被災地支援活動
2月24日(金)~27日(月) 学生ボランティア派遣 報告書
このボランティアバスは、赤い羽根『災害ボランティア・NPO活動サポート募金』の助成を受けて実施しました。
標記の件、下記のとおり報告いたします。
プログラム名 | 宮城県災害支援学生ボランティアバス(大学主催) |
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日程 | 2012年2月24日(金)~27日(月)3泊4日(2泊は車中泊) |
共催 | ひょうごボランタリープラザ |
行程・内容
2月24日(金)(有瀬キャンパス:KAC)
16:45 | KAC 15号館151K教室集合、事前研修会 (1)活動の心構え、基本情報の共有 (2)互いを知り合う、現地でのチーム作り (3)2月25日活動の打合せ 他 |
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19:00 | KAC 15号館前にバス到着、備品等積み込み |
19:30 | KAC 出発。バスにて宮城県へ。最初のSAでは夕食休憩として長めに休憩。その後は途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊― |
2月25日(土)
11:15 | 増田西公民館到着 |
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12:30 | 名取市仮設住宅(箱塚屋敷団地) 仮設⇔公民館間をジャンボタクシーにて送迎 |
13:00 | 子どもとスポーツイベント |
15:00 | 活動終了、後片付け、子どもを送迎 |
16:00 | 宿泊先へ向けて出発 |
17:30 | 松島町フットボールセンター(宮城県宮城郡松島町手樽字大蓬沢13-1) ―就寝前に、振り返り、翌日活動打ち合わせ― |
2月26日(日)
07:30 | 宿泊施設出発 |
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08:15 | 沿岸部視察(石巻港~門脇地区、日和山公園) |
10:00 | 石巻市の仮設住宅で活動(第2、第4、第5集会所に分かれて活動) 活動時間:午前の部(10:30~12:00)、午後の部(13:00~15:00) 活動内容: (1)「神戸学院カフェ」プロジェクト (2)和紙で雛人形づくり (3)神戸学院Library告知チラシ配布:第5集会所 (4)木工工具設置(共同募金会助成P) |
12:00 | 昼食休憩 |
15:00 | 活動終了、後片付け |
16:00 | 銭湯へ向けて出発 |
16:20 | 「道の駅上品の郷」にて入浴 |
18:00 | 銭湯を出発、神戸へ。途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊― |
2月27日(月)
08:30 | KAC帰着 学生、備品等のおろし |
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09:00 | 事後研修会(15号館151K教室) (1)心身のケア (2)感想の共有 (3)次回バスへの引き継ぎ事項のまとめ 他 |
10:30 | 解散 |
参加者
- 学生18人
- 一般申込み5人、ボランティア団体4人、社会リハビリテーション学科4人、兵庫医療大学学生5人
- 引率者2人
- 神原文子(神戸学院大学 人文学部 教授)
大西慶作(神戸学院大学 KAC情報支援グループ 職員) - 現地派遣者1人
- 四宮千佳子(神戸学院大学 TKK学び合い連携センター スタッフ)
活動詳細
2月24日(金)事前研修会
- ガイドブックに沿って、活動や被災地での心構え、活動の注意点、具体的な活動の情報提供
- 企画学生から活動について説明、ミーティング、その後班ごとに翌日の活動の確認
- 事前研修後、備品の点検、バスへの積み込みを学生、引率者の協働で実施
2月25日(土)《名取市仮設住宅 箱塚屋敷団地》
- 173世帯、約430人の方が居住されている
- 集団移転ではなく、さまざまな地域から集まってできた団地。自治があり、集会所も活発に活用されている
- 活動時間は13:00~15:00、子どもとのスポーツプログラムを実施した
