神戸学院大学

経済学部

経済学部の授業で、ファミレスの配膳ロボットの導入も手掛けるHCI社長からAI・ロボット企業の最新動向などを学びました

2024/11/25

奥山社長の講演を聴く学生たち
奥山社長の講演を聴く学生たち
講演する奥山社長
講演する奥山社長
かつて視察に訪れた石破茂氏(左から2人目)を案内する奥山社長(提供写真)
かつて視察に訪れた石破茂氏(左から2人目)を案内する奥山社長(提供写真)
かつて視察に訪れた石破茂氏と記念撮影する奥山社長(提供写真)
かつて視察に訪れた石破茂氏と記念撮影する奥山社長(提供写真)

株式会社HCI(本社・大阪府泉大津市)創業者で代表取締役社長の奥山浩司さんが11月22日、「AI・ロボットと人の共存によるストレスフリー社会の構築で、地域を、日本を、世界を救う!」の演題で講演しました。有瀬キャンパスで行われた経済学部の林隆一教授の担当授業「演習Ⅲ」(3年次生)で、計7ゼミからの参加がありました。

■ロボットとAI開発で世界からも注目
HCIは、ケーブル製造装置メーカーとして創業してから22年、ロボットSIer(注1)として16年、AIシステムを手掛けて7年と常に変革し、工場のFA化・スマートファクトリーから、スマートなサービス・店舗、垣根のない業界でDXを推進し、注目されている企業です。サービスロボットの導入実績は、2022年と比較して、2023年は約6倍に増加し、2024年はさらに約2倍となる見込みです。首相の石破茂氏も2020年に同社のラボを視察に訪れたことがあり、「戦艦大和のプラモデルをロボットで作れるか?」の話題で盛り上がり、代わりに「瓶ビールを注ぐロボットシステム」を紹介したとの逸話も披露しました。
HCIは、日本人と外国人が区別なく仕事ができる「ダイバーシティ経営」を実行し、世界中から集まった従業員60人の平均年齢は32歳で、女性社員は全体の35%を占めています。また、本社では、2023年からロボットとAIによる社食&カフェ「HCI ROBO HOUSE」を一般開放し、世界初でロボットが調理し、ロボットが配膳し、モバイルオーダーシステムまでの全てをシステム化しており、日本だけでなく世界各国から団体顧客も訪れています。

(注1)「システムインテグレータ(System Integrator)」の略称で、ロボットを導入する顧客の業務を分析し、課題解決に向けたコンサルティングからシステムの設計、開発、運用・保守までを請け負う企業をいう。

■サービスロボットの時給換算は300円台
オフィシャルにできるロボット・AIシステム事例、スマートファクトリー事例も紹介されました。企業向けロボット導入案件は非公開も多いものの、コンビニ向けを想定して自社開発した「飲料自動陳列(品だし)ロボットシステム」や泉大津市立図書館「シープラ」に採用された「司書ロボット」(検索本の案内・誘導、図書の配送を行うロボットシステム)も映像で紹介されました。
さらに、大手ファミリーレストランに採用されたネコ型の配膳ロボットの納入に加え、最近納入が増加している工場内の運搬・清掃用ロボットの事例も紹介されました。例えば、下膳ロボットの場合、導入コスト(5年リース)を時給換算すると、300円台となり、人手不足の中で採用が進んでいるとの具体的な説明もあり、配膳ロボットを導入しているレストランでアルバイトしている学生からは「ロボットが少しかわいそうな気がする」との声もありました。

■けん玉を100発100中成功させるAIロボットなどの事例紹介
話題はHCIが考えるAI・ロボットと人の共存、社会の構築についてにも及びました。ソフトバンクのPepper(ペッパーくん)に、AIの深層学習で、けん玉を練習させる動画も紹介されました。Pepperは、最初はけん玉が成功せず、ひたすら試行錯誤を繰り返していましたが、100回目に穴に入れることを成功すると、それ以降は100発100中で成功させていました。多くの学生が、最新のAI技術の進化を実感し、驚いていました。

日本初のロボットは約50年前に開発されましたが、学生たちが生きる今から50年後の日本では人口が現在の4割減少することが見込まれており、社会を維持するためには、AIやロボットの拡大は必要不可欠となっているとの指摘がありました。「パソコンがWindowsの普及で簡単に操作できるようになったのと同様に、ロボットも誰でも簡単に操作できるようになることで、(現在は)爆発的な普及が進む直前にあるのではないか」との話に受講生もうなずいていました。