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神戸学院大学

薬学部

薬学部が「救急」をテーマに第3回大学―医療連携特別講義を実施しました

2023/12/22

学生からの質問に答える浅香医師(右)と鎌田薬剤師
学生からの質問に答える浅香医師(右)と鎌田薬剤師
司会進行する橋田教授(右)
司会進行する橋田教授(右)
多数の学生が参加した特別講義
多数の学生が参加した特別講義

神戸市立医療センター中央市民病院との包括連携協定に基づく薬学部の大学―医療連携特別講義の第3回が11月15日に開かれました。授業は杉岡信幸教授が担当し、元同病院薬剤部長の橋田亨教授が司会を務めました。「救急」をテーマに昨年度と同じく同病院から救急科医長の浅香葉子医師と、鎌田里紗薬剤師を講師に招きました。

最初に橋田教授から「中央市民病院の救命救急センターは365日24時間患者を受け入れており、市民の命を守る最後のとりでだと言われることもあります」と紹介がありました。

浅香医師は、テレビドラマなどによく登場する救急外来ではなく、ICU(集中治療室)での治療が主な担当です。ICUでは重症感染症をはじめ、あらゆる重篤な患者を受け入れており、コロナ禍では重い呼吸器不全の患者が多数入院したといいます。

ICUは同病院でも医師、看護師、栄養士、薬剤師など多職種のチーム医療になっています。患者の元々の内服薬の確認や点滴薬剤の濃度の管理など、薬剤師も重要な役割を担っているといいます。

浅香医師は「チームで対応することで、エラーを防ぎやすくなり、(病状変化などの)早期発見にもつながります」と、メリットを挙げました。また、重篤患者の治療方針については「患者の意思が最も優先されるべきですが、意思を伝えられる状態ではない場合が多いので、本人に代わって患者の代理者に本人の思いを代弁していただきます」と、述べました。

続いて、鎌田薬剤師に救急・集中治療での薬剤師の役割について話してもらいました。鎌田薬剤師も入院部門での業務が中心で、具体的には患者の常用薬の確認や服薬指導、ICUでの多職種回診への参加などを挙げました。

患者が緊急入院になることも多く、医師とは別に薬剤師による患者の常用薬確認も行われているといいます。「医師・薬剤師間で誤りがないかをダブルチェックできる」「患者と直接話ができる場合は新たな情報を得られることもある」とし、多職種で(常用薬についての)情報を共有することで「正確かつ安全に入院前の治療を継続することにつながる」と鎌田薬剤師は述べました。

最後に鎌田薬剤師は、「薬剤師の目線で、薬剤を中心にモニタリングするのに加え、患者の状態を正確に把握して、個々の患者に応じた投与法、投与量、投与経路を提案する」と、チーム医療での役割をまとめました。

学生からは、「説明のあった多職種(のスタッフ)への薬剤学的レクチャーとは具体的に何ですか」と質問が出ました。鎌田薬剤師は「新たな薬剤が採用された場合に看護師の方から説明してほしいと要請があることがあり、看護師の視点でモニタリングしてもらったほうがいい項目などを伝えます」と答えました。

橋田教授は、「状態の悪い患者で救命治療が必要かどうかの判断を求められることがあると思います。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とか『人生会議』とも言われますが、治療の方針に関わる患者の意思決定が難しい場合のご苦労はいかがですか」と浅香医師に尋ねました。浅香医師は判断の難しさを認め、「本人の意思が確認できない場合、患者の家族は1分でも1秒でも長く生きてほしいと望まれるのが普通ですが、その気持ちとは別に、『本人だったらどう思われるでしょうか』と必ず聞くようにしています」と、答えました。