子どもとスポーツプログラム
- 仮設団地内では思い切り遊ぶ場所が少なく、子どもにとって学生と遊ぶことが喜ばれているという話を伺ったため、体育館で思い切り遊ぶスポーツ大会を企画した
- 公民館を借り、ホールでスポーツ大会、研修室ではお茶会を実施した
- 仮設団地と公民館は歩いて20分程度かかるため、バス送迎を行った
- 途中、ボーイスカウトの子どもたちも合流し、ドッヂボールを楽しんだ
活動終了後の振り返り
- リーダー・班リーダー・備品担当・引率で、翌日活動内容について打ち合わせをし、方針を確定した
- リーダー会議終了後、全員で初日の振り返りを行った。活動内容ごとに班に分かれ、活動内容の共有、気づき・感想、被災者の方から聞いたこと、困ったこと、明日への抱負などを共有した
- 翌日活動の段取り確認を行った
(教員よりコメント)
- 参加してくれた子どもたちが2時間ほどの間、思う存分に、ボールを蹴り、走り回り、綱引きやドッジボールに夢中になり、エネルギーを発散できていたように思う
- ボランティアの学生のみなさんが、当初、予定していたプログラムに固執することなく、子どもたちのやりたいことを尊重して、つきあっていたことがよかった
- 子どもたちとの活動で、良かった点、また反省する点を、これからの活動に生かしてほしいと思う
2月26日(日)石巻市
沿岸部の視察
- 活動前に沿岸部の視察を行った(石巻港~門脇地区~日和山公園)
- 日和山公園では、石巻で被災され、その後フォトグラファーとして被災地の写真を撮り、日本全国に伝える活動をしている方からお話を伺うことができた
(教員よりコメント)
- 石巻市の被災地を視察した。現地を視察することはとてもつらかったが、それでも、被災地に立って、自分の眼で見て、脳裏に刻みつけることができたことの意味は大きかった
- 決して、人ごとではなく、自分が何ができるか、考え、行動しなければならないという、大きな宿題をいただいた
石巻市仮設住宅 南境団地
- 第1~7団地において、約750世帯の方が居住されている
- 集団移転ではなく、さまざまな地域から集まってできた団地。自治会はまだない
- この日は第2・4・5団地集会所において、(1)神戸学院大学カフェ(ほっとサロン)、(2)和紙で雛人形づくり、(3)神戸学院Library告知チラシ配布(第5集会所のみ)、(4)共同募金会助成による木工工具設置を実施した
和紙で雛人形づくり、神戸学院大学カフェ
- 桃の節句を迎えるにあたり、これまでも好評であった手作り企画(和紙で雛人形づくり)を実施した
- 大雪の日であったため、いつもよりも住民の方の集まりは少なかったが、楽しみにして参加してくださる方ばかりであった
- コーヒー、ジュースなどを飲みながら実施した
第2集会所にご参加いただいた方は少なかったが、それぞれに個性的なお雛さまができた
(教員よりコメント)
- 日曜日のせいもあり、参加いただける地元の方々は少なかったのだが、参加いただいた方々にはおひな様を作ることに集中し、できあがったおひな様を眺めて、笑顔がこぼれた様子が印象的だった
- 神戸学院大学が、定期的にボランティアをしていることを地元ではご存じいただいているようで、ささやかでも継続的に関わらせていただくことの意義は大きいと感じた
神戸学院大Library告知チラシ配布(第5集会所のみ)
- これまで仮設で活動を継続してきたボランティア活動支援室の学生スタッフが企画した、集会所にミニ図書館を作ろう!というプロジェクト
- 図書館オープンのお知らせを各戸へお伝えした
木工工具設置
- 住民の方から依頼があった木工工具を設置した
- 集会所に1セット配置し、住民に共有利用していただくもの
- 神戸学院大学は赤い羽根共同募金助成金を受けており、その中から拠出した
活動終了後の振り返り
- 入浴後、リーダー指示のもと、前日同様、活動内容ごとに班に分かれ、活動を振り返った
- 全体ミーティングを行い、2日間を通して被災地で感じたこと、学んだことを共有した
2月27日(月)事後研修会、活動振り返り
- 事後研修会では、参加学生ひとりひとりから感じたこと、意見等を言葉にしてもらった。以下は学生コメントの抜粋である
(学生)
- 最初は不安大きかったけど、子どもやおじいちゃんと接して、役に立てたんかなと思った。自分は今まで何やってたんやろう。自分の無力さや、憤り感じた。みんなと仲良くなれて良かった
