被災地支援活動
8月18日(日)~28日(水) 学生ボランティア派遣 報告書
標記の件、下記のとおり報告いたします。
プログラム名 |
宮城県災害支援学生ボランティア少人数滞在プログラム(大学主催) |
日程 |
2013年8月18日(日)~28日(水)10泊11日 |
参加者
学生4人 |
- 主に名取市箱塚屋敷で活動
経済学部2年次生(一般公募で参加)
人文学部3年次生(支援室学生スタッフ)*
- 主に石巻市南境団地で活動
総合リハビリテーション学部1年次生(一般)
人文学部1年次生(支援室学生スタッフ)*
*ボランティア活動支援室学生スタッフ |
引率1人 |
川口 謙造 ボランティア活動支援室職員(全期間) |
研修講師2人 |
西垣 千春 総合リハビリテーション学部教授(8/27~28)
守田 敦子 心理臨床カウンセリングセンターカウンセラー(8/17、21~23) |
行程・内容
8月17日(月)
13:00~16:00 |
事前研修会(KACボランティア活動支援室) |
8月18日(日)
13:50 |
伊丹空港→仙台空港到着 |
午後 |
活動備品の買い出し、打ち合わせ |
8月19日(月)
名取市箱塚屋敷での活動(磯部・楠瀬)
10:00~ |
活動打ち合わせ 自治会長、生活支援相談員(2人) 他
- 活動のスケジュール確認(計画変更あり)
- 戸別訪問、子どもとの交流の注意点
- ずんだ餅づくりの説明、参加のアドバイス
- その他 熱中症対策、夜勤の方の配慮(戸別訪問時) など
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11:00~ |
ずんだ餅の会(8/25)のチラシ配り(戸別訪問の練習を兼ねて配布をした) |
14:00~ |
子どもと遊ぶ(中学生2人、小学生1人) ボール、大縄遊び、対話など |
16:00 |
活動終了 |
石巻市南境第5団地での活動
午前 |
仙台→石巻市へ移動
沿岸部視察(門脇地区)
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13:00~ |
子どもと顔合わせ、交流
終了時に、スケジュール、ルール(勉強、遊びのメリハリをつける他)を確認 |
17:00~ |
第4団地自治会長他にあいさつ、夏祭り(8/24)お手伝いの打ち合わせ
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18:00頃 |
活動終了 |
8月20日(火)
名取市箱塚屋敷での活動(この日は活動はなし)
午前 |
視察、閖上地区(2時間程度、じっくりと視察を行った)
活動備品の買い出し |
午後 |
フリー |
石巻市南境第5団地での活動
10:00~ |
子どもと遊ぶ、風船バレーなど |
12:00~ |
昼食休憩(子どもは家に帰るというルールあり) |
13:00~ |
学習支援(子ども:中3=1人、小6=1人、小4=1人、小2=2人)
- 百ます計算(学生が準備):加減乗除から学年に応じて選ぶ
- ホワイトボード使って漢字ゲーム 他
※夏休みの宿題を残していたのは2人だけであった。集会所で寄り添い、宿題のサポートをした。 |
14:00~ |
風船、ゲーム、パソコンで動画を見るなどで遊んだ
- 学生は臨機応変に、ひとりだけの支援に固定しないように子ども全員への心配りに努めた。ひとりでパソコンを見る子ども、孤立の傾向がある子どもがいた。
- 思い出のアルバムづくりの準備のため、集合写真を毎日撮る。
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17:00 |
活動終了
勉強と遊びのメリハリをつけて…
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8月21日(水)
名取市箱塚屋敷での活動
09:00~ |
ずんだ餅の会(8/25)のチラシ配り |
11:30~ |
石巻焼きそばの炊き出し(FM仙台スマイルフォーミヤギ主催)手伝い
焼きそばを運ぶ手伝い、お茶出し。焼きそばを食べている住民とコミュニケーションを取る 他。
- キャンピングカーを改造し、鉄板を内蔵していた。仙台市内を回っている。
炊き出しの他に、輪投げ、水鉄砲で景品を取るゲームが盛り上がっていた。
- 住民のインタビューで特番を作っていた。本学学生もインタビューを受けた。
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14:00~ |
