「フェイクニュースとどう向き合うか」を考える法学部主催の特別シンポジウムを開催しました
2022/04/20
法学部主催の特別シンポジウム「フェイクニュースとどう向き合うか-日々溢れる情報の中でわれわれが問われているもの-」(岩田将幸教授企画・司会進行)を4月19日(13時45分~15時15分)、Zoom配信によるオンライン方式にて開催しました。
今回のシンポジウムは、国際情勢の重大な局面の変化を受け、急きょ開催されたものです。名古屋大学大学院情報学研究科の井原伸浩准教授を招き、ご講演いただきました。
国際関係論を専攻されてきた井原准教授は、偽情報をめぐるプラットフォーム・ガバナンスや東南アジア地域を対象とした日本のパブリック・ディプロマシー史を最近の研究対象とされています。井原准教授の基調講演後、法学部の春日勉教授と橋本圭多准教授が討論者を務め、今日フェイクニュースという問題が私たちに何を問うているのかについて幅広い視点から、ディスカッションを行いました。
このシンポジウムの講演および活発な討論を通して、私たちの生活場面においてフェイクニュースがいかに多方面に浸透しているのかを知ることができました。そして、流布される情報に対して安易に鵜呑(うの)みにしたり即座に反応したりして、フェイクニュースの拡散に加担することになる危険についても理解することができました。
私たちは、フェイクニュースの犠牲者にだけでなく、加害者にもなり得ます。その究極の不幸な形が戦争であるということを、今日私たちはまさに目の当たりにしています。それでは、真偽を問わず、溢(あふ)れる情報の日常世界で、私たちにできることとは一体何でしょうか。
シンポジウムでは、フェイクニュースに際して、一人ひとりが自身の問題と捉え、異なるソースから情報を摂取し多角的に判断する意識と習慣を身につける努力の必要性が幾度となく指摘されました。
フェイクニュースが今日提起している問題とは、常時進化するメディアやネットワーク環境の中で、実は私たちが恒常的に直面してきた問題であることもまた、シンポジウムでは明らかにされました。現在、デジタル空間という新たな環境の中でその問題は再びクローズアップされていますが、その対処には即効性のある処方箋などありません。個人の意識、リテラシー教育、メディアの自由と不偏性、公正の原則に則った制度や組織の確立や運営など私たちが経験的に築いてきたことを見つめ直しながら、我慢強く試行錯誤を重ねて再構築していくことが重要であると、このシンポジウムを通して再認識することができました。