神戸学院大学

人文学部

人文学部の中村健史准教授が『竹取物語』を題材に明石の神社で講義しました

2023/08/09

鳥獣人物戯画にも竜が描かれていたことを示す中村准教授
鳥獣人物戯画にも竜が描かれていたことを示す中村准教授
大伴御行の人物像を分析
大伴御行の人物像を分析
大蔵海岸で淡路島が大きく見えることを確認する親子ら
大蔵海岸で淡路島が大きく見えることを確認する親子ら

複合型交流拠点ウィズあかし主催の連続講座「あかし楽講座」が8月6日、明石市大蔵本町の稲爪神社で実施され、人文学部の中村健史准教授(国文学)が『竹取物語』を題材に講義しました。

3回連続のワークショップ型で開いた「あかし楽講座vol.1」は小学生と保護者に向けて古典の楽しさを伝える企画です。中村准教授が担当した第2回は「どうする?! 竜の首の玉」と題して、『竹取物語』のうち飛鳥時代の豪族、大伴御行(おおとものみゆき)が登場する場面を読みました。

かぐや姫から「竜の首の玉を持ってくれれば結婚します」という約束を取りつけた大伴御行は、みずから船に乗りこみ竜を求めて出航しますが、嵐にあって明石に漂着します。中村准教授は実物教材や絵巻物の複製なども利用しつつ、小学生に向けて分かりやすく大伴御行の物語を解説しました。

その人物像について、「怒りっぽく、勇敢で自信満々。早とちりで自分勝手なキャラクターだが、家来たちに意外なやさしさや人のよさを見せたりもする。いったん嵐に巻きこまれると、泣き言を口にするばかりで何の役にも立たない、滑稽で情けない人物だが、作者はそんな大伴御行を笑いものにしつつ、一方で共感をもって描いている」と分析しました。参加者は明石市、播磨町の小学生たちで、解説を聞きながら、熱心にメモを取っていました。

講演の後半では、明石に漂着する場面に注目し、『竹取物語』の描写を通じて明石がどのように描かれているかを分析。小学生たちは自分たちの住んでいる地域が登場することに興味津々の様子でした。中村准教授は児童らに「なぜ大伴御行の一行は漂着したのが明石の浜だとすぐに気づいたのだろう?」とクイズを出しました。答えを探すために、みんなで大蔵海岸へフィールドワークに向かいました。

夏の日ざしのもと、明石海峡を望む海岸に参加者が到着すると、中村准教授から「瀬戸内海でもこれだけ対岸の島(淡路島)が大きく見えるのは明石だけ。こんな特徴的な地形だから、嵐のなかを何日も漂流した人々も着いたのが明石だとすぐに気づいたのでしょう」と種明かしすると、小学生たちも納得した様子でした。

あかし楽実行委員でもある矢嶋巌人文学部教授は、「あかし楽講座や明石市の生涯学習の講座では、これまでも各学部の教員の皆さんに担当してもらったことがあり、今後もできる限り対応したいです」と話しています。また、中村准教授は「神戸学院大学の立地する西区伊川谷町は旧明石郡に含まれ、本学と明石には深いつながりがあります。人文学部ではこうした地縁を生かし、積極的に地域研究・地域連携を進めています。『あかし楽講座』は、まさしくそのような地域貢献の一環です」と話しています。

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