神戸学院大学

法学部

「第24回神戸学院大学法学部法律討論会」を開催しました

2024/12/16

討論会の問題に対して、立論(問題への解答)を発表する参加団体の討論代表者
討論会の問題に対して、立論(問題への解答)を発表する参加団体の討論代表者
厳しいやりとりを展開した法学部法律討論会
厳しいやりとりを展開した法学部法律討論会
参加団体の学生から質問を受ける討論代表者
参加団体の学生から質問を受ける討論代表者
出題者の萩原教授による講評
出題者の萩原教授による講評
萩原教授から表彰される小松昭人ゼミの学生
萩原教授から表彰される小松昭人ゼミの学生

「第24回神戸学院大学法学部法律討論会」を11月30日、ポートアイランド第1キャンパスで開催しました。

今回の出題者(兼審査委員長)は、大東文化大学法学部の萩原基裕教授が務めました。参加団体は、本学法学部の3ゼミ(小松昭人ゼミ、笹川明道ゼミ、廣峰正子ゼミ)と、学外からのゲストチームである摂南大学法学部・城内明ゼミの計4団体でした。

■中古車の売買契約解除をめぐる出題
今回の問題の概略は以下の通りです。会社員のXさんが、中古自動車の販売業を営む会社Yから、通勤用に1台の中古自動車を買いました。その際、Xさんは、買った自動車の引渡しを受ける前に、Yの担当者から、買った自動車のブレーキパッドが普通よりもすり減っており、このままではいずれ交換時期が来るから、いい機会なので有料だがブレーキパッドを交換してはどうかと提案されました。Xさんは、毎日の通勤に使用するのに自動車の安全性能に不安があるのは嫌だと考え、Yの提案を受け入れ、ブレーキパッドの交換作業を有料でYに依頼することにしました。ところが、他の仕事に追われていたYの作業員は、忙しいからと言って意図的に交換作業を行いません。困ったYの担当者は、バレなければいいだろうと、交換作業をしていないことをXさんに告げずに、そのまま自動車を引き渡してしまいました。そのことを知らないXさんは、買った自動車の代金をYに支払いました。

それから約半年後、自動車を運転中にブレーキから異常な音が聞こえてきたため、Xさんはカー用品店で自動車を点検してもらいました。すると、自動車のブレーキパッドが交換されておらず、事故のリスクが高まっていることがわかりました。驚いたXさんがYの担当者に事情の説明を求めたところ、Yの担当者はブレーキパッドの交換作業をしないまま自動車を引き渡したことを認め、改めてXさんに交換作業をすることを申し出ました。しかし、Xさんは、Yの一連の不誠実な対応に憤りを覚えるだけでなく、Yがきちんと交換作業をしてくれるのかどうか、疑いを拭いきれません。

今回の問題のテーマは、Yへの信頼を失ったXさんが、自動車をYに返し、支払った代金をYから取り戻すため、ブレーキパッドの交換作業をする機会をYに与えずに(Yに交換作業の機会を与えると、Yはおそらく今度は交換作業をきちんとするはずなので、ブレーキの問題が解決してしまえば、Xさんは自動車の売買契約を解除することができなくなります)、Yとの自動車の売買契約を解除することができるかどうか、また、その民法上の根拠は何か、というものでした。各参加団体の立論は、結論も理由づけも異なっており、そこに各参加団体の個性と努力がよく現れていました。

■立論の部で小松昭人ゼミが1位
審査の結果、立論の部では、第1位が本学法学部の小松昭人ゼミ、第2位が摂南大学法学部の城内明ゼミとなりました。また、質問の部では、第1位が林泰成さん(摂南大学法学部法律学科4年次生、一般参加)、第2位が下田心奈さん(本学法律学科2年次生、一般参加)、第3位が澤田祐佐さん(同、小松昭人ゼミ所属)となり、それぞれ表彰を受けました。

小松昭人教授は「今回の問題は、とても難しいものでした。実は、今回のようなケースに対処する規定が日本の民法にはなく、裁判例や学説などの手がかりも十分でなかったからです。しかし、各参加団体とも、迷い悩みながら、ゼミ生同士、ギリギリまで考え抜いて準備をしました。そのかいあって当日の質疑応答は大変活発でした。また、今回の討論会の特徴は、前回もそうでしたが、一般参加の学生が積極的に質問をし、質問賞の上位を占めたことです。次回の討論会では、さらに多くの一般参加の学生を迎え入れ、より活発に、より充実した討論が行われるようにしたいです」と話しています。