被災地支援活動
8月19日(火)~27日(水) 学生ボランティア派遣 報告書
標記の件、下記のとおり報告いたします。
プログラム名 |
宮城県災害支援学生ボランティア少人数滞在プログラム(大学主催) |
日程 |
活動 2014年8月19日(火)~27日(水)8泊9日
事前研修8月8日(金)、事後研修10月17日(金) |
参加者
学生6人 |
- 名取班
経済学部3年次生(一般公募で参加)
現代社会学部1年次生(一般公募で参加)
総合リハビリテーション学部2年次生(ボランティア活動支援室学生スタッフ)
- 石巻班
法学部4年次生(一般公募で参加)
経営学部1年次生(ボランティア活動支援室学生スタッフ)
人文学部3年次生(ボランティア活動支援室学生スタッフ)
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引率1人 |
川口 謙造 ボランティア活動支援室職員(全期間) |
研修講師1人 |
守田 敦子 心理臨床カウンセリングセンターカウンセラー(8/8、8/19~22、10/17) |
行程・内容
8月19日(火)
名取班
名取市へ移動
名取市箱塚屋敷=挨拶、活動打ち合わせ、学生ボランティアチラシの全戸配布
※仮設住宅から自転車をお借りし、宿泊施設との往復に使用することにした。
石巻班
石巻市へ移動
石巻市南境第5団地=挨拶、打ち合わせ →第4団地=挨拶、打ち合わせ
8月20日(水)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
09:30~ |
集会所でラジオ体操およびダンス(住民の日課に参加) |
10:00~ |
エアコン・換気扇・電気傘の清掃活動(見守りシステム導入の世帯=高齢者、障がいのある方など)で、午前2世帯・午後3世帯を行った。 |
16:00 |
活動終了 |
夜 |
宿泊所ロビーで守田カウンセラーの参加のもと、活動期間中の研修会を実施 |
※活動中の写真はプライバシー保護の観点で撮影しませんでした
石巻市南境第5団地での活動(石巻班)
10:00~ |
集会所に置いている神戸学院ライブラリー(寄贈図書)の整理 |
13:00~ |
集会所等の子どもの学習支援、夏休みの宿題を一緒にしました。 |
16:00 |
活動終了 |
8月21日(木)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
10:00~ |
掃除活動、午前2世帯、午後3世帯を行った。聴覚が不自由なご夫婦世帯では掃除の後に震災体験や障がいのある被災者からの苦労談をお聞かせいただいた。 ただ清掃をするだけでなく見守りの必要な住民と会話をすることが大切な目的であり、気づいたことは生活支援相談員(社会福祉協議会)に報告する。 |
16:00 |
活動終了 |
石巻市南境第5団地での活動(石巻班)
10:00~ |
子どもと夏休みの宿題と工作(プラパン作り)を実施した。 |
12:00~ |
昼食休憩(子どもは家に帰るというルールあり) |
13:00~ |
宿題・工作・諺かるた・漢字カードを行った。集会所の外に出てバドミントンをして息抜きをした。子どもたちの関心や集中力を持続するために神戸で用意した学習材を工夫して使用する。子どもとの信頼関係を結ぶこと、勉強は勉強、遊びは遊びとメリハリをつけるためにはどうしたらよいか悩む。 |
16:00 |
活動終了 |
夜 |
石巻駅前フリースペースで活動期間中の研修(子どもとのかかわり方)を実施 |
8月22日(金)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
09:30~ |
ラジオ体操 |
10:00~ |
戸別訪問し、掃除活動を継続。守田カウンセラーは活動を見守った後、本学ボランティアバスの事前研修講師のために神戸に帰った。 |
17:00~ |
神戸学院企画として「たこ焼き&明石焼き大会」(集会所)を実施。
集会所の外で花火大会も開催したが、雨天のため、途中で中止した。 |
石巻市南境第5団地での活動(石巻班)
午前 |
翌日の活動のために活動備品の買い出し |
14:00~ |
住民恒例のカラオケ大会(東京都の城南信用金庫が東北の支援活動として定期的に実施)にお誘いいただき参加した。本学では第5団地は子どもの支援を継続しているが大人との交流機会となった。 |
16:00 |
活動終了 |
8月23日(土)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
