人文学部の三田ゼミ生が京都産業大学国際関係学部の学生と新長田でフィールドワークしました
2024/02/29
人文学部の三田牧准教授ゼミは昨年11月24日、京都産業大学国際関係学部の三田貴教授ゼミと合同ゼミを行いました。異国情緒あふれる新長田を両大学混ぜ合わせた3チームに分かれて散策をし、互いの学びを共有しました。
まず、神戸国際コミュニティセンターを訪問しました。新長田は外国籍住民が多く、独自のイベントや支援が行われており、その中心となっているのが神戸国際コミュニティセンターです。
ここには東南アジアの国々を中心とした九つの言語のフライヤーが設置され、国際交流の拠点になっていることがうかがえました。主な活動として、無料の言語レッスン、国際交流イベント、就職に関する悩み相談や情報交換イベントを開催しており、1階にあるライブラリーでは日本語学習を目的とした書籍の貸し出しや学習スペースの開放をしています。これらの活動は外国籍住民にとって暮らしやすい街づくりを目指したものです。
次に向かったのは外国人の方が運営する飲食店です。新長田には外国人の運営する料理店が多く、三つのチームはそれぞれベトナム料理、ネパール料理、ミャンマーカレーと異なる異国の味を楽しみました。店内はその国独自の装飾品や雑貨が置かれ、異国情緒を漂わせており、幸運なことに料理だけでなく文化についても店員さんに伺うことができました。
例えばベトナム料理店では、日本ではあまり馴染みのないパクチーがあらゆる料理に使用されていたり、初めて見るメニューについてチームメンバーと思考をめぐらせたりと、新鮮な体験ができました。また、インテリアの一つとして置かれた祠(ほこら)の中にはベトナムの恵比寿さん3体と1万円札が飾られており、日本とベトナムの文化の融合がそこに見えました。
昼食後は商店街を探索しました。商店街には「コテの街」新長田を表現したモニュメントや、長田出身の横山光輝の作品『鉄人28号』や『三国志』をモチーフにした像や資料館が多くありました。
さらに商店街の横道に入ると、狭い通路の両側にぎっしりと商店が立ち並ぶ丸五市場に出ました。合同ゼミの時間帯にはお惣菜や乾物の店など数軒が店を開けているだけでしたが、ここでは毎年“丸五アジア横丁ナイト屋台”と呼ばれるアジア各国の料理店を集めたイベントを開催していたそうです。同市場のサイトはこちら
以上の散策を終え一日の学びを共有し、合同ゼミは終了しました。
この合同ゼミについて、後日、三田牧ゼミの学生で感想を出し合いました。
街歩きについては、「街歩きや食文化という身近な経験を通すことで、難しいと考えていた異国文化との触れ合いが可能となり、異文化理解への抵抗が小さくなった」「自分と縁のない文化や場所でのフィールドワークに不安を感じていたが、実際の体験や人との出会いを通して多くの気づきや楽しさを得られた」といった感想が出ました。
また、京都産業大学と合同でゼミを行ったことについて、「神戸学院の学生たちは新長田という街、地域そのものに着目していたのに対し、京都産業大の学生たちは日本と(出会った人たちの)母国の比較や宗教、制度に着目していた。各自の関心が異なっていたことで、さまざまな視点の発見につながった」「調査を通して大学同士の異文化交流ができたことで仲が深まった点もよかった」「次は京都でまた違う目的のフィールドワークもしてみたい」という意見が出ました。
新長田の街は、街の特性と多文化交流の2側面が、懐かしさと異国情緒を醸し出しています。神戸国際コミュニティセンターのように、地域を国際化させていくための積極的な政策が、「異文化融合の共同体」を実現しているともいえます。新長田の街歩きは、フィールドワークによる人との交流の難しさ、魅力を発見しようとする姿勢、異文化理解の楽しさなど、多くを学ぶいい機会となりました。
また、人文学部と国際関係学部という異なる学部の合同ゼミであるからこそ、同一の状況における質問や解釈の方向性の違いを強く意識しました。異なる学部が同一の問題に取り組んだ先にはそれぞれの学部特有の知見があり、互いの学びをより深める経験となりました。 (執筆者:人文学部3年次生 KT、TI、KF、KT、TA、HM)
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