2014年2月10日(月)~18日(火) 学生ボランティア派遣 報告書
標記の件、下記のとおり報告いたします。
プログラム名 | 宮城県災害支援学生ボランティア少人数滞在プログラム(大学主催) |
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日程 | 2014年2月10日(月)~18日(火)8泊9日 2月7日(金) 事前学習会(心理臨床カウンセリングセンター協力) 3月24日(月) 事後学習会(学びの確認と今後について) |
参加者
学生6人 | <名取班> |
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引率1人 | 川口 謙造 ボランティア活動支援室職員 |
活動概要
2011年夏より学生ボランティアを受け入れいただいている名取市箱塚屋敷、石巻市南境団地(仮設住宅)にて、本学学生による支援活動を実施した。ボランティアバスと比して、仮設住宅の日常生活に触れる機会が多く、より踏み込んだ人間関係の中で支援関係を取り結ぶことができる。
行程・内容
2月10日(月)
10:00 | 伊丹空港→仙台空港到着(11:10) |
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午後 | 名取班、石巻班に分かれて活動の打ち合わせ、前日の準備 |
2月11日(火、祝日)
名取班:終日視察
- 名取市の被災を受けた沿岸部「閖上地区」をレンタル自転車で視察した。
ゆりあげ港朝市やメイプル館(被災後、カナダ政府からの寄付で設立)、閖上小・中学校、「閖上の記憶」(復興資料館)へ行き、現地の状況を勉強した。
石巻班:南境団地で活動
午前 |
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雪が積もる仮設の敷地内
バレンタインチョコのデコレーション
午後 |
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2月12日(水)
名取班:箱塚屋敷で活動
午前 |
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午後 |
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石巻班:終日視察
- 日和山公園を散策、その後門脇地区を徒歩で視察した。
- 昼には東北応援物産展(大学祭)の候補メニューである郷土料理の石巻焼きそばを試食した。
2月13日(木)
名取班:休日
石巻班:宿泊施設で終日、作業
- 翌日14日に仮設住宅に住んでいる方々に配るチョコレートクッキー(既製のクッキーにメッセージのデコレーション)を作った。100世帯の配布を予定しており、300個を作成した。1世帯につき3つのクッキーを袋にラッピングした。
2月14日(金)
名取班:箱塚屋敷で活動
午前 |
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午後 |
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活動の準備
石巻班:南境団地で活動(終日)
- 3人が手分けして戸別訪問を行い、前日に作ったチョコレートクッキーを第5団地、第3団地の二つの仮設住宅に配った。第3団地では住民の方に配布を手伝いいただき、コミュニケーションをとりながらの配布となった。
- 留守(半数)にしていた方には翌日(15日)のボランティアバスの活動に組み入れ、再訪問をして配ることにした。
2月15日(土)
名取班:箱塚屋敷で活動
午前 |
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午後 |
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石巻班:南境団地で活動
ボランティアバスの受入、サポート
- バスが雪の影響で遅れるということで、急遽少人数の3人でそばめし作りを行った。バスのそばめし担当者からレシピを送付してもらい、資材を購入した。
- 昼にバスが到着し、そばめし作り(バスメンバーへ引き継ぎ)、プリン作り、足湯を行った。大雪のため、屋外の濡れ縁作り(木工作業)が中止となった。
- 14日に引き続き、バレンタインチョコクッキー配布のため戸別訪問をバスメンバーと3グループに分かれて行った。
- 木工作業が中止になったため、集会所でそばめしやプリンを食べながら、じっくりと交流ができ、住民と学生が楽しめる時間となった。他の団地(南境第3団地)の方も来られており、学生が住民同士の交流機会を作っていた。
2月16日(日)
名取班:箱塚屋敷で活動
ボランティアバスの受入、サポート
午前 |
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午後 |
