土曜公開講座「くらしの認知科学-選択と記憶の話-」を開催しました
2024/11/18
グローバル・コミュニケーション学部の大竹翔子講師による土曜公開講座「くらしの認知科学-選択と記憶の話-」を11月9日、ポートアイランド第1キャンパスで開催し、123人が参加しました。
本講義では、日常生活の中で無意識のうちに影響を受ける「認知バイアス」に焦点を当てました。大竹講師は、人間の思考や意思決定に偏りを生じさせる「認知バイアス」の例として、「アンカー効果」「現状維持バイアス」「選択的注意」を取り上げ、それぞれの特徴を具体的な事例を通じて解説しました。
例えば、「アンカー効果」は買い物をする場合、最初に提示された価格がその後の判断に影響を与えることや、「現状維持バイアス」はメリットがあるにもかかわらず慣れ親しんだ選択を維持しようとするなど、日常生活にも密接にかかわっていることを伝えました。
また、大竹講師は、こうした「認知バイアス」と上手く付き合う必要があると話しました。その一例として、自身の思考プロセスを振り返る「メタ認知」を活用して、より慎重な判断を行うことを挙げました。また、判断を下すまでに時間を置くことや、他者の意見を積極的に取り入れることも、「認知バイアス」の対策として効果的な方法であると紹介しました。
後半では、効果的な記憶方法についても解説があり、「想起練習」や「間隔練習」といった学習法が長期的な記憶定着に役立つことを示しました。「想起練習」では、単に反復する学習ではなく、一度記憶した内容を思い出す練習をすることで、より深く記憶に刻まれるといいます。「間隔練習」については、勉強やトレーニングの時間を空けて繰り返し行うことで、長期的な記憶が強化されると話しました。
さらに、大竹講師は、感情や好奇心が記憶に与える影響についても触れ、特にポジティブな感情や好奇心が記憶の定着を助けるという研究結果を紹介しました。日常生活のエピソードや旅行先での出来事など、特別な感情を伴った経験が強く記憶に残りやすいことを例に挙げ、外国語学習や教育の場でもこうした感情の要素を取り入れることの重要性を伝えました。
参加者は「日々の行動の見直しができ良かった」「記憶や学習方法についてのヒントを得られた」など多くの感想を寄せました。