薬学部の平野裕之講師が「健康づくりサポートプログラム」を実施しました
2023/11/13
薬学部の平野裕之講師が、11月11日にポートアイランド第2キャンパスで、健康づくりサポートプログラム course04「くらしの中の薬食同源」を開催しました。
「人生100年時代」高齢者から若者まで、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくることが重要であり、教育・ライフスタイル・働き方などを含めて、誰もがWell-Being であることが大切だと言われています。そのような人生を共に歩む「自分の心と身体」へのセルフケアの一助として、創設者・森茂樹博士(初代学長)が抱いた予防医学への思いを継承し、総合大学の特徴を生かした「健康づくり支援プログラム」を2022年度よりスタート。今年度は総合リハビリテーション学部・栄養学部・薬学部そして心理学部の4学部が「食」と「運動」そして「心」について考えるプログラムを5つのコースに分けて実施しています。
course04「くらしの中の薬食同源~身近な食薬の活用法を知ろう~」は、30~80代のさまざまな世代から多数のお申込みがあり、当日は抽選により当選した10人が参加。食は健康の源であるという視点から「食品」と「医薬品」の違いを踏まえて、食品として使われる生薬を普段から上手く取入れ健康を維持するための活用について学びました。
冒頭に、日本では「医薬同源」という言葉をメディア等で目にする事があるが、これはもともと中国で古くからある言い伝えの「薬食同源」という言葉で「身体に良い食材を日常的に食べて健康を保てば薬を必要しない」という意味があり、「食」というものが大切であることを謳っています。平野講師は、「生薬・漢方は煎じで飲むが、日常の食生活の取入れやすいように、今日は西洋ハーブの使い方を用いて伝えたい」と語りました。
「薬」の歴史は古く、世界では紀元前3000年前のメソポタミア文明の遺跡から出土した粘土板に「薬」と書かれ、植物性250種類以上、動物性180種類以上、鉱物性120種類以上が使用されていたとの記録がありました。驚くべきことに、今でも薬として使われているアヘン、センナ、桂皮、アーモンドの種等は、使用方法が今と同じでした。つまり、その時代にはすでに薬の概念があり、何に効果があるのかなどの記録が残されており、「薬」はそれ以前から使われ伝承されていたことが分かります。
またその中では、オリーブ、ローリエ、いちじく、ナシ、牛肉、牛乳、食塩が薬であると記されています。これは、食として健康を維持するために必要なものであるという認識の下に入れられており、この時から「食するものが病気を抑える」という考え方を持っていたことが分かります。平野講師は、「各国の伝統医学(中薬、アーユルヴェーダ、西洋ハーブ等)の基本となっているのはこの考え方で『食と薬』は切り離せないことが分かる」と説明しました。
では、「食品」と「医薬品」の違いは?という疑問が生じます。日本の国が定める基準では、「食品」と「医薬品」はそれぞれの法律で概念を定めており、「医薬品」は効果(効能)があることが前提で、品質の管理や保証も厳密に行うことが義務づけられています。平野講師は、「同じ食材でもこのような違いがあるため、正しい理解をもって選択を行ってもらいたい」と語りました。
そして、本題である「身近な食薬」について解説。まず、食品としても使われる生薬の活用法を考えるのに大切な“身体の状態”を知るために「八網弁証論」「気血水」「三陰三陽論」の考え方について説明を行いました。病気の位置、進展、性質、強さを「陰陽、表裏、寒熱、虚実」で判断すること。生命を維持する三要素「気血水」の過不足や滞りがないことが正常な状態であるという考え方。そして、発病から死に至るまでの病気の段階を3つの陽期と3つの陰期に分類して考えてられていることを丁寧に解説。具体的な例として、秋から冬にかけての健康維持に役立つ食材として14種類の食材を上げてそれぞれの特徴を説明し、サンプルとして準備した10種類の食材をハーブティーのように、お湯で抽出して体験してもらいました。普段よく口にする菓子に用いるシナモンとの違いや、同じショウガでも加熱処理の有無によって用途が変化することなどを説明しました。
参加者からは、「同じショウガでもこのような違いあるのは初めて知った」「早速やってみたい」などの声があがりました。