09:00~ |
本学ボランティアバスの活動日のため、バス到着の受け入れ、活動のサポートを行った。先行して仮設に入っている少人数滞在メンバーの大切な役割である。 バスの活動は駐車場の環境整備(カラーコーンのナンバー張り替え)、共用ベンチの修繕、集会所での木工作業(お盆、ペンたてづくり)など多数の人手が必要な活動で、詳細はボランティアバス報告書を参照のこと。加えて、清掃活動が予定より希望者が増えたので、バスのメンバー6人の協力を得て3班に分かれてこの日も実施した。 |
16:30~ |
石巻へ移動 |
18:00~ |
石巻第5団地の活動に合流(内容は下記の通り) |
21:00 |
活動終了(翌日のボランティアバス活動に参加するため石巻で宿泊) |
石巻市南境第5団地での活動(石巻班)
10:00~ |
子どもたちとハンバーグを作り(調理実習)、昼食で一緒に食べた。 |
13:00~ |
キャンドル作り |
18:00~ |
集会所前でキャンドルナイト・花火大会 |
19:30~ |
集会所で子どもたち、家族、自治会役員で茶話会(自治会主催)
子どもと学生が信頼関係の中で交流する姿を見ていただく機会となった。 |
21:00 |
活動終了 |
8月24日(日)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
午前 |
石巻沿岸部を視察 |
午後 |
石巻市南境第4団地へご挨拶、第5団地で子どもたちと交流
ボランティアバスを見送った後、名取市へ移動 |
石巻市南境団地での活動(石巻班)
10:00~ |
南境第5団地でボランティアバスメンバーと壁画修復作業 |
16:00~ |
第4団地へ移動し、夏祭りの手伝い、バス活動の見守り |
18:00頃 |
ボランティアバスを見送り、活動終了 |
8月25日(月)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
09:30~ |
ラジオ体操 |
10:00~ |
清掃活動 |
16:00~ |
活動終了後、仮設住宅の住民(タクシー運転手)のご好意で名取市沿岸部(閖上地区)を案内いただいた。 |
石巻市南境第5団地での活動(石巻班)
10:00~ |
学習支援(数字カードで計算)、集会所前でかくれんぼ、ドッヂボール |
13:00~ |
学習支援(計算、諺かるた、英単語かるた、夏休みの宿題、読書など) |
8月26日(火)
名取市箱塚屋敷での活動(名取班)
15:00~ |
仮設自治会役員と少人数滞在およびボランティアバス活動の振り返り
学生の頑張りに感謝の言葉をいただいたほか、学生の専門から気づいたこと、新しいアイデアを提案するなど、さらに積極的な参加の要請を受けた。 |
石巻市南境団地での活動(石巻班)
11:00~ |
第4団地で仮設自治会役員と活動の振り返り
学生はよく頑張ったと高い評価をいただいた。ただし、ボランティアバスの学生には自ら動く学生とそうでない学生がいる。リーダーは全体の統率がとれるようにもっと経験を積むことだとアドバイスいただいた。 |
13:00~ |
第5団地で仮設自治会役員と活動の振り返り
仮設の子どもたちの状況を詳しくお教えいただいた。子どもたちは寂しいので、誰でもいいから遊んでほしい。しかし、継続して活動している本学学生には、子どもたちのそれぞれの個性を理解して、子どもたちのことを考え接してくれることを求めている。学生は変わるがしっかりと引き継ぎをしてもらいたい。 |
8月27日(水)
名取班、石巻班が合流して、学生が自主的に宮城県牡鹿郡女川町を視察。石巻の宿泊施設の知り合いの方が女川出身であり、車で案内いただいた。
現地での見守り、研修(期中研修)の報告(守田カウンセラー)
名取班
- 学生は「活動が楽しい」と言っているが緊張と疲れで表情がうつろな者もいた。適度な休憩が取れる活動スケジュールとすることが必要と思った。
- 清掃の希望調整には「なぜ、うちには来てもらえないのか」「見守りシステムが入っている世帯だけという画一的な対応はおかしい」などのクレーム対応で、生活支援相談員に負担がかかっている。ただし、学生からは清掃をしながら集会所に来ない住民と親密な話ができるので意義の高い活動となっている。12月バス(年末大掃除)での課題となる。
石巻班
- 第4団地の自治会長は本学学生を育てようという気持ちを強く感じた。そのような理解のもと、「活動をさせていただいている、経験の機会を与えていただいている」という側面を学生に伝えていくことの必要性を痛感した。