仮設住民の訪問(復興体験、復興計画の状況などお話しを聞いた)
- 生活支援相談員の紹介でじっくり訪問する機会をいただいた。
集会所で子どもとの交流も行う。
- 小学生2人(遊びに来る子どもは日によって変動する)
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17:00 |
活動終了 |
石巻市南境第5団地での活動
午前 |
活動備品の買い出し |
13:00~ |
学習支援(8/21と同じ)
- 勉強が苦手な子どもの対応に悩む。時間がかかり、他の子どもの集中力を維持する工夫が必要だった。
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14:00~ |
子どもとの交流
- 集会所内と外で子どもが分かれて遊びだした。外では大縄跳びをした。
- 翌日にお別れする子ども(元仮設住民で関東から遊びに来ていた子ども)のために、思い出の色紙を作成した。
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17:00 |
活動終了 |
18:00 |
中間研修会(宿泊所ロビー)
講師:守田敦子カウンセラー(心理臨床カウンセリングセンター)
- 石巻で活動する二人の学生の活動点検およびアドバイスを行った。
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8月22日(木)
名取市箱塚屋敷での活動
10:00~ |
ふれあいの水(神戸市水道局提供、メッセージ付き)の配布
- 住民は神戸学院大学を知っていてくださり、「ありがとう」との声が。
- 戸別訪問中に、独居のお年寄りからの要請でラックの組み立てをした。学生は要請を受けて応えることの価値を実感している。
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14:30~ |
子どもが出てきて、水を一緒に配る → 子どもとの交流に切り替わる。
- 小学生の兄弟など6人。非常に元気に走り回っていた。
集会所(談話室)で女の子とおままごとの付き合い
- 乱暴な振る舞いをする子には注意をするように心がけた。
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17:00 |
活動終了 |
18:00 |
中間研修会(宿泊所ロビー)
講師:守田敦子カウンセラー(心理臨床カウンセリングセンター)
- 名取で活動する二人の学生の活動点検およびアドバイスを行った。
子どもが手伝って
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石巻市南境団地での活動
午前 |
活動備品の買い出し(飯盒炊爨、花火大会の備品) |
13:00~ |
学習支援 |
14:00~ |
カレーライスづくり
- 細川、子ども6人が参加。中学生、高学年には包丁を使わせた。低学年は野菜の皮むき(ティーラ―)など。
- 大鍋をふたつ使い、味付けを変えた(女子力カレー、ワイルドカレー)
飯盒すいさんの準備(薪割り、かまどづくり、火を起こす)
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17:00~ |
皆で食べる(子ども8人、付添いの保護者3名)→皆で片づけ |
19:00~ |
花火大会(集会所前で)
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20:00~ |
肝試し(仮設敷地内で)
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21:00 |
活動終了
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8月23日(金)
名取市箱塚屋敷での活動
10:00~ |
本学活動(10月)の打ち合わせ |
11:00~ |
ふれあいの水の配布(子どもと一緒に)
- この日で全戸の配布を終了。不在が100世帯あった。
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午後 |
仮設住民の訪問
- 生活相談員の計らいで、住民の暮らしの様子をお聞きする機会を得た。
閖上地区、小塚原地区におられた住民が仮設に集まられている。家を解放して、もとのコミュニティの集まり(お茶会など)を行っている方がいる。仮設住宅でのコミュニティと元のコミュニティのふたつがあることを知った。
