経済学部の中村ゼミが「明石市政の因果効果分析」と題したプレゼンテーションを明石市役所で行いました
2022/12/26
経済学部の中村亨教授の3年次生ゼミは12月15日、明石市役所で「明石市政の因果効果分析:-子ども施策(5つの無料化)は出生率増をもたらすのか―」をテーマにプレゼンテーションを行いました。
厚生労働省が発表した人口動態統計(2022年9月16日時点)によると、2021年に生まれた子どもの数は81万1622人で過去最少。2022年は80万人を下回る可能性も指摘されています。少子化が重大な問題として認識されて長い期間が経過するにもかかわらず、国や地方自治体では未だ明快な対応策を見出せずにいます。中村ゼミは他の自治体に比べて明石市の特殊出生率に関するパフォーマンスが格段に高いことに着目し、明石市独自の「子ども」施策の評価を行いました。
評価の方法は、昨年ノーベル賞の対象となった「因果推論」で、中でも「差の差」分析や「合成コントロール」の手法を明石市と兵庫県下の28都市に応用したものです。明石市の「子ども無料化」施策により、特殊出生率に及ぼすプラスの効果があったことを厳密な形で示しました。
プレゼンテーション終了後、明石市政策局、こども局のスタッフから活発な質問が寄せられ、今後、ゼミでの共同研究の完成度をさらに高めていくことや、来年度の課題、すなわち「子ども施策」が明石市の経済アウトカムに与える影響に関する研究に取り組むことへの期待が伝えられました。
中村ゼミでは、約1年をかけてこのプレゼンテーションの準備にあたり、因果分析手法の基礎を学ぶとともに、データベースの構築、統計分析ツール「R」のコ-ディングの修得に努力しました。最後は、コロナ感染に配慮しながらゼミ合宿を実施し、論文作成に取り組みました。
次年度の課題については、今回の因果分析の手法とは異なり、明石市の精密なマクロ計量モデルを作成し、シミュレーション分析を中心とした研究になります。現在の中村ゼミの2年次生が担当し、2023年12月に明石市に報告する予定です。