- 正直楽しかった。被災者に「元気もらえた」と言われて、自分も元気をもらった。今まで何やってたんやろう、もっと早くできることあったやろう。みんなで行けて良かった
- 今も緊張している感じ。学ばせてもらうこと多かった。学んだことを周りに伝えなきゃと思う
- 最初は不安だったけど、4日間短かった。楽しくて参加してよかった。子ども、高齢者にどう接していいのか分からず、思うように話すこともできず、何してるんやろうと思うことも。時間が経つと打ち解けることができて笑顔見られた。ちょっとは役に立てたかな。この体験をみんなに伝えることできるかな。視察では積み上げられた車、真っ黒な建物を見て、今後伝えていく必要を感じた
- おばあちゃんや子どもとどう接していいのか分からなかったけど、一緒に活動して時間を共有することができて、最後は親しい感じになった。おばあちゃんから「今日は楽しかった。また来てくれるやんな」と言われ、役に立てたと感じた。山に登って直接話を聴けて、感じるものはTVとは全然違った。ニュースだけでは語りきれない部分があって、心が重たくなった。今後伝えていくのが自分の役目
- 2回目の参加で、石巻の企画リーダーを務めた。事前準備のとき、急なミーティングにも参加してくれてありがとう。リーダーとして助けてもらった。自分よりもみんなが率先して動いてくれてメンバーに恵まれていた
- たくさん感じるものがあり、家に帰って整理したい。みんな同じ思いで活動に参加できた。主婦層を仮設に集めるために、炊き出しすることで家事を減らす手伝いになって来てくれるのかな。自分の考えをまとめるのに時間がかかると思う。
- 頭の中が混乱している。もっと深いものがあるのに薄っぺらいことしか言えない。子どもが攻撃的、反抗的になっていて、もっとかまってほしいのかなと思った。被災の影響を受けていると感じた。自分は本当に何ができたんかな。ほんまに役に立てたんかな。一つ心残りがあり、「おばあちゃんに今度はいつ来れるの?」と聞かれ、3月に来ると言ってしまった。3月は石巻の仮設に行かないし、研修でも次の約束はしないと言われていたのに・・・
- 被災者は落ち込んでいるイメージがあり、自分の考えとのギャップを感じた。視察で何もないところを見たとき、何を感じたらいいのか、頭が真っ白でどんなものか感じることができなかった。被災者は明るくて、落ち込んでいるわけではなく楽しそうだったが、どう関わったらいいのか分からなかった。日々の実習などでは長い時間の関わりになるので徐々にできることが見えてくるが、このようなボランティアで1日2日で出来ることを見つけることはこれまでの経験と違って難しかった。できることはこれから考えていきたい
- 初めての参加。頭がゴチャゴチャしてて整理できていない。他の人に伝えなあかんプレッシャーあるけど、上手く伝えることができるかな。どう伝えていくかが今後の課題。復興して震災が忘れられるんじゃないか、継続して関わることが大事。ひな人形作りでは笑顔が見ることができ、逆に元気をもらった。短い間で関係を作って、活動に生かすことが大切
- 2回目の参加。事前にFacebookで交流し、自分の意見が活動に反映された。現地で被災の大きさ感じた。日常生活が忙しくて、震災を忘れたり風化させたらあかんなと思った。ボランティア活動や、震災について考えること、今後も小さなことでもやっていきたい
- 初めての参加。石巻では住民の参加が少なかった。被災地の本当のニーズってなんやろう。現地で写真撮ったが写真を撮られるってどういうことやろうと考えた。今後は神戸でもできることをやって行きたい
- 2回目の参加。前回よりもできること多く自分も楽しめた。ボランティアは今も必要で、友達やバイト先の人にも伝えたい。また参加したい
- 5回目の参加で、全体リーダーを務めた。たくさんの学生が参加希望する中で5回も参加出来るなんて有難いと思う。石巻では今まで以上に学生と住民との一体感があり、企画も良かったので成功かな。阪神淡路大震災当時、長田区で小学校に避難した経験がある。日和山で男性が「風化させたくない」といっており、風化させないとはどういうことか、またボランティアでは何ができるのか考えるようになった。名取の自治体職員は、震災は子どもたちの心に残るだろうと話していた。神戸で出来ることを探して行きたい。自分は今年で卒業なので学生としての活動は最後になるが、みんなとは縁があって出会ったのでこれからも関係を続けていきたい。ありがとう