子どもと遊ぶ |
17:00 |
活動終了 |
石巻市南境団地での活動
10:00~ |
アルバムづくり(写真の印刷、買い出し) |
13:00~ |
学習支援 |
14:00~ |
子どもと交流
- 昨日のカレーを再利用してカレーうどんをつくった。
- 5日間の思い出を話して、アルバムつくり⇒各自持ち帰って継続した。
翌日の夏祭り(第4団地)の件、家庭訪問してお母さんに了解を得てまわった。 |
8月24日(土)
石巻市南境第5団地での活動 :ボランティアバスの受け入れ、参加学生のサポート
10:00~ |
子どもとの交流
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13:00~ |
カラオケ大会(集会所)のお手伝い
第4団地の夏祭りに子どもと一緒に参加 |
20:00 |
活動終了 |
名取斑の2人は、石巻市南境第2団地の震災体験交流会に参加、進行役を務める。
活動終了後は、バスの宿泊先(松島フットボールセンター)に移動し、翌日の活動について説明を行った。
8月25日(日)
名取市箱塚屋敷での活動 :ボランティアバスの受け入れ、参加学生のサポート
09:00~ |
ずんだ餅づくりの手伝い |
10:30~ |
ボランティアバス参加者の到着、ずんだ餅づくりのサポート
- ずんだ餅会食には、普段、集会所に来ない住民もこられた。
- 住民、地元のNPOの方が、学生や子どもに作り方を教えてくださった。
ふれいあの水の配布
- バス参加者の協力を得て、不在者への配布(100世帯)を行った。
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15:00 |
活動終了
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8月26日(月)
石巻市南境団地での活動
10:00~ |
第4団地 活動の振り返り、今後の打合せ(引率者のみ参加) |
13:00~ |
第5団地 活動の振り返り(学生2人、引率1人参加)
- 自治会長他、子どもの母親、祖母が参加。子どもの学校、仮設での状況などについてお教えいただいた。
- 学生は自分たちの活動の意味をあらためて確かめた。一方で、神戸の学生としての活動の限界も知らされることになった。
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名取斑 :休暇
- 楠瀬は閖上で自主的にボランティアに参加した。沿岸部の側溝の探索の手伝い。
思い出の品などを捜し、知らせる。地元のNPO(ステップ)が主催している。
8月27日(火)
名取市箱塚屋敷での活動
09:00~ |
活動の振り返り(自治会長、生活支援相談員2名 他)
- 学生への参加態度等、アドバイスをいただいた。また少人数滞在の意味の確認など。
ずんだ餅づくりの意味(男性を含めたくさんの方の協力があった)、子どもが出て行く状況で残される子どもの支援が必要性、精神面のケアとして、関西の学生のよさ(関西弁、ほどよい距離感)、男子学生のよさ(力仕事など頼みやすいなど) 他
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14:00~ |
事後研修会(宿泊所会議室)
講師:西垣千春 総合リハビリテーション学部教授
- 全プログラムの振り返り、学生の気づき、学びの共有を行った。
- 西垣教授から、それぞれの学生へのアドバイスをいただいた。
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8月28日(水)
日中はフリー、夕刻の便で帰着。
9月2日(月)
帰着後の振り返り(KAC)
- プログラムの評価を学生が行った。以降のプログラム企画に生かすためである。
学生の気づき、学び(8/27の西垣教授による研修会から)
細川 愛依理(社リハ学科学生、石巻での子どもとの交流を通して)
- 初めて宮城に来た。初日の沿岸部視察では震災が見えなかった。片付いていた。その悲惨さを感じないまま、活動に入った。
- 子どもの最初の印象は、とてもパワフルで「とても元気だな!」という感じ。純粋に子どもとの交流を楽しめた。
- しかし、日数が経ち、個別に悩みやこれまでにあったことを聞くことになった。明るく元気な表面と心の奥底の違いを知ることになった。
