神戸学院大学

被災地支援活動

令和6年能登半島地震 被災地支援学生ボランティア 第4クール

日時 2024年9月9日(月)~12日(木)
場所 石川県能登町・輪島市・珠洲市被災地
主催 神戸学院大学 災害支援対策本部会議
協力 (株)ぶなの森、神戸学院大学教育後援会、神戸学院大学同窓会
参加者 学生10人、引率2人 計12人
学生所属:法学部1人、経済学部1人、経営学部2人、人文学部1人、現代社会学部1人、総合リハビリテーション学部1人、栄養学部1人、薬学部2人
引率所属:共通教育センター1人、学生支援グループ(ボランティア活動支援室)1人
交通 大阪駅~金沢駅 JR特急&北陸新幹線、現地マイクロバス移動
宿泊先 9/9・10・11(3泊) セミナーハウス山びこ(能登町)

行程

9月9日(月)

時間 内容
10:20 大阪駅集合(中央改札外)アントレマルシェ前
*人身事故のため、85分遅れでサンダーバード発
12:00 大阪駅発 サンダーバード17号
13:30 敦賀駅着
13:48 敦賀駅発 北陸新幹線22号
14:46 金沢駅着 マイクロバスで移動
*輪島市視察を翌日に変更
18:30 セミナーハウス山びこ到着 宿舎で夕食、翌日打合せ

9月10日(火)

時間 内容
07:30 起床、宿舎で朝食
08:50 宿舎出発
09:00 活動先は宿泊所隣(徒歩)
    【活動①】被災家屋瓦の運搬 松谷内邸(能登町黒川)
  • 瓦運搬:軽トラ2台手配(カーシェア協会)
    災害ゴミ置き場(藤波運動公園)往復(軽トラ3台×3往復)
  • 午前のみ、9/12健康体操チラシのポスティング(3人)(バスで上町仮設住宅へ移動)
12:00 昼食休憩(愛理弁当:セミナーハウス山びこ)
13:00 活動再開
15:00 活動終了 → 輪島へ出発
16:30 輪島市着
【視察】訪問「しお安漆器工房」(輪島市小伊勢町)、輪島朝市周辺の視察
18:30 セミナーハウス山びこ(能登町)到着、宿舎で夕食、翌日打合せ

9月11日(水)

時間 内容
06:30 起床、宿舎で朝食
08:00 宿泊所出発、マイクロバスで移動
09:00 【活動②】農業手伝い(小豆選別、お米梱包袋シール貼り)
農業生産法人すえひろ(珠洲市若山町出田ほ部26番地)
12:00 昼食休憩(カレーライス:すえひろさん提供)
13:00 珠洲市沿岸部(見附島他)視察
13:30 能登町へ移動、マイクロバスで移動
14:30 【活動③】被災業者の片づけ手伝い(音響・照明機材の清掃、整理)
NPO団体 BLサウンド(能登町柳田)
16:45 活動終了、移動
19:00 金沢駅到着、夕食
18:00 セミナーハウス山びこ(能登町)到着
*山びこの瓦の撤去作業(軽トラへ乗せる)
宿舎で夕食、翌日打合せ

9月12日(木)

時間 内容
08:30 宿泊所出発 → 茶話会買い出し(コンビニ)、マイクロバスで移動
09:00 【活動④】健康体操&茶話会
上町公民館(能登町上町8-485)
*別行動、廃棄機材運搬:軽トラ1台分(川口)
12:00 活動終了、片づけ
13:00 現地出発
15:15 金沢駅到着、車中で夕食(事前購入)
16:54 金沢駅発 北陸新幹線つるぎ35号
*学生1人、金沢(実家)で解散
17:36 敦賀駅着
17:44 敦賀駅発 サンダーバード36号
19:07 大阪駅着 解散