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石巻班:南境団地で活動
終日、子どもとの交流活動を実施した。
午前 |
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午後 |
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2月17日(月)
名取班
- 前日に戸別訪問させていただいた住民に、閖上地区(沿岸部)や隣町などを車でご案内いただいた。
- 午後から、住民と学生で活動の振り返り(少人数、ボランティアバス)を行った。
石巻班
南境第4団地での振り返り
- これからの東北応援物産展のメニューについてアドバイスを頂いた、さんまのつみれ汁のおすまし版(2013年は味噌)、玉こんにゃく、石巻焼きそばなど。
- 2014年夏に実施予定のボランティアバスでの活動として、そばめし、流しそうめん、ビンゴ大会のアイデアをいただいた。
- ボランティアバスでの住民と学生との交流が好評のため、自治会長からは今後の活動でも継続して実施してほしいと言って頂けた。
第5団地での振り返り
- 高校受験を間際に控える子どもへのアドバイスが良かったと感謝の言葉を頂いた。
学生の気づき、学び
名取班
栄養学部2年次生、女性(一般公募で参加)
意見が出てこない。私がこのボランティアで一番悩んだことだ。他の少人数のメンバーは自分の意見を持ちそれを積極的に人に伝えていた。今まで自分が避けてきたことだった。反省会でも本当に自分の思ったことを言えずに誰にでも言えそうな感想しか出てこず恥ずかしかった。何とかして意見が出るように発想力を身に着けたいと思った。この活動で今後の目標がはっきりした。
そして最終日には住民の人が車で津波被害の現場をまわりながら今の震災地の復興が遅れている現状やもどかしい気持ちを話してくれた。ここに本当に家があったのか信じられない、ここは前から何もなくてただの畑だよと言われればそうかと納得してしまう。本当は苦しくて思い出したくない過去なのだろうが、将来起こる地震に備えることが大事で、一人でも多くの人を助けるために私たちに伝えてくれていると感じた。以前だったら地震のニュースで「明日に地震が来るかもしれない」と聞いても、心のどこかで「まぁ大丈夫だろう」と根拠のない自信があった。今では東北で出会った人たちの顔や会話がポッと頭の中に浮かんできて、「いま被災者はこういうことを考えているのではないか」など、より真剣に考え、関心を持つことができるようになった。それは実際に行かなかったら感じることのできないことだ。
東北から帰ってきて他のボランティアに参加した。自分にも人の役に立てると自信がついたから行動ができた。もっと自分が変わりたいと考え実行させてくれたのは今回の活動のおかげだ。自分が助けるつもりでいった東北なのに逆に自分のほうが成長させられ、助けられた。挑戦することは精神も体力も使い、時にはストレスとなり、やめたいと思う。でも、挑戦することでいい面でも悪い面でも発見があり、必ず自分を成長させてくれる。今回、自分をこんな気持ちに変えてくれた少人数のメンバーや現地でかかわった住民の方や職員の方、企画してくれた学校のおかげで感謝している。
経済学部3年次生、男性(一般公募で参加)
テレビの中の世界で、日本国内なのにどこか遠く感じていた被災地に行けて、現状を見られたことについては本当に良かったと思う。震災から3年が経ち、発生当時のように良い、悪いにかかわらず事実が取り上げられることは少ない。今はメディアだけを見ていると、まるで大震災が起きたことで人間の心が綺麗になり、いい人ばかりが現地には住んでいるという印象を少し持ってしまっていた自分がいた。だが実際はそうではなく、被災地の方も自分と同じ人間なのだと安堵の気持ちがあった。バスのプログラムで来ていたらこんなにいろいろ、良いことも悪いことも知らずに帰っていたのだなと思った。仮設住宅の中を実際に見せていただいたが、こんなに簡素で薄壁では冬は寒く、夏は暑いだろうと感じ、普通の住宅に戻る準備が急がれるなと思った。
ボランティアは普段自分ができていないこと、苦手なことが露骨に出てくるなと思った。もうちょっと積極的に住民の方に話かけ、話題を振れたらよかったが、変にいろいろ考えてしまい、こちらから能動的に話を聞くことができなかった。
改善点
- お茶会を最初にすると名前、顔を覚えていないので、ある程度顔を覚えてもらってから日程の最後の方にお茶会をすると住民の方、自分たちどちらもお互いスムーズにできるのではないか。
- 現地に行く前(顔合わせの時など)に反省会の日を決めておいたらよかった。今回のように1ヶ月以上空いてしまうと忘れてしまうと思う。
- 被災地視察、仮設住宅活動以外の震災に関係するボランティア活動を1日設定できたらいいなと思った
- 最後の振り返りの後、住民の方に被災地を車で案内してもらった。他の目に自分たちで行ったときとは比べ物にならないくらい、いろいろなことを知ることができて本当によかった。次回も、その方とアポを取り説明をしていただくプログラムを入れればいい。