- 神戸の学生として、どこまでできるのか悩んだ。限界を感じた。でも自分にできることとして子どもたちの「思い出づくり」に徹しようと考えた。キャンプ体験やアルバムづくりを頑張った。
- オフの日に、石巻を徒歩で回った。車でなく、ひとつひとつゆっくり見て歩いたら、爪痕が残っていることに気づいた。足が震えて、冷静な気持ちで見ることができなくなった。つらく、しんどくなった。
- 26日の振り返りで、お母さんからの子育ての苦労談や子どもの状況を知らされた。話を聞いて、子どもと接したこと、石巻を自分の足で歩いたことが自分の中でつながった。
- 今回の活動はいろんなものが凝縮されていた。とてもいい体験になった。
北崎 翔太(心理学科学生、石巻での子どもとの交流を通して)
- 子ども同士の喧嘩の場面があった。自治会長から「しっかりおこってください」と言われていたが、実際に起こってしまうと対応に悩んだ。
- これまでは子どもの中で解決してきた。しかることの必要性とともに、見守ること、子どもの力を信じることの大切さを学んだ。また、感情的に叱るのではなくて、語りかけること、そのことで気付かせることの大切さを学んだ。
- 個別に子どもと話を聞く機会を持った。学校での悩み(いじめなど)を聞いた。自分たちには何もできないと悔しい思いになった。しかし、その子が「話を聞いてくれてよかった」と言ってくれた。そんな存在であれたことが嬉しかった。
- 子どもの笑顔の裏にあるものを知り、心理を勉強する者として自信がなくなった。
- 高校時代にも東北ボランティアに行った。それと比較するとオフの時間があるなんて信じられなかった。でも、自分で自発的に石巻を回ったことがとてもよかった。
磯部 和志(経済学部学生、名取で戸別訪問、子どもとの交流を通して)
- 東北は初めて行った。被災地の現状をみて、こんな甚大な被害を受けていると知った。
仮設住宅に暮らす方のつらい思いを知った。名取で活動をしながら、子どもたちがなついてくれたことが嬉しい。この10日間の経験は今後にいかせると思う。
楠瀬 孝和(人文学部、名取で戸別訪問、子どもとの交流を通して)
- 10日間はしんどいこともあったが、知らないことが知れたことがよかった。
- 復興の問題についてお伺いし、そのむずかしさを知ってとてもしんどい。
- 支援室学生スタッフとして、全体のリーダーとして、担っているものは大きかった。実際に、初心者で1年次生の磯部君をサポートすることが大変であった。めげることもあったが、生活支援相談員(伊藤さん)がフォローしてくれた。感謝している。
- 東北福祉大の友人と1年ぶりにあったこと、今年2月の神戸招へいプログラムで知り合いになった方に現地で出会い、僕を覚えてくれていたことが嬉しかった。つながりの大切を実感した。
- 自分がしたいことができたなと思っている。名取に入れてよかったなと実感している。
- 特に、伊藤さんの配慮に感謝したい。19日の打合せの時に伊藤さんから「勉強してきなさい!」と言われた。その後、住民の方のお話しをじっくりお伺いする機会をきただいた。とても貴重な経験であった。
西垣先生からアドバイス
- 話を聞いて、よく頑張ってくれたと感じた。どんな準備をしたのか、不安もあったのではないかと思う。本学の初めての長期(10日間)の活動で、やり遂げてくれたことを感謝したい。また、神戸学院大学のこれまでの実績による信頼関係が築けているからこその活動であったと理解してほしい。
- 大変な思いをしたと思うが、社会人の経験がない分、手段がなくとも、人の気持ちを素直に受け止める力があると思う。課題に対して真剣に考えてくれたと思う。
- 震災被災者は1日で多くのものを失う経験をしている。仮設住宅の日常では見えないが、喪失感情を抱え、揺れ動きの中で生きておられる。2年半が経過して、過去を振り返る余裕ができている方もおられるだろう。語ることで、被災者の方が前へ進む経験になっていると思う。話を聞くということの意味を理解してほしい。
- 被災者は区切りをつけながら、前へ進む。その最中に、みなさんは出会っているのだ。受け止める側は大変だと思うが、「話せる人がいてよかった」と子どもに言われたようにその意味はとても深い。
- 最後に、福祉を学ぶ細川、心理を学ぶ北崎へのアドバイス
子どもは言語化できない中で、思いや感情を行動に表すものである。時には本意でないことをすることもある。それを知り、どういうように見守るか。叱り方のバリエーションを持つ必要がある。出会ったときの関係と信頼を得た後の関係ではできることは違うものだ。
- 福祉と心理では子どもへのアプローチが違うが、今回の経験をそれぞれの学びへとつなげてほしい。
以上