活動の様子

【9/10 被災家屋の片づけ(能登町)】

膨大な瓦をトラックに積み込んだ
ピアノの搬出手伝い
軽トラで災害ゴミ集積所(片道30分)へ運搬

【9/10 訪問「しお安漆器工房」(輪島市小伊勢町)】

被災地の状況、職員の人手不足などの話を聞く
地震の傷跡が残る店舗
大規模な火災のあった輪島市朝市通り

【9/11 農業生産法人すえひろ(珠洲市)被災で遅れる農作業の手伝い】

被災のためスタッフ不足で、作業が追いつかない状況が続いていました
6月に引き続き小豆の選別作業に加え、お米パッケージのシール貼りを行いました
昼食にカレーをいただきました
いつも明るく接していただき学生が励まされます

【9/11 珠洲市沿岸部視察】

震災で変形してしまった見附島(観光スポット)
家屋被災状況、地震でマンホールが隆起している

【9/11 被災業者の音響・照明機材の清掃と整理】

地域イベントをサポートしていたNPO団体の機材のレスキュー
被災して破損した機材もある中で、倉庫での整理作業を手伝った
川の水で清掃した
活動終了後の集合写真
毎夜、宿舎で打合せと活動準備をしました

【9/12 健康体操教室・茶話会(能登町上町公民館)】

上谷先生の指導で、健康体操
指導する上谷先生
体操の後は茶話会を開催しました
会場の公民館
学生達が作成した『体操マニュアル』
学生達が作成した『体操マニュアル』

上町公民館での活動について

活動最終日となる9月12日に、上町公民館をお借りして健康体操教室と茶話会を実施しました。現地入りする前に健康体操教室と茶話会を開催するチラシを作成して上町公民館担当者へ共有し、公民館でのチラシ掲示や公民館のインスタグラム等を通じて開催のお知らせをしています。また、10日、午前中に公民館すぐそばにある仮設住宅を訪れ、チラシのポスティングも行いました。
健康体操教室での講師は上谷が務め、学生ボランティアは参加者のサポート(講師と異なる動きをしていた際にアドバイスを行う)を行う形で、事前の打ち合わせを実施しました。また、教室に参加した後も運動を続けてもらえたらとの考えから、実施する筋トレやストレッチをイラストで説明した資料を現地で学生ボランティアが作成し、事前準備を行いました。
当日は、健康体操教室を開催する時間までに大雨が降っていたことも影響したのか、10時の教室開始時に会場にいたのは1人だけでした。そのため、当初の予定を変更し、学生ボランティアも参加者の方と一緒に体操をすることにしました。簡単な自己紹介や運動クイズを行っている間に、住民2人と仮設の見回りに来られていた保健師さん等6人が途中から参加され、最終的には賑やかな形で健康体操教室を実施することができました。なお、参加して下さった3人の住民のうち、2人は公民館でのチラシを見て、もう1人は開催前に学生ボランティアが仮設住宅で声掛けをしたことがきっかけだったようです。イスを使ったストレッチと筋トレ、床面でできる筋トレやストレッチを学生ボランティアも含めた全員で行い、和気あいあいとした雰囲気の中で健康体操教室を実施することができました。また、参加者に配布した学生が作成した資料は、お渡した瞬間にみなさん笑顔になっていました。この資料が、その後の運動機会の増加へつながっていることを願います。
健康体操教室のあとは、机やイスを3つに配置して約1時間の茶話会を行いました。3人の方にはそれぞれの机に1人ずつ座って頂き、神戸から持参したお菓子や購入したジュース・お菓子等をつまみながら、和やかな雰囲気で会話を楽しみました。震災当時や現在の生活のことだけではなく、神戸や能登の話や学生生活等、さまざまな話題で色々とお話をしていたようです。
今回、天候の悪さもあり、参加者が想定よりもかなり少ない状況でした。ただ、お話を聞いていると、平日の昼間に仮設にいらっしゃる方は動くのも少し大変な高齢者ばかりで、そもそも公民館へ来ることが難しいのでは、ということでした。また、元気な方は仕事や畑があるため、基本的には平日昼間に仮設へいることが少ないようです。今後、このような企画を実施する際は、今回の開催で得た情報を生かしつつ、住民の方の交流や癒しの場となる活動へとつなげていってほしいと思います。