- 普通に楽しく活動できた。石巻で日和山に登った時、震災があったんやって感じた。今はあんまりわかってないけど、家に帰って(活動してきたこと)考えたい。普段の生活の中で今できることをやっていきたい
- 2回目の参加。今の気持ちをまとめきれていない。4月では子どもが暴力的で殴る蹴るといったことあったが、今回は暴力が治まり、変化があったんやろうなと感じた。1人暮らしのおばあちゃんの家がゴミだらけで周りと連携が取れていないと感じた。子どもが1人サッカーをしており、遊び場がないのだろう。集会所で子どもとワイワイしていておばちゃんに「うるさいわ」と言われた。仮設の人同士や他集会所とも仲良くしていける企画作りが必要。神戸の活動も考えないといけないな
- 初めての参加。3.11はTVで津波映像を見ていて実感がなかった。今まで現地に行かなかったのは何ができるのか、わからなかったから。実際に行って、発災後から時が止まっているような印象。仮設住宅で声をかけてまわったのだが、高齢者の目がうつろな感じで足も細く弱々しい感じ。「もうがんばれないよ」と訴えているよう。マスコミだけではわからないことが感じられ、自分で行く意味があった。ボランティアってなんだろう。被災者のニーズにあったボランティアをしないといけない。地に足がついた支援をしていきたい
- 行って良かった。スポーツプログラムで子どもが他の参加者が来るのを待つ間、外に出て待っていたり「寂しいんやな」と感じた。他の子どもが来ると暴力的になることも。活動内容よりも住人から「寒いなか来てくれてありがとう」と言われたのが嬉しかった。被災者との関わりを通じて、話を聴く大切さがわかった。被災地のことを、僕たちが関心を持って知ろうとすること、何度も足を運ぶことが大切だと感じた。また現地の人が、自分たちに現地のことを伝えようとしてくれていることを感じた。そして東北の人が好きという感情が自分に生まれた。人対人のそれぞれの気持ちを共有した活動ができればいいな
(教職員)
- 無事に帰ってくることができてほっとしている。引率として先回りせずじっと見守る姿勢で関わった。みんな持てる力を出して一生懸命やろうという思いが地元の方々に伝わったのではないか。
あえて苦言として、ボランティアって誰のため、何のためにするのか。現地の人に合ったことができていたかな。1日目の活動で、12:30に子どもたちを迎えに行くというのは、ちょうどお昼時ではなかっただろうか。地元の方々の生活時間に見合った活動になっていたかな?土日の活動だったが、休日は家族と過ごしたいという方々も少なくないのではないかな?
帰りのバスでは緊張が解けた様子で、夜10時頃まで騒いでいた。バスの運転手さんは交代で運転し仮眠をとっていた時間。また、大学到着後、荷物降ろし作業までするべきだったのではないか。最後までが活動の一環であるはず。仮設では「せっかく来てくれたんだから行かないと申し訳ない」と住民に思わせていなかったか。反省として、お雛さんを良かれと思って仮設に残してきたが、残してきたことが住人の負担になっていないだろうか。一つ一つの良かれと思ってしている行動が本当にそうなのだろうかと反省している。
復旧とは名ばかりで何も復旧できてないやんと感じた。仮設の人はまた次に移らなければならない。大学の活動として仮設が無くなって元の生活ができるまで関わって行かないといけないと実感した - 全員無事に帰って来ることが出来て一安心。後半になるとみんなとてもいい笑顔に変わってきていた。大学も所属学部も違う学生同士が事前にFacebookで交流していたため準備作業がスムーズに行えたとの話を聞き、このような新しいコミュニケーションツールを積極的に利用する学生達に感心した。教育面等、大学の諸活動にも生かせないか考えてみたい。他の便利なツールなども含め教職員に紹介できたらと思う。もっと多くの教職員が参加するように働きかけていきたい
- みんな落ち着いて話しており、信頼して語れる良いチームだったように感じる。体験とはボールのようなもので語ることができるのはある側面のみ。じっくり休んで体験を整理して、伝えていってもらいたいと思う。みんなの体験から出たニーズを大学に伝えていく必要があるので、どんな形でもいいので言いに来てほしい。来月3.11のプログラムは検討中で、これまで通りの仮設に入る活動は控えようと考えている。喪に服すようなことが必要だと考えている
以上