人文学部の講義と演習でインドネシアの研究者が特別講演を行いました
2023/10/16
人文学部の講義と演習(人類自然誌II、基礎演習、実践演習II)が10月3、4両日に有瀬キャンパスであり、インドネシアから招いた研究者らが特別講演を行いました。
講演したのは、インドネシア・リアウ州ブンカリス県にあるブンカリス国立専修学校とブンカリス国立イスラム宗教学校の講師3人です。鈴木遥講師が取り組む、インドネシア沿岸地域における人々の暮らしと自然環境との相互関係に関する研究活動の一環として行われました。講演はインドネシア語と英語で行われ、鈴木講師が通訳しました。
ブンカリス県沿岸集落の伝統文化を生かした観光、その中での地域の経済発展、地元大学の役割についての講演を学生たちは熱心に聴きました。ブンカリス県は、マラッカ海峡沿いの沿岸に位置し、海、川、マングローブの森という豊かな自然環境とともに、ムラユ民族の豊かな文化が継承されてきている地域です。近年、インドネシア政府は、国の観光化を推し進めており、村落レベルでは伝統的な文化を生かし、同時に経済発展も成し遂げる観光業発展の仕組みづくりを目指しています。同県で現在進んでいる観光化に向けた取り組みや地元大学の役割などについて、具体例を交えて話していただきました。
学生たちは、民族衣装の織物を手に取り、植物や果物などをイメージした伝統的な模様が織り込まれていることなどの説明を受けました。また、観光化の中で注目されつつある手工芸の一つであるニッパヤシを編んで作られた籠の紹介もありました。沿岸集落に暮らす女性が古くから作ってきたもので、重要な収入源でもあることを学びました。さらに、地元大学では、政府や企業と連携した活動が盛んに行われているとの説明もありました。講演の最後には、講師の1人がインドネシアの伝統的武術「シラット」を披露しました。
特別講演を聴いた学生たちからは、「プレゼンが上手で驚いた」「日本と違う点が多かったが、共通点もあり興味を持った」「籠の手触りは竹細工に近いと感じた」など、さまざまな感想が聞かれました。世界には多様な文化や価値観があることを実感することができました。
今回の招せいは、科研費の助成により行い、特別講演は研究会や共同研究に向けた打ち合わせなどの合間を縫って実現しました。