経済学部の授業で「ロボット・システムインテグレータ(SIer)」の業務の魅力を学びました
2023/11/19
株式会社HCI(本社・大阪府泉大津市)創業者で代表取締役社長の奥山浩司さんが11月14日、「ロボット・システムインテグレータ(ロボット産業・業界について)」の演題で講演しました。有瀬キャンパスで行われた経済学部の林隆一教授の担当授業「演習Ⅰ」(2年次生)で、計11ゼミからの参加がありました。
奥山社長が演題として取り上げた「ロボット・システムインテグレータ(SIer)」という聞きなれない用語は「ロボットを使用して機械システムの導入や設計、組み立てなどを行う事業者」を意味します。ケーブル製造装置メーカーとしてスタートした同社も有力なSIerとなり、現在は産業用ロボットシステムとケーブル製造装置の開発・製造を主要な業務としています。
■SIer業界の認知度向上に取り組む
奥山社長は300社以上で構成する「一般社団法人日本ロボットシステムインテグレータ協会」副会長を務め、業界の認知度を向上させる活動にも熱心に取り組んでいます。大学では材料化学を専攻しながら絵を描くことが好きだったことから当初は機械設計の仕事をしていたといいます。顧客の工場経営者や製造メーカーなどの要望を聞いて、ロボットが要望通りの業務を遂行できるようにシステムを作る業務などの「I&R事業部」などを柱にして、会社を成長させてきました。日本人と外国人が区別なく仕事ができる「ダイバーシティ経営」を実行し、従業員60人の平均年齢は32歳で、女性社員は全体の35%だと会社の特徴を述べました。
■「ロボットに命を吹き込む仕事」の誇り
SIerについては「ロボットに命を吹き込む仕事」を担っているとして、システム導入で売上が増加して喜ぶ工場経営者らの声が多く寄せられているとしました。SIerは日本の「新たな産業革命」には欠かせない業種になっているといいます。しかしながら、ロボットシステムエンジニアは人材難で、向いているのは「変化に柔軟に対応できる人」。奥山社長は「人の働き方の価値観は今、変わっています。今安定しているからと言って今後も安定しているかは分かりません。ブランドや安定志向の大企業に対して、中小企業にも「未来の成長に期待してスキルアップに価値を置くなどの利点があります」と、述べました。
■「ロボット食堂にぜひ来てください」
同社は今後の成長に期待して事業分野を拡大しており、一例としてロボット3台がカレーやパスタなどのレトルト食品を加熱、開封して食器に盛り、搬送して配膳までするロボット食堂「HCI ROBO HOUSE」も2022年に泉大津市に開設しました。「社員食堂ですが、一般にも開放しており、物珍しさもあってか、バスで大勢の客が詰めかけることも少なくありません」と奥山社長はPRしました。
参加者からは「ロボットの定義とは何ですか」と質問が出ました。奥山社長は「情報を感知し、判断し、動作するという三つの要素技術を有する知能化したシステム」だと答えました。林教授は「学生の声を代弁してお聞きしますが、単純作業の仕事がロボットに置き換えられ、SIerの仕事が増えることになりますが、私たち(文系の)経済学部でもSIerで働くことはできますか」と質問しました。奥山社長は、「私の会社でも文系の出身ながら、営業で頑張っている人がいます。若い人たちはスマホを自由自在に使っていますね。あれを見た時にこの世代は簡単にロボットを扱えるようになると感じました。若い人たちには大いに活躍の場はあると思います」と答えました。