切だ」と締めくくりました。
「循環器系の疾患に興味を持たれた理由は」との学生からの質問に対し、木下薬剤師は「学生時代は何に興味があるのか分かりませんでした。入職して研修で興味を持ち(配属で)希望が通りました」と答えました。
心不全療養指導士についての質問もあり、木下薬剤士は「資格取得には幅広い知識が必要で、身につけた知識がカンファレンスに出て、理解が深まることがあります。理学療法士、栄養士など、ほかの職種の人たちと一緒に勉強したことで仲良くなれたことも良かったことです」と答えました。