経済学部の中村ゼミが兵庫県議会で「少子化・人口減少問題」をテーマにしたプレゼンテーションを行いました
2025/01/23
経済学部の中村亨教授ゼミ(3年次生)は1月10日、兵庫県議会で「Staggered DIDによるOECD出生率に関する因果分析 −緩やかな結婚制度は出生率増をもたらすのか−」をテーマにしたプレゼンテーションを行いました。中村教授も「集中ではなく分散 −人口減少する日本の選択−」のテーマで講演を行いました。
厚生労働省が発表した人口動態統計(2024年6月)によると、2023年に生まれた日本の子どもの数は72万7277人で過去最小となりました。日本における少子化の問題は以前より指摘されていましたが、この少子化の傾向は、今やグローバルなレベルで起こっていることが近年指摘されています。
中村教授によると、中でも、医学研究ジャーナルで著名なランセット(Lancet)は、2000年以降の出生率の動向に急激な減少を2004年の論文で指摘しており、さらに将来の出生率は世界的に低下し続け、出産促進政策の実施に成功しても低水準にとどまること、先進国における高齢化と労働力の減少が経済的・社会的に広範囲な影響を及ぼすことを報告しています。
中村ゼミの報告では、適切な少子化対策の政策解を見いだすために、昨今、注目されている因果効果分析に注目し、OECD加盟国を対象に、結婚に関連する法制度の変更(同性婚合法化や登録パートナーシップ法の導入)を政策処置(treatment)とし、その合計特殊出生率に対する政策効果を「差分の差分(Difference-in-Differences:DID)」分析、具体的には、「介入時期が複数あるときの差分の差分」(Staggered DID)や「介入時期が複数あるときのイベント・スタディ(注)」(Staggered Event Study)を適用し精度の高いポジティブな因果分析があったことを報告しました。
(注)イベント・スタディとは、ある出来事(イベント)が分析対象に影響を与えているかどうかを検証する方法
学生のプレゼンテーションおよび中村教授の講演の後、県議からは多くの質問が寄せられ、地方自治体が直面する問題の中でも、少子高齢化、人口減少が極めて深刻な問題であること、さらには大都市への集中を避け、教育・行政・総合病院・農業を核として持続可能な地方を構築する際の政治の果たすべき役割を共有することができました。