- 第5団地の自治会長は子どもたちが中学、高校への進学などで、仮設住宅での子ども同士のつきあいから離れていっている、また仮設から出ていく子どももあり、残された子どもたちのことが気になると話しておられた。本学学生には甘やかすのではなく、きちんと叱ること、集会所の掃除をさせることなどが伝えられた。
- 子どもの対応に戸惑う学生に対して、目的をしっかりと認識し、ルールを決め、みんなで守るという働きかけの必要性、親御さんから子どもを預かっている立場として言葉遣いや振る舞いを見直すべきとアドバイスした。その後、個別の対応の相談に応じた。
学生の気づき、学び(10/17の事後研修会から)
名取班
- 掃除では、学生が訪問することを心待ちにしていただいており、お茶、お菓子が用意されていた。嬉しかった。
- 仮設内で周りの住民と馴染んでいない方もおり、今回、話ができたことがよかった。
- 掃除のニーズが思っていた以上に高く、すべてに応えられなかったことに悔いが残る。
- 「掃除を通して、集会所に出てこない(これない)住民と交流すること」と、自治会役員の方から活動の意味づけをしていただいたことがよかった。
- 障がい者の目線で災害ボランティアを考えることの大切さに気付いた。
- タクシー運転手が住民におられ、好意で沿岸部を案内いただいたことに感謝したい。
- 今回は仙台ではなく名取市の宿泊所だった。仮設住宅から自転車をお借りして往復したが、身体で風を感じながら被災地を回ることのよさを実感した。これからもぜひ、継続してほしい。
- 箱塚屋敷は自治会長、生活支援相談員が交代され新しい体制での活動だったので不安があったが、住民、相談員から学生のことを配慮いただき本当にお世話になったと思う。
- 1年次生で初めての経験だったが、たこ焼きパーティの提案が採用され、実際に実現できたことがよかった。住民自らが楽しんでたこ焼きを作られていたことが嬉しい。
- 1週間は心身ともにきつかったが、最後までやり遂げられて自信になった。将来、自衛官を目指しており、視察で被災地を見たことがよい経験となった。
石巻班
- 夏休みの宿題はほとんど済ませていたので、もっと学習支援の準備をしておくべきだった。キャンドルサービスなどイベントの準備に追われたが、活動の中核である学習支援にもっと労力をかけるべきだった。
- キャンドル作りは子どもと大人と一緒にと想定していたが、大人の参加者が来られなかった。子どもが少なくなる中で、大人も参加できるように工夫をするべきだと思った。
- 今回、石巻と女川の視察を行い、復興の状況など比較ができたことがよい勉強になった。
- 2年前にボランティアバスに参加したが「被災地に行った」だけで終わっていた。今回は住民のことを思いながら意識をもって取り組めた。
- 守田さんの活動中の研修で厳しい指摘を受け、その後、学生で話し合いをしたことがよかったと思う。
- バスの活動に組み込んだ壁画修正の活動は無事終了した。8月初旬に学生2人(自分とバスの壁画担当者)で事前調査のため宮城に行ったことが功を奏した。学生がその必要性を提案したが大学が認めてくれて感謝したい。
- ボランティア活動支援室学生スタッフのリーダーとして、自分の判断が結果を左右する責任の重さを実感した。
- 学生スタッフの1年生として、先輩リーダーの姿を見て学べた。
- 東北だけでなく他の地域の被災地や災害以外のテーマも経験したい。
共通する課題として
- 少人数メンバーは6人で2カ所に分かれるが、ジェンダーバランスを考えた方がよい。(今回は男子学生1人)
- 備品の管理はしっかりしないといけない。バスの活動との連携もあり、意思疎通が必要だ。
- 石巻班は旅館で女子3人が共同生活できたことがよかった。しっかり話し合えた。
引率、指導者から
- 活動直後の反省会から二か月経過し、同じ反省を繰り返すのではなく次のアクションへとつなげる行動をおこさないと活動をよくしていくことは難しい。主体的にプログラムをよくするために頑張ってほしい。課題を引き継ぐのではなく、解決策を引き継いでほしい。活動備品を購入する際、それが本当に必要なのか、自分のお金なら買うのかを基準にして無駄使いはしないようにすべき。(守田)
- 災害支援として大学が力を入れているプログラムである。少人数ということは託されているということだから次に参加する学生にしっかり引き継ぎ、サポートしてほしい。石巻での壁画修復作業で学生から事前調査で現地に行きたいと相談があった。そのような積極的で機動力のある動きは歓迎したい。(川口)
以上