経済学部の中村ゼミが韓国・聖潔大学で「日韓の少子・高齢化問題」をテーマにした学生フォーラムを共同開催しました
2024/03/18
経済学部の中村亨ゼミ(3、4年次生)は3月13日、協定校の韓国・聖潔(ソンギョル)大学で共同開催した学生フォーラムに参加し、「明石市政の因果効果分析:―子ども施策(五つの無料化)は出生率増をもたらすのか―」「高齢化と経済成長」をテーマにした2題のプレゼンテーションを英語で行いました。
厚生労働省が発表した人口動態統計(2023年12月時点)によると、2023年に生まれた日本の子どもの数は75万8631人で過去最少(8年連続減少)。一方、韓国の特殊出生率は0.7と1を切り、昨年の米紙ニューヨークタイムズ(2023/12/2付)では、人口減少で「韓国は消滅するのか」と題するコラムが掲載され、注目を集めました。そこで、日韓2大学間の学生フォーラムを開催し、日韓共通の少子・高齢化問題の現状・課題・解決に向けた方策を両国の大学生が議論することで、単に学生同士の文化交流を深めるだけではなく、両国の未来にわたる持続可能な社会を構想するのに資する機会となればとの思いで企画しました。
中村ゼミは他の自治体に比して明石市の特殊出生率に関するパフォーマンスが格段に高いことに着目し、明石市独自の「子ども無料化」施策の評価を行いました。評価の方法は、昨今の実証分析では必須のツールとなっている「因果推論」で、中でも「差分の差分」分析や「合成コントロール」の手法を明石市と兵庫県下の28都市に応用したもので、明石市の「子ども無料化」施策により、特殊出生率に及ぼすプラスの有意な効果があったことを厳密な形で示しました。
「高齢化と経済成長」のプレゼンでは、厳密な因果モデルを適用し、日本の「失われた数十年(Lost Decades)」の原因を高齢化ペナルティー(高齢化による経済成長の収奪)とし、数量化・推定することに成功しました。
中村ゼミでは、このプレゼンテーションにあたり、約1年をかけて準備にあたり、中でも英語のスピーチ力向上のために本学の「English Plaza(いーぷら)」でネイティブの先生に特訓を受けました。また実証分析の因果分析手法の基礎を学ぶとともに、データベースの構築、統計分析ツール「R」のコーディング(coding)の修得にも努力しました。今後も、両大学間で、現代の社会・経済問題を論究する学生フォーラムを継続することも協議しました。