人文学部生による『ロミオとジュリエット』リーディング公演が明石で行われました
2024/09/12
シェイクスピアの古典的名作『ロミオとジュリエット』の人文学部生によるリーディング公演が明石市大蔵本町の稲爪神社社務所で8月4日に行われました。
中山文教授(中国文学・中国演劇)のゼミに所属する3年次生が、演出や舞台制作だけでなく、照明、音響、広報などの裏方作業に至るまで自分たちで担当しました。公演は地域にお住まいの皆さんに無料で公開されました。
「リーディング公演」とは舞台装置、衣裳などを最低限に留め、俳優が台本を手に朗読するかたちでの上演を言います。本学の伊藤茂名誉教授(演劇学)が短縮版台本を作成し、ゼミ生たちは演出家の小原延之氏(本学非常勤講師)の指導を受けつつ、けいこや準備に励んできました。
長谷川弘基教授(英文学)による解説の後、上演の幕が上がりました。ロミオとジュリエットの役には4組の学生がキャスティングされ、「舞踏会」「バルコニー」「結婚式」「別れの朝」「毒薬」「霊廟」の6場を演じました。
装置が限られるなか、伝統的な日本家屋をうまく使って立体的な演出を試み、白と黒でまとめた衣装、センスの良い照明、本格的な音響など、簡素ではありながらも充実した舞台を創りあげることができました。学生たちの初々しく真剣な演技に、会場の観客は息を凝らして見入っていました。
上演後は演出を担当した学生2人によるアフタートークが行われ、演劇初心者ばかりのゼミ生が限られた時間で作品をまとめ上げる難しさと達成感を語ってくれました。
当日、30席を予定した客席は満席となり、公演は大成功でした。特に、ご覧いただいた観客の方々から賞賛の声が多く寄せられたことが印象的でした。
有瀬キャンパスは明石市に隣接する地域にあり、こうした学生たちの活動が、大学と地域社会を結びつける絆となっています。世代も、立場も違った地域住民の方々と触れ合う機会は、学生たちのやる気を育ててくれます。
中山ゼミでは学生たちの自身の手で演劇制作を行い、自主性や創造性、コミュニケーション能力を高めるとともに、チームワークに基づいて企画を進める楽しさを実感し、同時に文学や芸術、社会に対する問題意識を培います。こうした「教育演劇」の取り組みとして、例年、3年生前期にはリーディング公演が予定され、今回は昨年度の『リア王』上演につづくシェイクスピア・シリーズ第2弾となりました。人文学の学びは、文献の精読や座学的な探究だけにとどまるものではなく、学生自身の興味や能力を最大限に引きだして、人や社会と関わってゆく活動にまで及びます。
なお、今回の『ロミオとジュリエット』リーディング上演については、10月26日(土)、あかし市民図書館でも再演の予定です。