土曜公開講座「くらしを支える賢い機械の過去・現在・未来」を開催しました
2024/11/25
経営学部の金澤拓也准教授による土曜公開講座「くらしを支える賢い機械の過去・現在・未来」を11月16日にポートアイランド第1キャンパスで開催し、75人が参加しました。
初めに、本講座のテーマである「くらしを支える賢い機械」としてロボットを取り上げ、古くは江戸時代のからくり人形から、最新の子ども向けロボットプログラミング教育の動向までを動画を交えて紹介しました。そして、ロボットとはどんな機械を指すのかを、「センサ」「アクチュエータ」「頭脳」の3つの構成要素から解説しました。「センサ」はロボットの外部の情報を収集する機能を指します。「アクチュエータ」はモーターなどロボットを動かす力を発生させる機能です。そして、「頭脳」によって、センサから得た情報をもとに力を制御できる機械をロボットと呼びます。
次に、ロボットを動かす原理である「制御工学」について解説しました。現在の状態から希望の状態へと移行させ、その状態を維持する基本的な制御の仕組みを紹介し、さらに、結果と目標値のずれを比較し、出力を調整するループを持つ「フィードバック制御」について掘り下げました。まずは、エアコン等の家電や日本の電力安定化など、私たちの生活の中で利用されている例を紹介しました。さらに、フィードバック制御の仕組みを会社での営業成績評価に置き換えることで、より理解しやすい形で解説を行いました。
続いて、産業用ロボットとサービスロボットの2つのカテゴリーから、世界で開発された過去の有名ロボットの数々を紹介しました。1962年に開発された世界初の産業用ロボット「Unimate(ユニメート)」から、2021年に神戸市で開発された国産初の手術支援ロボット「hinotori」まで、さまざまな産業用ロボットとサービスロボット開発の歴史を動画とともに振り返りました。また、SONYが開発した世界初の家庭用ペットロボット「AIBO」や、ボストン・ダイナミクス社開発の高い運動能力を持つ人型ロボット「Atlas」など人や動物を模したロボットも紹介しました。
最後に、ロボットの未来について、ディープラーニングによってロボット開発がどこまで進展したかを説明しました。近年の進歩の一例として、視覚情報をもとに五本の指を細かく制御できる新型ロボットハンドの登場を挙げました。また、ディープラーニングの発達により、言語による人の指示を理解できるAIが登場したことから、聴覚・視覚・言語理解を組み合わせて動作ができるマルチモーダル型といわれるロボットが最新のトレンドとなっていると述べられました。今のAIは膨大な学習データを必要とするという課題を解決するような新しい技術の開発に期待したいとコメントし、講義を締めくくりました。
参加者らは「AIロボットの開発→実用化のプロセス、課題が知れて新しい認知ができた」「ディープラーニングへの興味が少しでてきた」「難しいテーマだったが大変わかり易く、知識を広げることができて有意義だった」など多くの声を寄せました。
次回、11月30日のグローバル・コミュニケーション学部の中西のりこ教授による「私たちのくらしと英語」で第88回土曜公開講座を締めくくります。