人文学部1年次生、男性(ボランティア活動支援室学生スタッフ)
今回、神戸学院大学生としては2度目の東北訪問だった(高校時代に行っている)。前回の8月少人数では石巻市での活動だったが、今回は名取市へ入らせていただいた。1年次生の内に、二つの被災地を訪れ、その場所独自の被災状況、仮設の様子や問題、その土地の復興に関する問題などを目で見て、聞いて、肌で感じられたのはとてもよい経験になったと思う。
今回は子どもとの交流は少なく、高齢者の方との交流が多かった。活動自体も現地の方と積極的にコミュニケーションをとり、バスの人ともうまく連携でき、多少の問題はあったものの全体的に無難に成功はできたと思う。最後には「ありがとう」とたくさんの人に言っていただき、ボランティアは見返りを求めない分、この言葉をもらうために行っているのではないかと思った。また今回は前回と同様、活動拠点のリーダーをやらせてもらったが、前回と違って全体のまとめ役の学生スタッフ先輩がいなく、自分と石巻担当リーダーと2人でやらなければならなかった。また、今回はコンビネーション(夏は各仮設を2人で担当)ではなく3人だったのでチームワークが求められた。名取班は僕以外が2年、3年ということもあり、先輩を率いなければならなかった。
人の前に立つということが苦手であり、また人数が少ないが集団を率いなければならないということで、不安を感じ、どう進めていけばよいか、活動中もずっと考えていた。まだ自分の中でリーダーとは何かの答えは見つかっていないが、今回の活動で課題点が見つかった。一つ目は、決断力だ。物怖じしたりして、なかなか物事を決めるところで決め切れず、先輩方に頼るなどがあった。そういったところで結果がどうであれ決めることができれば、スムーズに物事を進めることができたのかなと思った。二つ目は、もっと周りの意見を引き出させ、言えるような環境作りをすること。1人で進めれば独裁政権になりかねない。あまり話さない人であれ、意見は確実に持っていると思うので、それをうまく引き出せるようなスキルを磨きたいと思った。これからは学生スタッフの中心メンバーとなっていくので、1年次生という立場で二度もリーダーをやらせてもらったのはとてもよい経験になり、また自分の中での欠点や課題点が多く見つかったのでよかった。この経験を自分の中でしっかり吸収し、またこれからの学スタ、災害班、外部などで発揮できたらと思う。
石巻班
総合リハビリテーション学部1年次生、女性(一般公募で参加)
今回の活動は初めてのことばかりで不安だった。だが、仲間に恵まれ、支えていただいたおかげで無事に活動を終えることができた。今回の活動で課題点も見つかった。復興していたと思っていた石巻だったが、まだ復興していないことに気づいた。活動後に震災関連の新聞を読んでみると、活動前に比べて具体的に現地の状況をイメージすることができ、考えられるようになった。少人数に参加して、自分自身未熟であることを知ったと同時に、自分にできることは何だろうと考えるようになり、自分の中での変化に気づくことができ、活動に参加することができて良かった。
総合リハビリテーション学部1年次生、女性(支援室学生スタッフ)
今回は、ひたすら楽しかった前回の8月少人数と比べて、悩むことが多かった。毎日が子ども交流だった前回とは違って日ごとに違うことをしていたため、バラエティに富んだ活動ができたことは良かったが、切り替えが難しかった。また、ここは被災地であるということを強く実感した。知っている人が仮設から出ていくのは初めてで、学生のうちはこちらから会いに行けば会えると無意識に思っていたのでショックを受けた。高齢者の方との交流も初めてで、リアルな震災体験を聞いたのも初めてだった。そんな中で、被災者が今、復興に関して思っている本音を聞けたのはとても良い経験だったと思うし、それを伝えていくのは報道や東北への関心が減った今でもボランティアを続けている私たちの使命だと感じた。
また、リーダーを務めるにあたって、壁にぶち当たった。自分の中でのリーダー像もなければ、どちらかと言うと意見を言っていたい側であり、独裁にはしたくなかったのでバランスをとることが本当に難しかった。これから後輩が増える前にこれだけ悩めたのは大きな収穫だと思って糧にしていきたい。今回、とても感謝されることが多く、今までこの大学が作ってきた繋がりの強さを感じ、自分でもこれからもつづけていきたいと強く感じた。
経済学部2年次生、男性(支援室学生スタッフ)
今回の活動は主に子ども、高齢者支援が中心の二つの団地に入らせていただくということで、それぞれの団地の特徴や抱えている問題などが聞けたということは自分の中で良かった。少人数だからこそできることがあるということも改めて実感した。自分が現地へ行く前に目標としていたしていたことが達成できて良かったが、15日の戸別訪問の際に一件のお宅で怒られたのは悔いが残った。バスの到着が遅れるという問題が発生したが、臨機応変に対応できたのは良かった。バスメンバーとのやり取りを最後までしていたからこそ対応できたのだと思う。いろいろと現地の人たちの生の声が聞けたので良かった。
以上