法学部が学術交流講演会を開催しました
2024/12/19
法学部は中国浙江工業大学法学院より、李正日教授と付彦淇講師を迎え、学術交流講演会「中国刑法の最新動向-刑事責任年齢の修正を中心に-」を12月9日に開催しました。本学法学部と浙江工業大学法学院は学部間で「学術交流協定」を締結し、これまで「日中韓4大学英語スピーチ大会」等を通じて交流を深めてきました。今回の企画は、今年度、浙江工業大学法学院が主催校となって開催した英語スピーチ大会に、事情により本学法学部が直接大会に参加できなかったことを契機として、法学部から浙江工業大学法学院に講演の依頼をして実現したものです。
李教授の講演は、ここ数年中国国内で未成年者による凶悪な事件が多発し、その未成年者に対する刑事責任の問題をめぐり、さまざまな議論がなされている状況の中、2020年12月、中国が刑法を改正し刑事責任年齢を満14歳から満12歳に下方修正したこと、刑事責任年齢の改正理由およびその効果等についてでした。
講演の中で、中国社会では日本と同様に未成年者による一部の凶悪な事件がクローズアップされ、それをきっかけとして刑事責任年齢の改正がなされたこと、改正後の未成年者による犯罪動向を見ると、この度の厳罰化が必ずしも凶悪犯罪の抑制に繋がっていないことなどの指摘がありました。講演の後の質疑応答も活発でした。「中国では12才以上で重大な罪を犯した少年の刑事責任年齢を下げる刑法の改正がなされたということですが、具体的にどのような犯罪が対象となるのでしょうか」「日本では、非行少年の立ち直りを支援する『少年院』という矯正施設があります。中国には、日本と同様な施設はありますか」など学生からは多数の質問が出されました。
講演会開催前のランチタイムでは、今年度の英語スピーチ大会にオンラインで参加した本学学生の表彰式が行われました。表彰されたのは、2年次生の髙島茉優さん、3年次生のコウ・ヨウさん、4年次生のリュウ・ケンコウさんです。李教授から表彰状が授与されました。また、ランチには、法学部に在籍する中国人留学生が同席し、中国語で談笑していました。
翌日、浙江工業大学法学院一行は、神戸刑務所を参観しました。李教授は、かつて日本の大学に在籍し、日本で博士号を取得した経歴もあり、日本の矯正施設を見学できることが楽しみな様子でした。刑務所では、所長の案内で、中国語の通訳を介して刑務所の状況説明がなされました。その後、全国の刑務所の受刑者が製作した刑務作業品の展示販売所を訪れました。李教授は、商品の豊富さと完成度の高さに驚きの様子でした。最後に、刑務所の幹部の皆さんと記念撮影しました。
法学部の担当者は、「今後も浙江工業大学法学院と学生・教員間の交流を深めていきたいです」と話しています。