神戸学院大学

グローバル・コミュニケーション学部

兵庫県の国際交流員3人をゲストにグローバル・コミュニケーション学部が特別授業を実施しました

2024/11/19

大濱教授(右端)から紹介される(右から)シューリー・イーサンさん、コ・ウンビョルさん、李霞さん
大濱教授(右端)から紹介される(右から)シューリー・イーサンさん、コ・ウンビョルさん、李霞さん
講演するシューリー・イーサンさん
講演するシューリー・イーサンさん
講演するコ・ウンビョルさん
講演するコ・ウンビョルさん
講演する李霞さん
講演する李霞さん

グローバル・コミュニケーション学部の大濱慶子教授(学部長)が担当する授業「グローバル化と言語」で、11月13日、兵庫県国際交流員の3人が日本語で講演しました。「グローバル化と言語」は2年次開講の学部講義科目で155人受講しています。学生たちは事前に3人の兵庫県国際交流員に質問を送り、講演の中で答えてもらいました。

3人は米国オハイオ州シンシナティ市出身のシューリー・イーサンさん、韓国慶尚南道咸陽(ハミャン)郡出身のコ・ウンビョルさん、中国広東省出身の李霞(リ・カ)さんです。いずれも日本に興味があり、学生時代から日本語を勉強してJETプログラム(語学指導等を行う外国青年等招致事業)で来日しました。3人の流ちょうな日本語は目を見張るものがありました。

■日本の新幹線の列車はとてもおしゃれ
シューリー・イーサンさんは昨年8月来日。まず自己紹介してもらい、古里のシンシナティを本拠地とするメジャーリーグのチームは「シンシナティ・レッズ」で、ロゴの「C」が日本のプロ野球チーム「広島カープ」と全く同じだといいます。子どもの頃にアニメやゲームで日本のエンタメと出合いました。大学時代は陸上部に所属し、趣味はランニングと撮影だといいます。

日本で驚いたことは「現金しか使えない店が多い」ことで、米国では現金はほとんど必要ないからです。金融機関が発行する通帳も米国にはなく、「最初もらったとき、これは何かな」と戸惑ったと話しました。

一方、日本の好きな所は、新幹線の列車がおしゃれ、トイレがすごくきれいで機能が多い、自動販売機もとても便利、飲食店などでウエイトスタッフにチップがいらないことなどを挙げました。

国際交流員の仕事としては、イベントなどに参加して自国の文化を日本人にシェアすること、英語暗唱大会の審査員や翻訳、通訳、文書の英語チェックなど、多岐にわたります。

学生からの「アメリカで住みやすい州はどこですか」との質問には「私が好きなのはユタ州。国立公園など自然が豊かでネバダ州の有名な都市ラスベガスにも近い。日本人にはカリフォルニア州がいいでしょう。日本人のコミュニティーがたくさんあるからです」と答えました。英語の勉強の仕方としては「You Tubeでネイティブスピーカーの声をたくさん聴くことです。You Tubeの英語コンテンツは無限なので、好きな動画を見つけてください」とアドバイスしてくれました。

■日本で好きなのは「待ってくれる文化」
コ・ウンビョルさんは古里の咸陽郡について「畑と山が多くて、海がないので川魚の料理を良く食べます。名物は豆乳の麺で作るコングクスです」と述べました。アルトサックスの奏者として地元で演奏活動を続け、海外演奏の経験から民間外交の大切さを感じたといいます。日本語は中学2年から勉強を始め、日本のドラマや映画で独学。大邱(テグ)の大学では日本語を専攻し、3年次生で大阪府立大学(現・大阪公立大学)留学も経験して4年次生で日本語能力検定試験N1に合格したという実力です。留学当時、日本語の学習を兼ねて大阪の回転すし店でアルバイトしたが、レジで大きなミスをして、ひどく叱られ、つらいことも経験しましたが、「みんなのサポートで乗り越えました」と打ち明けました。日本愛は消えませんでした。

日本で生活してみて好きな所は、「待ってくれる文化」。車を運転していてもドライバーは「待ってくれる」ので安全だと言います。日本でも荒い運転はありますが、「韓国は待ってくれません」。驚いたのは「長野県でドアが手動で開く電車に乗ったこと」だそうです。

逆に戸惑ったのは関西弁。韓国で勉強したのは共通語でした。また、韓国では食事には箸よりスプーンを使うことが多いが、日本では飲食店でスプーンを置いていないことが多いこと、韓国では茶碗はテーブルに置いて食べるが日本では手に持つなどの違いを挙げました。

今の業務は韓国と兵庫県の知事同士の面談、韓国の自治体職員の訪問などの通訳、日韓親善のための文化講座への参加などです。通訳・翻訳業務を担当して感じるのは、母国語の能力が大事で幅広い分野の勉強が必要なことだと述べました。「好きな場所で好きな言語を話して暮らしたい」と外国語学習の動機も話してくれました。

■落とし物を目立つ所に置く日本人の気遣い
李霞さんは、学生時代に日本語の勉強を始め、平仮名から覚えたといいます。難しいと感じたのはオノマトペ。「雨がシトシトと降っている」とか「雨がパラパラと降ってきた」などという擬音語や擬態語は中国とはまるで異なり、「良いのかどうか分かりませんが、私は言い方を丸暗記していました」と述べ、同じアジアの言葉とは言え、外国人から見た日本語の難しさがうかがえました。好きな日本のドラマやバラエティー番組を見て、シャドーイングで自分もまねして言ってみることも効果があったようです。さらにはアルバイトで商品の紹介や客への対応の際、ほかの人の話すのをまねすることで、自分でも「会話力が伸びてきた」と感じたといいます。

日本の印象について「四季があるのがいいですね。広東省は年中暑いです。日本では季節限定商品があるのも魅力です。それと気配りがあって、忘れ物や落とし物を見つけた人が、見つけやすい目立つ場所に置き直してあるのも親切です」と述べました。2017年から2018年にかけて武蔵野大学に交換留学し、生まれて初めて雪を見た驚きを語りました。

広東語と北京語の違いを実際に発音して見せ、「全然違うのが分かりますか。さらに広東では語尾にアを付けるとよりネイティブっぽく聞こえます」と紹介しました。

カンフー茶というお茶を飲む文化や広東料理のおいしさ、体調の悪い時によく飲む広東涼茶(漢方茶)の紹介の後、学生から「飲茶の(点心の)中でお薦めメニューは何ですか」と質問が出ました。李霞さんは「陳皮牛肉球という牛肉ボール(団子)の中にミカンの皮が入っているものがあります」と答えました。

  ◆  ◆  ◆
学生たちからは、「今日のお話はモチベーションの向上につながりました。三つの国から見た日本を知ることができ、またそれぞれの文化が持つ独自の価値観や考え方も理解することができ、視野が広がりました」、「私自身も通訳に興味があるので、実際にやってみようと一歩を踏み出す勇気をもらいました」、「来年留学に行きますが、失敗を恐れず多様なバックグラウンドを持つ人々と積極的にコミュニケーションを取り、将来は私も異文化交流の担い手となれるように努力を続けたいです」などの感想が寄せられました。