神戸学院大学

経済学部

経済学部の関谷ゼミが兵庫県議会でサテライトゼミを実施しました

2024/07/09

緊張した表情で発表する1班の学生
緊張した表情で発表する1班の学生
続いて発表する2班の学生
続いて発表する2班の学生
締めくくりで発表する3班の学生
締めくくりで発表する3班の学生
議員の皆さんから貴重な指摘や温かい励ましの声が多数
議員の皆さんから貴重な指摘や温かい励ましの声が多数
法田県議会事務局長の講義を聴くゼミ生
法田県議会事務局長の講義を聴くゼミ生

経済学部の関谷次博教授の3年次生ゼミが7月5日、兵庫県議会でサテライトゼミを実施しました。

冒頭で法田尚己・議会事務局長から県議会の定例会と臨時会の年間スケジュールや委員会の構成、デジタル化による「スマート県議会」の実現状況などの説明を受けました。各会派から5人の県議の皆さんに参加いただき、オブザーバーの県議の皆さんにもやりとりを聴いてもらいました。

■高齢者にeスポーツを楽しんでもらい、認知症改善?
学生は3班に分かれて順にプレゼンテーションし、全員が分担して発言しました。1班は「高齢者にeスポーツを~認知症改善に向けて~」と題して発表しました。eスポーツはエレクトロニック・スポーツの略で、電子機器を用いて行うゲームのことです。競技人口が増えている理由として、①競技する人の間でコミュニティーを作ることができる②孫と一緒に競技したい(人が多い)③年齢、性別に関係なく楽しめるゲームが増えている④健康維持や認知症予防が期待できる――ことを挙げました。

70カ所以上の神戸市内の老人ホームに電話で「eスポーツは導入していますか」「eスポーツは認知症予防に繋がることはご存じですか」と質問したところ、回答は「いいえ」ばかりで、導入へのハードルの高さを感じたといいます。ハードルを下げる方策としては、①「介護型」ではなく、「自立型」の施設で行う②比較的若いスタッフが多く在籍している施設で行う③施設で行うレクリエーションのマンネリ化を解消する④認知症予防などメリットを知ってもらう――ことを提案しました。

議員の皆さんからは「着眼点は良いが、認知症予防に効果があるという科学的根拠の検証が必要」「紹介してもらった、軽度認知症の6人中5人が回復したというネットに出ている調査結果の実施主体はどこなのか、根拠として書いておくほうが良い」「施設のスタッフにやってもらうだけではなく、若い人たちが出向いて高齢者に体験してもらうという普及方法もあるのでは」との指摘がありました。

■神戸市長田区・本町筋商店街の魅力を知ってもらうには
続いて2班は、神戸市長田区の新長田駅に近い「本町筋商店街の活性化のための魅力発信」のテーマで発表しました。商店の経営者は70代が8割以上を占めるほどに高齢化しており、売上や訪れる人も減少、後継者不足、魅力ある店舗が少ないことなど、全国の商店街共通の悩みが聞き取り調査で分かりました。一帯でケミカルシューズ産業が栄えていた1954年当時に約100店舗あったのが現在は半減。一方、魅力的な店舗もいくつかあることが実地調査で分かり、報告しました。

最後に「現地調査したどの店にも共通しているのは、初めて訪れる人に対してのサービスやもてなしが素晴らしかった」「空き店舗はいくつか見られたが、営業している店は非常に活気があった」とまとめました。

議員の皆さんからは「問題点を指摘し、魅力ある店舗を紹介するのにとどまらず、その魅力を発信する方法を考え、力になってあげてほしい」「発表はこれで終わりなのという感じだった。魅力を発信して、みんな来てくださいと訴えるところまで、もう少し頑張ってほしかった」との指摘がありました。

■マイボトルの普及には給水機の設置が有効、でもネックはコスト
3班は「ペットボトルからマイボトルへ」と題して発表しました。ペットボトルのリサイクルを考えるために、リサイクル企業を訪問して聞き取り調査させてもらい、中身の残っているペットボトルはリサイクルできず、燃えるごみになっていることを知りました。解決策として公共施設の自動販売機のごみ箱の横に飲み残しの飲料を流せる廃棄設備を置くのが良いと考え、市役所などに問い合わせましたが安全性、人件費の面から難しいことが分かりました。

もっとも最近は、ペットボトルを使わない方向に世の中は動いているとしてマイボトルに注目し、学生を対象にアンケート調査しました。283人に聞き、「マイボトル・水筒を使っています」は46%で、「使っていない」の54%を下回りました。もっと使ってもらう方策として、「市役所、飲食店、公共施設などに給水機を設置する」ことを提案しました。雑貨販売の「無印良品」では、誰でも無料で給水できる設備を置いているとして写真などを紹介しました。市役所など公共施設で給水機を設置するにはコストの問題があると指摘し、一方でコンビニや雑貨店などでは給水に関する商品を新たな収入源として販売することでコストが補えるとのアイデアを示しました。

議員の皆さんからは、「給水機の設置に対して行政として補助金を出してほしい、などと要望も含めて提案してもらったら、さらに良かった」「(給水機の設置やマイボトルの普及で)医療費にどう影響が出るかなど、さらに広い視野で考えてもらえれば良いと思う」「給水機があれば大規模災害時に被災者がマイボトルで水をくめる。まさに行政の仕事だと思った」との指摘や意見がありました。

最後に迎山志保議員(県民連合)から「若い人の生の声を聴けて良かったです、私たちも県議会の議論に生かしていきます。政治は縁遠いものと思わずに問題意識と解決意識を持って社会へ出ていただけたら」と、激励の言葉をいただきました。ゼミ生一同、貴重な経験に感謝しています。