(上谷聡子 共通教育センター教員)

参加学生の学び、気づき *事後アンケートから一部抜粋

  • 輪島塗など被災地の伝統を無くさないようにしないといけない。
  • 実際に被災地に訪れ、現地の方と交流する事で、ニュース等報道だけでは伝えきることができない被害や、悩み等を知ることが出来た。
  • 「してもらいたいこと」、「してほしくないこと」など被災した方の心情を知った。
  • 被災地の状況を目の当たりにし、被災された方々からもお話を伺い、被災当時の状況を直接学ぶ機会となりました。
  • 被災者の生の声を直接聞くことで、震災を体験した人にしかわからない恐怖、当時の経験や思いを肌で感じる、聞くことが出来た。
  • ボランティアに行く前までは復興がもう大分進んでいると考えていたのですが、実際に現地に着くと、ほぼ手つかずの住宅もあり、まだまだボランティア等の支援が必要なのだと感じた。
  • 被災者の方々から感謝をしてもらうことができ、とても嬉しかった。被災地の方々と交流していく内にコミュニケーションを取ることへの恐怖心をやわらげることができた。
  • いろんな人の役に立てたと感じて嬉しかったし、被災者の方々は来てくれてありがとう、助かった、とおっしゃってくれ、とてもよかった。
  • 行ってみないと分からなかった、SNSには取り上げられない現状や問題に触れられたこと。メンバー同士、同じ目標を持って活動できたこと。
  • 火災のあった輪島の朝市の様子をテレビで見ていたが、実際に見ることができた。現地案内人のおかげで「今」どう地域が動いているか身近に感じられた。
  • 将来、私が目指しているDWAT(災害派遣福祉チーム)の活動が今までよりも鮮明になり、イメージしやすくなった。同じ目標を持っている人が集まったため、集団支援の段取りが理解できた。
  • 被災された方から「本当に助かりました。ありがとうございました」「若い皆さんからたくさんパワーをいただきました」と笑顔で行ってもらった。
  • 私が感じていた以上に現地の復興が進んでおらず、長期的支援が必要だと感じた。被災された方々のメンタルが心配でしたが、私達に差し入れをくれたり、笑顔で話してくれたりなど、想像以上に明るい一面が感じられた。
  • 地域、集落内での結束が強いところだと、コニュニティ外の人は、たとえボランティアであっても受入れが難しいこともある。
  • 実際に現地に行かなとわからないことがあるから行くことが大切。被災者の方々の困っていることを助けることもだけど、私たちが行って被災者の方々と軽くお話しするだけでも気晴らしになる。
  • 現地で信頼を得られた状況下で活動するには、現地の人と信頼関係、ネットワークがあるコーディネーターの存在が必須であり、そのコーディネーター抜きで私達のような外部の人間が現地で活動することは難しい。

【被災地で聞いた話】

  • 災害が起きた直後に、空き巣被害をはじめとした、災害を利用した犯罪が起きたと、被災者の方から聞きました。そんな事もあった中、私達を受け入れた上に気遣っていただけて本当に嬉しかったです。
  • 仮設住宅にはおらず、日中は金沢の方に働きに行っている人がいるということ。実際に私も仮設住宅に最終日、健康体操と茶話会の呼びかけで訪れた際に、木曜日ということもありあまり人がいなかった。
  • 地震後は水道が通っておらず屋根の雪解け水を温めてシャワーを浴びていたと聞いた。
  • 公民館で地元の方々が「人に話すことで気持ちが楽になる」と仰っていた。
  • 見附島の近くの住宅街の被害を見学していた時、「家族が下敷きになっていると分かっていても、津波が来るから逃げるしかなかった」と言われていた。
  • 塩安漆器工房さんへお邪魔させていただいた際に、案内していただいた女性の方より「輪島塗の職人さんは震災後、輪島外へ非難されたため、その避難先(金沢など)から片道2時間かけて輪島市へ通勤している。ある職人さんは、週2の出勤で、出勤した際は、そのまま輪島市内の仮設住宅で泊まることもある」とお伺いした。