神戸学院大学

経済学部

経済学部の授業でソフトバンク法人マーケティング本部の河田悦子担当部長の講演がありました

2025/03/03

学生の質問に答える河田さん
学生の質問に答える河田さん

サービス産業の中でも重要な位置を占めている情報通信産業の先端的事例として、ソフトバンク株式会社 法人マーケティング本部 担当部長の河田悦子さんの講演が1月20日、経済学部の木暮衣里准教授が担当する「サービス経済論」の授業で行われました。

講演の冒頭に1980年代からの通信業界の変遷と携帯電話の歴史について解説があり、2000年以降、特に活発な再編等が行われたということが示されました。ソフトバンクの沿革は2001年のブロードバンド事業からはじまり、2018年の上場以降、「ZOZO」「LINE」「PayPay」を子会社化することで非通信事業領域にも進出しています。

親会社のソフトバンクグループとソフトバンクの関係については、親会社であるソフトバンクグループは世界のAI企業へ投資する「投資会社」で、ソフトバンクは通信やIT事業を行う「事業会社」という位置づけで、ソフトバンクグループの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」、ビジョンは「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」です。ソフトバンクではその経営理念・ビジョンに基づいてデジタルテクノロジーを軸に社会課題の解決につながる多様な事業を展開し、社会のDX化(デジタルトランスフォーメーション)に貢献することが現在の大きなテーマとなっています。

次に、1865~1896年に英国で施行された赤旗法(歩行者や馬車の安全に配慮するという名目で、馬車関連業者の権益保護のために自動車を規制しようとした法律)を例に、テクノロジーに乗り遅れることで産業発展から取り残されることの危険性についての解説がありました。第3次産業革命がPC・インターネットだとすると、これからの第4次産業革命の主要なテクノロジーはAIです。しかし、世界のビジネスでのAIデータ活用のスピードと活用率において、日本はかなり消極的で遅れているという調査結果が出ていると指摘。スマートフォンやクラウド登場時の意識調査等のデータから、「現在必要性を感じないから活用しないというのは危険」であり、「AIの進化をチャンスととらえる企業のみが、今後の仕事(市場)を創り出すことができる」と強調しました。

河田さんが担当する「Executive Briefing Center(EBC)」については、企業の意思決定層に最先端のテクノロジーを体験してもらい、新たなビジネスの創出や業務のデジタル化についてディスカッションする場として位置づけられています。現在、ソフトバンクで手掛けているテクノロジー関連事業は、AI、スマートシティ、メタバース、リテールテック、工場DX、ロボット等、多岐にわたります。講演では具体的な事例が多数紹介され、学生たちは熱心に聞き入っていました。

河田さんの講演について、学生からは次のような感想がありました。
「ソフトバンクと聞くとスマホのイメージしかなかったのですが、社会課題についてたくさん解決していこうとしているのを知ることができ、イメージが変わりました」
「ソフトバンクが通信産業のトップで活躍し続けている要因が、AIなどの最新技術を活用するといったその時代の変化に対応する柔軟性だということが分かった」
「最新技術の導入のお話がとても印象に残りました。産業革命で乗り遅れた国の発展が遅れているという話から日本のAIの導入が遅れているという話を聞いて危機感を覚えました。AIが必要だという意識が芽生えました」
「今日の講義を聞いて、ソフトバンクの多くの事業展開と先進的なビジョンを知り、通信事業に留まらず、AIやロボティクスへの積極的な投資や地域社会への貢献など、未来を見据えた取り組みに共感しました。今の就活の時期に必要な知識や業界の在り方を知ることができ、貴重な経験になりました」