楽天ヴィッセル神戸社長室の松澤室長が経営学部で特別講義を実施しました
2024/12/04
プロサッカーチーム「ヴィッセル神戸」を運営する「楽天ヴィッセル神戸株式会社」社長室の松澤拓室長による特別講義を11月26日、経営学部で実施しました。
この特別講義は、本学とヴィッセル神戸とのパートナーシップ事業の一環として実現し、2年次生を中心に約300人が受講しました。
松澤室長は大学では経営学を専攻し、卒業後は2002年に有名電機メーカーに就職。2017年に転職して楽天株式会社に入社、2024年3月に現職に就任しました。自己紹介で「20年たってようやく経営学の知識が生かせる部署に来ました」と述べました。
講演の前半は「意外と知らないJリーグの経営」について、サッカークラブの経営がスポンサーからの収入やチケット・グッズの販売に加え、試合の放映権、選手の移籍料などで成り立っていることを説明しました。選手の移籍料(契約解除料)は、送り出した当該クラブ以外に、連帯貢献金として、その選手が12歳からから23歳まで所属したそれぞれのチームや学校などにも支払われるとの説明があり、海外の有名クラブに移籍した日本のスター選手に支払われる巨額の移籍料に学生たちは驚いた様子でした。
講演の後半は「行動経済学に基づくマーケティング戦略」についての紹介がありました。「プロサッカーチームはいくらで買えるのか」というテーマでは、イングランド・プレミアリーグの「マンチェスター・ユナイテッド」を富豪一族が約1500億円(当時のレート)で買ったとの報道を紹介し、ここでも日本とは比較にならない数字に学生たちは目を見張りました。
続いて経済学と心理学を融合させた学問分野「行動経済学」の説明があり、「誰に何を売るか」をデータに基づいて決める上で、この学問がクラブ経営に生かされている事例を順に示しました。例えば、「何曜日の何時キックオフの試合のチケットが最も売れるか」というデータがあり、需要と供給のバランスによって価格が変動する「ダイナミックプライシング」の導入によってチケットの価格も決まるとのことです。
このほか観客の満足度を上げ、ストレスを軽減する対策も科学的に検討し、「キックオフ直前は入口ゲートが混雑するので試合開始1時間前にイベントを行い早めに入場していただく」「飲食売店での待ち時間は映像モニターを設置することで、モニターでゲームを見る時間と捉えていただく」などと多彩な取り組みを紹介しました。
最後に松澤室長は自身の体験から「皆さんが学んでいる経営学は必ず役に立つ時が来ます。勉強も頑張っていただき、ヴィッセル神戸の試合にもぜひお越しください」と述べ、講演を締めくくりました。
質疑応答に移り、学生からは、「移籍金に関連して、ユースから育てた選手を海外のクラブに出すのも(経営戦略として)一つの手法だと思いますが、いかがですか」との質問が出ました。松澤室長は「いい質問です。その通りです。ユースを育てるU18のヴィッセル神戸アカデミーがあり、昨年選手2人がヴィッセル神戸のトップチームに昇格しました。そこから海外のクラブに移籍する選手もいて、移籍金も入ってきています」と答えました。
受講した学生らは、「チームを運営する難しさや顧客への配慮、収益を最大化するための顧客心理の活用方法が印象に残った」「ヴィッセル神戸の歴史を知って、サッカーにもチームにも興味をもった」などの感想を寄せました。